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令和4年(2022年)3月11日更新

第76回東京都情報公開・個人情報保護審議会

令和4年1月24日(月曜日)15時30分~16時35分
東京都庁第一本庁舎42階北塔 特別会議室D(オンライン開催)

午後3時30分 開会

1 開会
○新美会長 それでは、定刻になりましたので、ただ今から第76回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開会いたします。
本日は7名の委員とそれから2名の臨時委員の皆様に出席していただいておりますので、審議会規則第4条の規定により、本会議は有効に成立しております。
事務局から会議の参加に当たっての留意点について説明があるとのことでございますので、どうぞよろしくお願いします。
○猪俣情報公開課長 それでは説明させていただきます。オンライン会議のご参加に当たりまして、以下の注意点を申し上げます。画面が映らない、音声が聞こえないなどの問題が発生した場合は、いったん会議から退室していただき、再入室を試みていただければと存じます。再入室をしても改善されない場合は、事前にお送りしたメールに記載しております情報公開課の電話番号へご連絡をお願いいたします。
次に、ご発言の際は、画面の挙手ボタンを押してお知らせください。会長のご指名をお受けになられてから、お名前をおっしゃった上でご発言くださいますようお願いいたします。
なお、こちらの声などが届かない場合は、その都度お知らせいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは以上でございます。
○新美会長 ありがとうございます。

2 生活文化局長あいさつ
○新美会長 それでは、本日は、生活文化局の武市局長にご出席をいただいております。ここで局長からごあいさつをいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○武市生活文化局長 生活文化局長の武市でございます。東京都情報公開・個人情報保護審議会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
新美会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、日頃より熱心なご指導を賜り、また、本日はご多用の中、審議会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインによる開催としておりますこと、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
さて、本審議会では、本年度より、新たな個人情報保護法への対応と開示請求における権利の濫用に関する2つの専門部会を設置させていただいております。新たな個人情報保護法への対応につきましては、今後の都の制度の運用に向け、課題の洗い出しや対応の考え方など、専門部会において活発なご議論をいただいております。2年以内の施行に向けて都としても準備を進めてまいりますので、引き続きのご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
また、開示請求における権利濫用につきましては、専門部会における議論を経て、本日ガイドライン案をお示しできることとなりました。開示請求者の権利を損なうことなく、適正な運用に努めてまいりたいと考えておりますので、こちらもご審議のほどよろしくお願いいたします。
さて、都におきましては、ICTを活用した積極的な情報提供、公表の取組を進めてきております。例えば令和元年7月に運用を開始しました公文書情報公開システムにつきましては、ダウンロード数が年々増えておりまして、昨年度のダウンロード数は、約180万件に上っております。今後も引き続き登録情報を充実させるなど都民のニーズにお応えしてまいります。都といたしましては、今後も情報公開制度及び個人情報保護制度を適切に運用し、都政に対する都民の信頼を高めるよう努めてまいりたいと考えております。
委員の皆様におかれましては、引き続き専門的な見地から貴重なご意見を頂くとともに、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私のあいさつとさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○新美会長 どうもありがとうございました。
武市局長にはこのまま引き続きご参加いただけるとのことでございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

3 審議事項
(1)権利濫用について
○新美会長 それでは、議事に入りたいと思います。
先ほど事務局から説明があったかと思いますが、本件は2件の審議事項がございます。
まず最初に、権利濫用について、お諮りしたいと思います。事務局から説明をよろしくお願いします。
○左右田情報公開担当課長 はい、それでは説明いたします。情報公開制度における権利の濫用につきましては、専門部会で検討をいただき、このたびガイドラインの案としておまとめいたしましたので、説明をさせていただきます。
資料に移ります。はじめに前回の審議会の報告から若干期間が空いてございますので、改めまして検討の背景を簡単に説明させていただきます。
情報公開条例の第4条では、公文書の開示を請求しようとする者は、適正な請求に努めるとされていますが、平成30年ごろから複数の請求者から著しく不適正と思われる請求が繰り返されました。具体的な請求事例は緑の枠内にあるとおりでございます。
このような著しく不適正と思われる開示請求が繰り返されますと、実施機関の業務負担が増えるだけではなくて、一般の都民に対するサービスが低下することが懸念されました。実施機関ではこれらの開示請求に対し、誠実に対応をし、一件一件処分を行ってまいりましたが、それらの処分に対しましても審査請求が繰り返されたところでございます。これらの審査請求に対しまして、東京都情報公開・個人情報保護審査会から「権利濫用として判断すべき」との答申が出されました。
権利濫用として判断した場合には、開示請求を受理した上で、却下という処分をすることとなりますが、情報公開条例には権利濫用に関する規定ですとか、審査基準というものはございません。条例の施行通達におきまして、著しく不適正な請求については、権利の濫用の一般法理により対処するとの規定があるのみです。今後権利濫用と見なされる開示請求があった場合に生じる行政事務の停滞とそれに起因します都民に対する不利益を回避するためにも、どのようにしてこういった請求に適切に判断をしていくか、この点につきまして審議会でご議論いただきまして、指針ですとか基準のようなものがあったほうがよいというご意見がございましたので、さらに専門部会を設けまして、検討を行ったというのが背景でございます。
