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平成29年(2017年)2月7日更新

情報公開・個人情報保護審議会 第17回議事録

第17回東京都情報公開・個人情報保護審議会

成15年11月12日(水曜日)
京都第一本庁舎42階 特別会議室B

  • 堀部会長
    ただいまから、第17回東京都情報公開個人情報保護審議会を開催させていただきます。夜間の開催で申し訳ありませんが、お集まりいただきましてありがとうございます。
    本日の議事ですが、お手元の会議次第にありますように、最初に「個人情報の利用停止請求権」について、第2に「個人情報の非開示条項」について、この二つを予定しております。
    まず議題1の個人情報の利用停止請求権について、事務局から現行条例の説明、法令の説明等をお願いしたいと思います。それでは入谷課長お願いします。
  • 入谷情報公開課長
    それではご説明させていただきます。
    情報公開クリアリングハウスから、本日の議題に合わせて意見をお寄せいただいてございますので、ご覧いただければと思います。
    それでは「利用停止請求権」につきましてご説明をさせていただきます。資料の2をお開きください。
    利用停止請求権は現在の東京都の条例には全く規定がないものでございます。個人情報の保護に関する法律と、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律という二つの法律に、今回新たに設けられた制度というふうになってございます。
    それでは、「個人情報の保護に関する法律」からご説明させていただきます。これは民間の個人情報の取扱事業者に関して規定をしているものでございます。その27条でございますが、個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人情報データが利用目的の制限の規定に違反して取り扱われているとき、それから適正な取得の規定に違反して取得されたものであるときについては、当該保有個人情報データの利用の停止又は消去を求めることができるということでございます。それを求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止を行わなければならないというような義務を個人情報取扱事業者に課してございます。「ただし、当該保有個人データの利用停止等に多額な費用を要する場合その他の利用停止を行うことは困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りではない」というただし書がついた上での利用停止、あるいは消去を求めることができるという規定になってございます。
    それから、その2項でございますけれども、次の個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第三者提供の制限の規定に違反して、第三者に提供されているという理由によって、当該保有個人情報データの第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があると判明したときは、遅滞なく第三者への提供を停止しなければならないという規定でございます。これもただし書がございまして、第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りではないというような規定でございます。
    次は行政機関法ですけれども、行政機関については、さらに規定が細かくなってございます。36条1項の1号でございますけれども、ここに利用の停止又は消去を求めることができるときの要件が規定してございます。何人も、自己を本人とする保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、この法律の求めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。ただし、当該保有個人情報の利用の停止、消去又は提供の停止に関して他の法律に定めがあるときは、その限りではないとなっております。要件としまして、当該保有個人情報を保有する行政機関により適法に取得されたものでないとき、それから、個人情報の保有の制限の規定に違反して保有されているとき、それから利用及び提供の制限の規定に違反して利用されているときの、この3この場合につきましては、利用の停止又は消去を求めることができると規定してございます。
    それから、3項のところですが、この利用停止請求は、保有個人情報の開示を受けた日から90日以内にしなければならないという規定がございまして、開示請求前置主義ということになってございます。
    それから、38条はその請求を受けたときの行政機関の義務でございます。行政機関の長は、利用停止請求があった場合において、当該利用停止請求に理由があると認めるときは、当該行政機関における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしなければならないと規定してございます。ただし、当該保有個人情報の利用停止をすることによって、事務の性質上、当該事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるときはこの限りではないと規定してございます。
    それから、40条でございますが、利用停止をするか、あるいは提供の停止をするかというような決定は利用停止請求があった日から30日以内にしなければならないとしてございます。この30日は開示請求ですとか、そういったものも国の法律は現在30日以内に決定をしなければならないというようなことになってございます。
    以上でございますけれども、これにつきまして、私どもでは先生方からご意見を今回いただきたいと考えてございますけれども、一つ目といたしましては、利用停止請求権の導入を行うべきかどうかという点でございます。
    それから、二つ目でございますが、現行制度、法律の方は開示請求前置主義というのになってございます。東京都も訂正請求権がありますが、これも開示決定を受けたものについて訂正請求をすることができる仕組みになってございます。その延長で考えれば、開示請求を受けたものについて、利用停止の請求をすることができる仕組みになるのが自然な流れではありますが、開示請求の前置主義をどう考えるべきかということでございます。
    それから、法律は開示決定を受けてから90日以内に利用停止請求をしなくてはいけないという仕組みになってございます。東京都は、訂正請求も、特段期限の制限というのはございませんで、開示決定を受けてからいつでも訂正請求を行うことができるという仕組みになってございますので、この90日の制限を設けるべきかどうかとか、そういった点について今回先生方のご意見をいただければと思います。
    以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。ただいま入谷課長から意見を出していただきたい点につきまして二つ挙げられました。一つは、利用停止請求権を導入するかどうか、もう一つは、開示請求前置とするか、請求期間を国のように90日という制限を設けるかどうか、こういうことですが、1の利用停止請求権を導入するとなったときに、2の方の問題が出てまいりますので、まず最初の利用停止請求権についてどのように考えたらよいかご意見をお出しいただきたいと思います。