それでは、専門部会における検討につきまして2ページに移りたいと思います。
専門部会では、令和3年の7月と11月の2回にわたり、ご審議をいただきました。この場を借りて先生方には改めて御礼を申し上げます。
第1回の専門部会では、事務局から審査会答申の内容と「権利濫用と判断すべき」と認められました具体的な事例を類型としてまとめたその内容について説明をさせていただきました。
委員からは、類型につきまして、権利濫用の判断の参考とするためにはこういった具体的な事例を示したほうがよい、大量の公文書を請求するいわゆる大量請求が権利濫用に当たると考えられがちですが、単に公文書が著しく大量であるだけでは権利の濫用と解すべきではなくて、分割ですとか抽出した請求となるように要請すべきだ、情報公開だけではなく個人情報保護条例に基づく開示請求においても参考となるものとすべき、都民一般による適正な開示請求権を妨げることのないよう慎重に判断すべきといったご意見を頂きました。
第2回に移ります。第1回のご意見を踏まえまして、第2回の専門部会では、事務局からガイドラインという形で案をまとめさせていただき、この内容につきましてご検討をいただきました。
委員からは、権利濫用は極めて例外的な態様ですので、類型に該当することのみをもって権利の濫用とは解すべきではない、判例の考え方等を踏まえまして、個別の事案ごとに総合的に判断すべきといったご意見を頂きました。
なお、判例では権利濫用の該当性につきまして、権利を行使しようとする者の事情が悪質であるかといった主観的側面ですとか、その権利を認めることによって生じる社会的な不利益といった客観的側面、こういった2つの側面から判断をされているということがございますので、こういった考え方等も踏まえていったほうがよいと、こういったご意見でございました。
次に、権利濫用を判断する根拠となるように条例を改正することとなりますと、現行の「適正な請求に努める」といった規定を「適正な請求をしなければならない」といったように改めることが考えられるところでございますが、このように開示請求者に強い義務を課すこととなるような条例の改正はすべきではない、また、判断の根拠とできるような「審査基準」とするのではなく各局が個別の案件ごとに判断をすることができるような「ガイドライン」といった性質のものがよい、といったご意見を頂きました。
以上のような検討結果を踏まえまして、ガイドライン案をまとめた次第でございます。
それでは、続きまして、ガイドラインの概要になりますが、説明させていただきます。
なお、参考でございますが、開示請求における権利の濫用に関しまして、ガイドラインという名称を使っている自治体はございませんが、権利濫用請求の取扱指針ですとか、取扱基準内規といった名称で運用している他県、他自治体の事例というのは既にございますので、東京都が初めてこういったものを制定するといったものではございません。
ガイドラインの趣旨に移ります。ガイドライン制定の目的は、公文書開示制度の適正な運用を推進するためのものでございまして、ガイドラインの別紙としまして、答申で権利の濫用と判断された具体的事例を参考にした類型を提示してございます。また、著しく大量の開示請求が直ちに権利の濫用に該当するわけではなく、実際に処分を行うのは各局でございますが、このような類型に該当する場合に個別の事案ごとに慎重に判断するものとしてございます。
開示請求事例に基づく類型につきましては、下記の表のとおりでございます。1つ目の類型は請求者の言動、請求の内容等から真に公文書の開示を求めるものでないと明らかに認められる開示請求が繰り返されるとき、2つ目が開示請求の手続等において、著しく不適正な行為が繰り返されるとき、3つ目がもっぱら実施機関の事務を混乱又は停滞させることを目的とする開示請求が繰り返されるときといった3つの類型にまとめさせていただいております。
各類型の具体的な事例は表の右側に幾つかですが、代表的なものを挙げさせていただきました。下の米印にございますが、注意すべき事項としまして、これらの3つの類型のうちの1つに該当することだけをもって権利濫用と判断するものではないということをガイドライン上に明記してございます。
それから、ガイドラインの本文をご覧いただきたいと思います。本文は3ページと別紙で構成されてございます。ただ今申し上げました概要で説明した部分につきまして、簡単にですが、ご説明させていただきます。
2番に下がっていただきまして、2番は基本指針を書いてございます。次のページの(2)にございますが、権利の濫用についての部分で、アにおきましては、「著しく不適正な請求及び使用については、権利濫用の一般法理により対処する」という通達の内容を再確認の意味で記載してございます。イのなお書き、ここでは都民の開示請求権を妨げることのないよう十分注意し、安易に開示請求を拒否する決定は、厳に慎むこととしております。ウではこのガイドラインにつきましては、今後随時見直しを行うとしてございます。
続きまして3番でございます。権利の濫用と解される開示請求が行われた場合の取扱いとしまして、類型に該当する開示請求が行われた場合、総合的に判断して、公文書開示制度の趣旨から著しく逸脱していると明らかに認められる場合には、権利の濫用と解し、一般法理により対処することと書いてございます。次のページでございます。なお書きのところでございますが、先ほどもございました1類型に該当することのみをもって権利の濫用と解すべきではないというのをここに明記してございます。
続きまして4番の開示請求に係る公文書が著しく大量である場合の取扱いについて、こちらにつきましては、大量請求が直ちに権利濫用には当たらないとした上で、分割請求ですとか抽出請求等の要請をしたにもかかわらず、正当な理由なくこれに応じず、加えて先ほど示しました類型に該当する場合には、総合的に権利濫用に該当するか否かを判断するとしてございます。
5でございます。東京都個人情報保護条例に関することでございますが、個人情報の開示請求につきましても、同様に権利濫用と見なされるような開示請求がある可能性がございますので、本ガイドラインを参考とするよう記載してございます。本文は以上でございますが、続きまして別紙でございます。
別紙は、権利の濫用と解される開示請求の類型と請求事例でございまして、先ほど申し上げました3類型と、その具体的な事例をまとめています。具体的な事例につきましては、先ほどよりも幾つか多く記載してございます。ご覧いただくと分かりますように、権利濫用を検討すべき具体的な事例というのは、極めて例外的で著しく不適正と認められるような開示請求の態様であるということがお分かりいただけるような内容になっているかと思います。決して一般的な開示請求を受け付けないといったような内容とはなってございません。
最後に、資料の1に戻りまして、今後のスケジュール案についてご説明申し上げます。下の部分、スケジュールの予定でございます。本日の本審議会終了後でございますが、パブリックコメントを実施して、都民の方からの意見をお聞きしたいと考えております。パブコメを実施する際には、ガイドラインの本文につきましてもご提示したいと考えております。その後、3月の中旬を予定してございますが、再度審議会を開催させていただきまして、パブコメの結果報告を行い、ガイドラインについて審議会でのご了承をいただければと考えてございます。
そして、その後ですが、4月の1日の予定でガイドラインの運用開始と考えているところでございます。長くなりましたが、ガイドラインに関する説明は以上とさせていただきます。どうぞご審議のほどよろしくお願いいたします。
○新美会長 ご説明ありがとうございました。
それでは、ただ今の説明につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたらご発言をお願いします。ご発言をご希望の方は、挙手の合図をしていただければと思います。
それでは、まず新保さんのご発言をお願いします。
○新保委員 はい、慶應義塾大学の新保です。質問と意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、こちらの資料番号で資料1のガイドラインの趣旨、開示請求事例に基づく類型の1)という資料で、開示決定等がされた大量の公文書を閲覧せずにおいてキャンセルする、開示決定通知書等の受領を拒否するというこういったいわば迷惑行為があるという記述がありますけれども、こちらについて質問と意見ということで、この後の意見との関係での質問なんですけれども、文書の請求であるとか情報処理システムを用いたデータの開示などについては、こちらは開示費用を徴収するということになっておりますけれども、閲覧については費用を徴収しないという手続になっていると思われますが、そうするとこの1番目に該当する場合に、文書などの開示、大量の、開示請求をしているけれども、閲覧のみということで文書の開示がなされないという場合には、この場合には費用の徴収がないのかというのが、まず1点目の質問であります。その趣旨はどういうことかと言うと、東京都の情報公開事務取扱要綱の6番目の公文書の開示方法で、情報処理システムの取扱いによってデータとして開示するときに特別の処理が必要な場合には、その概算額を前納させるという手続が定められていますけれども、つまり質問と意見の趣旨はどういうことかと言うと、これ、もう私は開示請求DoS攻撃とか開示請求DDoS攻撃と呼んでいるんですけれども、これは東京都などの公的機関だけでなく、弁護士会の懲戒請求であるとか、民間企業のクレームであるとか、さまざまなところでよく見受けられるものでありまして、開示の大量の請求ということでDoS攻撃、サービス拒否攻撃のようなものであったり、又はその開示請求とか懲戒請求を呼び掛けて、複数の人が大量に同一の請求をするというDDoS攻撃に似ているというところで、開示DoS攻撃又は開示請求DDoS攻撃と私は呼んでいるんですけれども、そうすると、この場合に費用面、費用で結果的に、費用が発生する場合の委縮効果というものを権利濫用の防止の際に活用できるのではないかというところで、1点目のところについて、閲覧については費用徴収しないということでよいのか、この場合にはあえてそれを狙って閲覧のみで文書開示などには至らないのかというのが質問で、2点目が、それに伴って特別の処理が必要な場合には費用の前納が必要であるということからすると、今回のこの権利濫用のガイドラインについても、そのような迷惑行為については費用の前納ですね、大量で、例えば特別の処理以外にも非常に対象文書が膨大であるといったような、事務処理が大量の手続が必要であるといったような場合には、こちらの6番目の(6)のような規定のように、特別の処理が必要な場合ということで費用を前もって納付させるといったようなことによる、ある意味での手続というものも検討できるのではないかということで、以上につきまして質問と意見を述べさせていただきたいと思います。
○新美会長 どうもありがとうございます。
○左右田情報公開担当課長 事務局から失礼いたします。
○新美会長 はい、お願いします。
○左右田情報公開担当課長 すみません、失礼しました。新保先生、貴重なご意見をありがとうございました。確かにシステム等特別な処理が必要な場合につきましては、前納で先に納めてもらうといった規定がございます。今回につきまして、権利濫用につきまして、そのような内容にするかどうかというのは、パブリックコメント等のご意見等も参考にしまして、また、検討させていただければと考えてございます。
なお、最初の質問でございます。今回閲覧をしないといった場合に費用を徴収できないかといったことでございますが、かつて条例を改正する前でございましたら、閲覧の場合におきましても先に費用を徴収してきたところでございますが、改正後は閲覧のみでございますと費用を徴収することができないとなってございますので、今回のような大量のケースでございましても、閲覧だけの場合には手数料等は徴収できないといった現状でございます。以上、お答えになっていますでしょうか。
○新美会長 どうもありがとうございます。新保さん、よろしいですか。
○新保委員 はい。やはりその点が逆に、この閲覧のみだと費用徴収できないということを逆に逆手に取って悪用するというものを今後増えるのではないかということを懸念しておりますので、ですから手続的に大量の事務処理ですよね、それが発生する場合のことも念頭に置いておかないと、これはさらに単なる閲覧、謄写の、謄写もですか、閲覧請求のみでの費用が発生しないという、いわゆる開示請求DoS攻撃、開示請求DDoS攻撃のようなものが懸念されるということで私の意見とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○新美会長 いや、新保さんの今の意見、非常に大事なことで、DoS攻撃等については、今後ますます予測されますので、従来の見解あるいは事務局の出した見解は、どっちかというとハードコピーを前提にした議論になっていそうですので、どうもこれは、またパブリックコメントを聞いた上で事務局で案を固めていただければと思います。新保さん、どうもありがとうございます。
それじゃ、続きまして石井さん、ご発言をお願いします。
○石井委員 はい、ありがとうございます。私の方からは、個人情報保護条例との関係についてお聞きしたい点があります。資料1でも挙げられていましたが、資料2の3ページ辺りで、権利の濫用であると解される開示請求があった場合は、本ガイドラインを参考に取り扱うものとするとされている点についてです。令和3年改正の個人情報保護法に基づく開示請求に関しても、一般法理として権利濫用を理由とする拒否処分は可能という解釈になっていて、行政機関の長は、権利濫用に当たると判断するのはどういう場合かについては、審査基準を作成しておくべき、ということではありますけれども、東京都におかれましては、この点、これまでの個人情報保護条例に基づく開示請求で権利濫用と解されるケースがどの程度蓄積されているのか、これはこれで別途基準みたいなものを考えて作っていかれるのか、また、情報公開条例に基づく公文書開示請求は、大量請求になりやすいのではないかという印象もありまして、個人情報の開示を求める場合との違いが傾向としてどのように表れているかといった辺りをお聞きできればと思います。以上です。
○新美会長 どうもありがとうございます。それでは、事務局からお答えいただけますでしょうか。
○左右田情報公開担当課長 はい、事務局からお答えさせていただきます。
まず、方針の関係でございますが、先ほど答申の内容について若干触れさせていただきましたが、1件、個人情報審査会でも答申が出てございまして、これは権利濫用として処分したものではございませんが、本来は権利濫用として判断すべきであったといった趣旨の答申を頂いているところがございますので、個人情報の請求におきましても、権利濫用と解されるものは今後発生する可能性があるのではないかといった考えで、このガイドラインにも盛り込んだ次第でございます。
また、基準等につきましては、特に国の動き等もございますので、そちらを注視していかなければいけないと考えてございますが、特段このガイドライン以外に現在、基準等につきましては、現在は検討していないといったところでございます。
また、先ほど情報公開と個人情報の差と質問がございましたが、個人情報ですと自らの保有個人情報を請求するところでございますので、本来は公文書の開示請求に比べると、文書につきましても大量といった面におきましても、なかなか権利濫用といったものは考えにくい点もあるかともございますが、先ほども申しましたとおり、過去の答申で実際にそういった事例もございましたので、そういった可能性も踏まえまして、ガイドラインに入れさせていただいたといったところでございます。以上ですが、いかがでございましょうか。
○石井委員 はい。ありがとうございます。別の基準を作るほどでもないが、個人情報開示請求があった場合でも、問題となるケースについては、作成するガイドラインを参考にしつつ判断するということですね。ありがとうございます。
○新美会長 ありがとうございます。ほかにご発言ご希望の方、いらっしゃいますでしょうか。神橋さん、どうぞ発言お願いします。
○神橋委員 はい。それではよろしくお願いいたします。
このガイドラインという形で落ち着いた経緯については了解した次第であります。1点だけ確認でありますけれども、3ページの4の開示請求に係る公文書が著しく大量である場合の取扱いの(1)のところですけれども、開示請求者に対し、通常事務が停滞し、そのほかの開示請求者に不利益が生じるおそれがあることなどについて説明した上で、その次ですが、できるだけ分割請求や抽出請求によるよう協力を要請するものとすると、こういうふうになっております。できるだけ開示請求を縛らないと、都民に対して義務を課したりするような形でやらないということでこういうことを要請するということですが、この点についての今後の取扱いの庁内における周知とかそういうような運用、実施面ですね、それについてどのような見通しでおられるのかということについてご説明いただければと存じます。よろしくお願いします。
○新美会長 はい、ありがとうございます。ただ今の神橋さんのご質問に対して事務局からお答えいただけたらと思います。
○左右田情報公開担当課長 はい、事務局からお答えいたします。ただ今のご質問に関しましてでございますが、これまでにおきましても、情報公開の事務取扱要綱におきまして、開示請求を受け付ける時点で開示請求に係る公文書が著しく大量であることが想定される場合は、開示請求者に対し、できるだけ分割請求や抽出請求によるよう協力要請するというのはこれまでも規定されていたところでございまして、このガイドラインを作成するに当たりまして、大量請求というのが結構権利濫用と見なされがちでございますので、この要綱の内容につきまして改めて書かせていただいたところでございます。このガイドラインを運用するに際しまして、各局に対しまして通知ですとかそういったものを、形は現在考えているところでございますが、再度改めまして、こういった大量請求があった場合には、年度ごとで区切るですとか、補正となるような資料を提供するように努めるですとか、具体的に大量請求があった場合にはどうしたらいいかというのは、何らかの形でお示しをして、周知をするようにしまして、統一的な対応が図れるようにしてまいりたいと考えてございます。どうもご意見ありがとうございます。
○神橋委員 はい、一つよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○新美会長 どうもありがとうございます。それでは、ほかにご発言ご希望の方、いらっしゃいますでしょうか。
議題1については、特にございませんでしょうか。どうもありがとうございます。議題1については、以上にさせていただきます。
なお、武市局長は職務の都合により、ここら辺りでご退席されるということを伺っておりますので、適宜よろしくお願いします。

(2)個人情報保護制度について
○新美会長 それでは、審議事項の2に移りたいと思います。
個人情報保護制度についてということになります。これについても、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○猪俣情報公開課長 はい、それではご説明させていただきます。
まず、お手元の資料3をご覧いただきたいと思います。既にこちらの審議会でご説明したものもございますが、改めまして基本的な部分からご説明させていただきたいと思っております。
まず、こちらにございます個人情報保護法制度の法体系についてでございますが、1)から4)までございますが、1)だけ簡単にご説明させていただきますと、下の現行、見直し後の図にもございますように、現行上、もともと、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3本の法律がございました。こちらを1本の法律に統合するということで、昨年の5月に新たな個人情報保護法というのが成立しております。見直し後は右側にございますように、地方公共団体も含めまして、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化して、新たな法の中で共通ルールが図られるという形になってございます。
続きまして、次のページ、2ページに移りたいと思います。こちらは地方公共団体の個人情報保護制度のあり方というところになりますけれども、趣旨の1つ目の丸にございますように、社会全体のデジタル化に対応した「個人情報保護」と「データ流通」の両立が要請される中、団体ごとの個人情報保護条例の規定・運用の相違がデータ流通の支障となりうる、求められる保護水準を満たさない団体があるなどの指摘がございまして、こちらはいわゆる2,000個問題と言われておりました。2,000の自治体があれば2,000の条例が存在する、それぞれまちまちに規定されているということが非常にこうした社会全体の中で支障を来していたという指摘があったというところによるものでございます。
また、2つ目の丸にございますように、独立した機関による監督等を求めるEUにおけるGDPR、一般データ保護規則というのがございますけれども、これの十分性認定など国際的な制度調和など、我が国の成長戦略への整合の要請、こうしたものもございました。こうしたことを踏まえまして、3番目の丸になりますけれども、地方公共団体の個人情報保護制度について、全国的な共通ルールを法律で規定するということとなりまして、また、国がガイドライン等を示すことによって、地方公共団体の的確な運用を確保するという、こうした法のメリットがあるという前提となってございます。
下に概要が1)から8)までございますが、お時間の都合もありますので、ほぼ省略させていただきますが、8)の施行期日等という右側の下のところにございますように、施行期日は公布から2年以内の政令で定める日となってございますので、先ほど申し上げましたとおり、昨年の5月に法が成立している関係から、2年後の令和5年の春までに、政令で定められた日にこの地方公共団体に関しましては法が施行されるということになってございます。そのため、次のところの記載のように、地方公共団体は法律の施行に必要な条例を制定していくという、こういう作業が必要となります。
次に移ります。3ページに改正法と現行条例の相違点ということで、これは整理させていただいたんですけれども、幾つかございまして、10個ほど挙げさせていただくということになってございます。個人情報等の定義などにおいては、右側の現行条例においては、民間事業者における定義を採用した点の相違、それから2つ目にあります要配慮個人情報の定義、これは現行条例では収集を制限する個人情報の規定が存在している、それから3つ目と4つ目は類似しておりますけれども、法上、個人情報ファイル簿の整備ということが必要となりまして、1,000件以上のデータベースに関する帳簿を公表することとなってございます。現行条例では、保有個人情報取扱事務について、届出書を公表しておりますが、ファイル簿等の整備というのはしておりませんので、これは新たに整備する必要性があるということで、大きな課題となってございます。
それから5番目、開示請求できる者ですけれども、改正法では、本人及び法定代理人に加え、任意代理人も可能となっております。現行条例では、任意代理人は認めておりませんので、今後任意代理を認めていく上での手続や、運用上についてどうしていくかという点も新たな課題となってまいります。
それから6点目、不開示情報ですけれども、国の規定上は全7号に統一されております。現行条例では、情報公開条例の整合等を踏まえ、全11号を規定しておりますので、この乖離(かいり)をどうしていくかという点も課題としてございます。
それから、決定期限でございますが、国の規定上は原則30日以内で統一されており、現行条例では14日以内になっておりますので、これは14日以内を順守していく方向になるのではないかとなりますが、ここも乖離がございます。
それから、手数料は、先ほども権利濫用のところでも若干話が出ましたけれども、実費で請求手数料プラス写しの費用等の範囲で規定されているのに対し、条例上は、閲覧時などに請求手数料を徴収しておりませんので、こうした乖離もございます。
それから、審査会、審議会の位置付けについても、審議会をどうしていくかとか、そういった点について、課題があるという認識でございます。
最後、事業者・出資団体等については、民間部門等を個人情報保護委員会が指導監督することになっておりまして、現行条例ではこの条例に基づき指導等を行っておりますので、これは指導の方法が変わっていきます。この点についてもどのように運用していくかということが検討の課題となってございます。
以上の中で、太字に書いてあるものについては、主に専門部会の皆様方で検討していただいているということでございますが、必要により、ほかのものについても検討していくという形になろうかと思います。
現状、まだ検討途上でございますので、引き続きご検討いただいて、まとまった段階では、また審議会にご報告していくという作業になろうかと思っております。
以上のほかにも、匿名加工情報の事務のための帳簿への登録、紙以外の交付媒体、それから死者に関する情報など、ほかにも検討するべき余地はございますけれども、代表的なものを10個挙げさせていただくということでご認識いただければと思っております。
続きまして、最後、4ページですけれども、改正法の今後の想定スケジュールということで、真ん中の令和4年に改正法の一部施行ということで国等というのがございますけれども、国は1年以内の施行になりますので、この春、改正法が施行されるという形になります。東京都も入りますが、地方公共団体に関しましては、一番右端にございます改正法全面施行ということで、先ほど申し上げましたように5年の春に施行されますので、これに向けて準備を進めていくということになります。ちょっと見にくいんですけれども、その真ん中の改正法一部施行の国等の左側に政令や、それから一番下のところにガイドライン案がございますけれども、こうしたものについて、意見公募を行って、その結果を踏まえて政令・規則、ガイドライン案がこの春に示され、それに基づいて、一番下の右側にございます緑の矢印、改正条例の議会上程、関係規則の改正等ということで、5年の春を目指して議会等に条例改正等、そうしたものを提案していくという作業などを進めていく必要があるということでございます。資料3につきましては、以上でございます。
続きまして、資料4に入らせていただきます。個人情報保護法対応部会、専門部会からの報告ということでご説明をさせていただきます。代表的なものとして非開示情報と代理請求等について、主にご説明させていただきたいと思っております。
次のページに移ります。現在対応部会といたしましては、昨年の7月に第1回対応部会を開きまして、また、その後、10月18日に、赤字の部分ですけれども、第2回対応部会を開かせていただきました。ここで非開示情報、代理人開示請求等の関連条項等、こういったものを検討しておりますので、今回こうしたものをご説明させていただきたいと思っております。
今後の予定ですけれども、来年2月3日に第3回の対応部会を開かせていただく予定でございまして、こうしたことを踏まえまして、5月ごろ、第4回の対応部会、中間整理ということで、ここのまとまった段階で、審議会の本会にご報告させていただきたいと思いますので、専門部会の委員の皆様方におかれましては、引き続きご審議のほどよろしくお願いしたいと思っております。
先ほどご説明しましたように、5年春ごろに、改正法の施行がございますので、それに向けて都議会の定例会などに条例案を提出すると、こうしたスケジュールになってございます。
内容によっては、政令・規則、ガイドラインが出た段階で、また検討の余地が出たものなどもあろうかと思いますので、場合によってはこのスケジュールのようには進まないということもあろうかと思いますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
続きまして、3ページに移ります。次に、改正法における非開示情報・代理請求等ということで、先ほど国のいわゆる法上でいくと7つ、それから現行条例でいくと11、非開示情報がありますというお話をしましたが、この左側に条例、右側に法という、入れ替わっていますけれども、この1)を除いて2)、3)、4)、5)、6)、7)という右側の個人情報保護に対比する左側の条例の2)から6)、これについては、法とほとんど共通という認識ですので、これは法の共通ルール上、同じベースで考えればいいということになろうかと、現段階では整理をしているところでございます。
問題としては、例えば7)、8)、9)、これは法上の規定がございませんので、四角の枠の中に書いてございますが、情報公開条例との整合を図るものについては、条例での追加も可能であると言われておりますので、ここについては、場合によっては、新たな規定ということでうたっていく必要性があるかもしれません。ただし、実質的に上記の1)から7)に含まれる場合は、条例での規定が不要となっておりますので、これも引き続き検討が必要かと思っております。
また、左側にある10)、11)、それから一番上の1)、これは現行の個人情報保護法に同じという認識でございますので、ここはそのまま法に引き継ぐという形でよろしいかと思いますが、最終的には、改めましてご報告したいと思っております。
それから、次の下の側になりますが、開示請求できる者、下3分の1程度に書かせていただいていますけれども、先ほども申しましたとおり、本人法定代理人以外、今回任意代理人が新たに含まれます。こちらについては、都条例にこの請求を規定しておりませんので、改正法施行後は法定事項ということになります。国の法上は、後ほどご説明しますが、委任状に基づいて、代理ができる形にとしか、規定がございませんので、手続上、運用上の課題というものを整理していく必要性があると考えております。
法定代理については、条例上でいいますと、本人との利益相反が除かれていたり、法上でいくと本人の意思と独立ということはありますけれども、この辺りは体系上はほぼ同じと認識しております。
続きまして、4ページに移ります。次の4)、5)につきましては小括の案で、まず、改正法を踏まえた非開示情報の考え方です。1)で、国が示すイメージ条例に従えば、現行の非開示情報を維持することは技術的には可能であると考えております。ただし、新法で運用可能な非開示情報もありますので、1)を行うことによって見かけ上、非開示情報が国より多いかのような印象となるおそれということで、現状、ご説明しましたより国の法上は7つの規定、条例上は11の規定となっておりまして、非開示情報が増えるという、そういうおそれがあると、そういうことが考えられます。
※印2つ書かせていただきましたが、実態は、公文書開示制度との整合を図っているということが、情報公開制度との整合性を図っているだけで運用上は変わっていないと。ただ、一方で実際に運用する機会が多いかどうかは別にしまして、理論上、新法により非開示とすることができる情報が増えていくということも事実であるということでございます。
こうした点については、引き続き、ほかの自治体などの動向等も見据えながら検討していただくということで考えております。
また、3)で、一部、非開示の運用に疑義や懸念が残るんですが、今後の実務や答申等の蓄積に期待していきましょうという考えもございます。
これが非開示情報の考え方としてまとめさせていただいた一つの案でございます。
それから、最後、5ページですが、代理請求等の考え方、こちらはやや多く記載させていただいておりますけれども、まず、代理をされる方の本人確認については、顔写真なしの本人確認書類が1点で法上済むとなりますと、現行の都の場合は複数求めておりますので、実務上、その厳格性が担保できなくなるのではないかということがございます。これは、矢印にございますように、都の開示請求については、書類の性質に応じた組み合わせ方式による確認など、追加的に本人確認手続を取ることができるのかどうかという点について、今後、国とまた調整させていただきたいと思っております。
※にございますように、法定代理人の資格の確認に限っていいますと、逆に確認書類の有効、失効等の要件等が加わりますが、これは現行、都の実務と比べますと、厳格性は高まる見込みとなっておりますので、これは逆に法上の規定が厳格性が高まると、こうした点もございます。これについては、今後、非開示情報としての法定代理人との利益相反による情報が明示されず、新法に基づく運用となることも踏まえて、引き続き厳格に判断していくべきかと考えております。
それから、次に、任意代理人による請求ですけれども、委任状、実印・印鑑登録証明書によること以外の手続や措置等が特段想定されていないということがございます。これは、例えば法定代理人による開示請求が困難な場合等やむを得ない場合に限定することや、委任状の要件の厳格化を図ること等について、国に強く働き掛けていく必要があるのではないかということです。
なりすましなどが行われたり、実際に全く本人の意に反した形での委任などが行われるおそれが全くないとは言えませんので、この辺りの厳格性をどのように担保するかということについて、やはり国と調整を図らせていただきたいと考えております。
それから、郵送等送付による請求ですけれども、これは受付時に組み合わせ方式が採用されるものの、求める書類の種類がこれまでとの実務と異なることも踏まえて、引き続き検討となってございますが、現状、都で郵送等を認めておりますのが、例えば身体上のことでこちらにお越しになられないという場合など限られておりますので、そういう面での郵送等については原則、送付が認められますので、こういった都の実務と異なる点についても引き続き検討が必要ではないかと、そういった点も上げられております。
雑ぱくではございますが、以上、これまでの検討内容や考え方の方向性についてお示しをさせていただきました。
また、繰り返しになりますけれども、引き続き専門部会の委員の皆様方にご審議、ご検討いただきまして、また、その結果をまとめつつ、審議会の本会の委員の皆様に報告させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは、以上でございます。よろしくお願いいたします。
○新美会長 ご説明ありがとうございました。それでは、ただ今の説明につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたら、ご発言いただきたいと思います。挙手ボタンを押して、お知らせいただければと思います。いかがでしょうか。
石井さん、どうぞよろしくお願いします。
○石井委員 はい、ありがとうございます。教えていただきたいことがあります。今開いていただいているページの改正法を踏まえた代理請求の考え方ですが、保有個人情報の開示請求などの手続に関する事項は、ある程度条例で定めることが許容されているという理解でおりますが、例えば任意代理人による請求において、委任状によること以外に手続や措置等が想定されていない部分については、より、その本人が本当に委任したかどうかを確認する手続を厳格に条例で定めることは排除されないのではないかと思います。この点は何か解釈上、考え方が分かれているという理解でしょうか。
それから4番目のところは聞き逃してしまったと思いますが、郵送等送付による請求は、代理人が請求する場合の話に限らないということでしょうか。郵送等の請求は原則的には受け付けていないというご説明でしょうか。あるいは、これは郵送であっても郵送でなくても同じで、許容範囲で受け付けているということでしょうか。一つの手続に行くように、例えば直接伺って請求するようなスタイルが取られることが望ましいというようなルールになっているのか、その辺を教えていただきたいのですが。
○新美会長 はい、ありがとうございます。事務局からただ今の質問について、お答えいただけますでしょうか。
○平松課長代理 はい。それでは、事務局の私平松からお答えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、ご質問いただきましてありがとうございました。1点目の任意代理人に関する請求に際しまして、先生おっしゃっていただきましたように、主要な部分は法律で規定されていて、子細な部分を条例で定められるという説明を我々も当初受けていたところなんですけれども、現在、国から説明会等を踏まえて発出されております、一応今の段階ではQ&Aの案というものを拝見しておりますと、例えば東京都ですと、思慮分別年齢であります満15歳以上の未成年者の法定代理人による開示請求をするに当たっては、例えば、この法定代理人と任意代理人の考え方が、まず国と若干違うところもあるんですけれども、東京都ですと、例えば法定代理人だとしても利益が相反する場合があるということで、思慮分別年齢である15歳以上の場合の未成年者の場合は、確認書を送付して、ご本人の意思が本当であるかどうかを確認するという手続をやっているんですけれども、国のFAQ等を見ますと、そういった実務は基本的にはしないでほしいと言われています。これは任意代理人と法定代理人の法的な性格の捉え方の違いもあるんですけれども、一応、国によりますと、なりすまし等による制度の悪用を防止する観点から、任意代理人の資格を確認することは重要なんだけれども、必要に応じて本人に確認書を送付したり、返信をもって本人の意思を確認することを規定することは妨げられないとされているんですが、法定代理人については、そういうことは有名無実化してしまうので、しないでほしいという説明を受けていて、この辺の整理をどうしようかなと思っているところです。頂いた質問は、任意代理人だったんですけれども、同じような課題は法定代理人についてもあるなと思っているんですけれども、その辺の整理を今、しなければならないと考えているのが1点目です。
もう1点目の郵送につきましては、これは本人請求であっても、代理人請求であっても、東京都では、やむを得ない場合に今まで限って受け付けていたという実務があったということでございまして、ここにつきましては、本人、代理人を問わず、厳格に対応してきたということでございます。説明としては以上です。
○新美会長 ありがとうございます。どうぞ、石井さん、追加のご質問ありましたらどうぞ。
○石井委員 ありがとうございます。前半ですが、改正法の第108条で、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではないという明文がありますよね。あまり国が手続面まで縛ってしまうと、それはいかがなものかという感じがしますが、ある程度国も話に応じて、相談には応じてもらえそうな印象でしょうか。
○平松課長代理 はい。ご質問いただきましてありがとうございます。その点につきましては、いろいろやり取りをさせていただいている、質疑応答とかの場も踏まえてやり取りさせていただいているんですけれども、一応、国の今の説明ですと、任意代理人というのは、法的な性格としては任意に代理しているので、代理されているかどうかちゃんと確認するように、そこはうちも実務でやっていないので、まあそうなのかなと思うんですけれども、法定代理人は、先ほど資料にありましたように、本人の意思とは独立した法定代理人というものに権利、開示請求権が認められているのだという前提に立っているというのが多分国の考え方でして、東京都は法定代理人とはいっても、本人との利益相反を除いた法定代理人となっていますので、いわば使者ですね、使いの者としての性格で今まで運用してきたんですけれども、そういう法定代理人に本来与えられているはずの法的性質を一部阻害するかのような実務は認められないというような説明を受けております。そこの最後のせめぎ合いではありますけれども、全国統一的に法定代理人とされている人、そして任意代理人とされている人たちに開示請求権が与えられているという法律上の整理と実務をどういうふうに落着させていくかは、今後の検討課題の一つになろうかと認識しております。以上です。
○石井委員 はい、分かりました。ありがとうございます。
○新美会長 どうもありがとうございます。今の点の、法定代理人に開示請求権があるかどうかというのは慎重な議論が必要だとは思っております。プライバシーに関わる事項については、本人に判断能力、行為能力ではなくて判断能力がある限りは本人の同意を得ておくべきだというのは、これは治験とか医療における臨床試験の同意取得においては当然のごとく運用されておりますので、この個人情報の場合に、それに類似して扱う必要があるんじゃないかというのは多くのところで言われておりますので、国の言うような単純な話にはならないのではないかと、やっぱりそういう印象を持って伺っております。
ほかにご発言……小幡さんどうぞ、ご発言お願いします。
○小幡委員 はい、ありがとうございます。今のお話ですが、石井委員もおっしゃったように、これから法律を踏まえて条例をどう改正していかなければいけないかというのは、大変な作業だと思いますが、結局、例えば決定期限などは国の法律より短縮するのは構わないし、つまり個人情報保護の観点をより進めるような形での条例はOKということですかね。そうであるとすれば、今の代理の話もそういう話になるし、本人確認書類等々は、もう少し追加的に必要とするとかですね。ただ、それが結構分かりにくいところが出てくるのかもしれないので、分からない部分もありますが、先ほどの石井委員のおっしゃるように、自治体ができるような提案については、それを否定するということではないと思うので、その辺りを時間がどのぐらいあるのか分かりませんが、詰めていただく必要があるのかと思います。
郵送、これは技術的な話ですかね。何か技術的な話も入ってくるので難しいのですが、それから言葉の問題として、非開示、不開示の問題もあります。言葉だけの問題なので、もう不開示でよいかという感じがしたりもしますが、本筋で議論すべき原則的なところと、技術的に国の法律との間の関係で単に調整していくところが混ざっているので、ご苦労かと思いますが、部会でよろしくお願いしたいと思います。
○新美会長 ありがとうございます。今の点の郵送についても、「等」というのが実はくせ者だなと思って伺っております。これはメールなんかで来たときも受け付けろという趣旨になるのかならないのか、この辺はきちんと詰めてやっていく必要があろうかと思います。
どうもありがとうございます。ほかにご発言ございましたらどうぞ。よろしくお願いします。ほかにございませんでしょうか。
○石井委員 すみません、石井ですけど、もしどなたもいらっしゃらなければ。
○新美会長 はい。お願いします。
○石井委員 大変基本的な質問で恐縮ですが、戸籍や住民票の請求は郵送で認めていて、代理人の場合は委任状があればよいとなっていますよね。それと比べて、保有個人情報のほうは、典型的なものではないという理由で、郵送等については厳格な運用になっているという整理なのでしょうか。その辺だけ念のためお聞きしておきたいと思いました。
○新美会長 事務局からいかがですか、今の質問について。
○平松課長代理 はい、事務局の平松です。お答えさせていただきたいと思います。
先生が今ご指摘いただいた点につきましては、おそらくご指摘のとおりの趣旨だと思われます。戸籍とか住民票につきましては、請求する権者をある意味極端に狭めてしまうと社会生活上不利益があるということで、そういう運用になっていると思うんですが、一方、保有個人情報の開示請求は、もちろん権利としては設権されているものですけれども、必ずそれがないと、というものというよりかは、1つ、東京都独自で条例で設権したサービスというところもあるのかなというのと、もう一つは、これは人口密集度合いと地域の面積的な話なんですけれども、元来保有個人情報の開示請求で郵送を認めている地域は、割と面積が大きく、人口の集中度合いも散らばりがちなところ、点在しているところは、いわゆる都道府県立の官舎に行くまで、本人がご来庁するまでコストが高いような地域では、割と郵送による開示請求は早い段階から認められてきたという認識をしています。
その点、東京都は非常に交通至便の地域でございますので、こういった地域であるにもかかわらず、ご本人様が都立施設とか、都の所轄の警察署も含めてですけれども、ご来庁いただけないというのは、ご本人様以外のなりすましですとか、正確なご本人確認をする上でなかなか難しいのかなということで、今までは郵送に関する開示請求は極めて厳格に、先ほど課長からも説明がありましたが、身体上の事情でやむを得ない方、あと東京都の場合、島しょ地域がございますので、そういった極端に遠方という場合において、限定的に認めてきた経緯があるということでございます。以上です。
○石井委員 はい。やっと分かりました。
○新美会長 ありがとうございました。ほかにご発言ご希望の方、いらっしゃいませんでしょうか。よろしいでしょうか。それじゃ、どうもありがとうございます。

4 閉会
本日の議事としては、予定したものは、以上でございますが、全体を通じて、あるいはそれ以外でも、委員の皆様から何か情報提供がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。特にございませんでしょうか。なければ、事務局からいかがでしょうか。
○猪俣情報公開課長 それでは、すみません、1点だけよろしいでしょうか。
○新美会長 はい。
○猪俣情報公開課長 今後の審議会の開催予定についてだけ、ご報告させていただきます。3月に開催させていただく予定で、委員の皆様、それから臨時委員の皆様、日程表をお送りいただきましてありがとうございました。今週中には日程を確定させていただきまして、ご連絡申し上げたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。ありがとうございます。
○新美会長 ありがとうございます。ほかに特にございませんようでしたら、本日は、以上をもちまして、終了したいと思います。どうも長時間にわたりご審議いただきありがとうございました。失礼いたします。

午後4時35分 閉会

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