  • 加藤委員
    当然、利用停止請求は保障されるべきだと思います。それをどういうふうに書くかということになるんだろうと思うんですが、ご要望が今日出ていますよね。情報公開クリアリングハウスの意見書の2ページの上の2の段落で、こういうことが書いてあるわけですが、私としてはもっともな意見だと思うんですが、これは肯定しにくいようなものが含まれているんでしょうか。
  • 堀部会長
    それは次の第二段階の話ですね。まず設けるかどうかという点についてご意見を出していただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
  • 佐藤委員
    個人情報の保護に関する法律の利用停止等に多額の費用を要する場合の多額の費用を要するというのはどういうことなんでしょうか、内容的にちょっと分かりにくいんですが。
  • 堀部会長
    何か事務局の方で説明していただけますでしょうか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    これは例として解説書を参考に申し上げますと、保有個人データ中に不正手段により取得した個人データが含まれているものを印刷物などの資料の形態で大量に配布してしまい、その回収とか刷り直しなどに多額の費用等が必要な場合に、個人情報取扱事業者が利用停止等を行うことに代えて、修正資料を別途配布するなどにより、本人の権利利益の保護を図ることが考えられるというようなことがありますので、利用停止等をしないことにより、本人に具体的な損失が生じる場合には金銭の支払いがなされることもあり得ることも考えられるというような解説がございますが、具体的なことは私も明確にはお答えできません。
  • 堀部会長
    ということでよろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
  • 村上委員
    国の行政機関でこういう権利が認められて、地方自治体で認められない理由が特にあるのであればともかく、認めない理由はないのであれば、国の行政機関に対して認められている権利と同様の権利が当然地方自治体の行政機関に対しても認められてしかるべきなんだろうと思います。
  • 堀部会長
    経緯だけ申しますと、最初に基本法制である個人情報の保護に関する法律に利用停止等というのを入れることにしました。それを受けて行政機関等についてどうするのかということで議論をした際に、やはり行政機関についても必要であろうということになりました。今日の資料の4ページの「利用停止等の請求(要旨)」というのは、報告書の要旨ですか。
  • 入谷情報公開課長
    そうです。
  • 堀部会長
    お手元の資料でいいますと、この萌黄色の方のファイルにあります資料(行政機関等個人情報保護法制研究会)で検討したときに、行政機関についても同様に停止請求権というのを規定すべきではないかということになりました。それに基づいて、総務省の政策統括官から平成15年6月16日付けで各都道府県知事、各指定都市市長あてに通知が出ていまして、その中でも、個人情報保護条例における関係規定の整備が必要であると言っています。ということで、導入するということに特にご異議がなければ、第一段階として導入するということで、こことしてはまとめておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
    それでは導入するとして、次に問題になりますのが、開示請求前置にするのかどうか、それから請求期間90日と行政機関法にありますので、そういう制限をどうするのかということにつきましてご意見をお出しいただきたいと思います。
  • 村上委員
    開示請求を前置しないで、利用停止請求をするという事態がどういう事態なのかよく分からないんですが、要するに、開示されていないのにもかかわらず、個人情報が行政機関にあるということを市民が分かるというのは、公務員が守秘義務に反して、その市民に対して情報提供したような場合ではないのかという印象を持っているんですね。そうすると、開示されるということを前提としないで利用停止請求だけするというのが果たしてどういうふうになるのか私はよく分からないのですけれども、少なくとも、開示されたことによって行政機関がそういう情報を持っていると、だから、これを止めてくださいというなら論理的に分かるんですけれども、開示もされていない個人情報が行政機関にあるというのが分かるというのがよく理解できないんです。そういう意味では論理的に考えると、開示請求があって、その次に利用停止請求なり訂正請求という形に進んでいくのではないかと思われるんですね。
    それと逆に言うと、この後検討する非開示条項との関係にもなるんですが、開示を前提としないで何でも利用停止請求できるというと、非開示条項にされている部分についても、利用停止請求をすると、要するに探索的にそういう情報があるんじゃないかと、探索的な手法として利用停止請求がされて、行政側の実務が混乱するんじゃないかという懸念も若干あるのですけれども。
  • 堀部会長
    村上委員のご意見についてはいかがでしょうか。加藤委員の先ほどのはどういうことになりますか。
  • 加藤委員
    確かにそれは、本人は開示されないのに、その情報があるかないかということが分かるのは漏洩しかないのではないかというご発言ですけれども、果たしてそうなんだろうかと思うんですね。
  • 堀部会長
    今日の議題の二つ目ですけれども、開示された個人情報についてのみ停止請求権を認めるのか、それとも、東京都の言葉ですと、非開示事由に当たるということで開示されなかったものもあります。そうすると存在は分かるわけです。
    そこについても利用停止請求権が及ぶのかということだと思うのですが。
  • 加藤委員
    漏洩だけでなくて、開示はしてくれないけれども、そういうものがリストとしてあるという、そこに自分の個人情報が入っているんだということの分かるリストがありさえすれば、それは開示されなくても、例えば病気の関係のこととか、財産上のこととかで何かそういったケースがあるのではないかと思うのです。開示をされなくても、学術研究に使われる場合などは、そういう利用はされたくないと、自治体の方に必要があって収集されているもので、そこどまりにしてほしいという場合もあるんじゃないかと思うんです。
  • 村上委員
    開示されないけれども、自分の個人情報が行政機関が持っていると分かるというケースというのは。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    原則として本人から情報収集するということで元々動いています。私どもの今の条例で言えば、個人情報をとって事業をしなければいけない場合には事前に私どもの方に届出をさせていますから、ご本人から見れば、自分の情報がどの事業で自分が情報を出したかというようなことは基本的に分かっているはずなんですね。ですから、前置主義との関係でいうと議論があると思いますけれども、もし請求をしないでも、自分の情報がこの事業で、こういう情報が保存されているだろうというふうに推測すれば、先ほどの漏洩とかに関係なく、たぶん、あるんじゃないかというようなことは想像といいますか、結びついて分かるのではないかと思います。
  • 藤谷委員
    この利用停止請求権は、元々収集のときから始まって、予定されているとおり、きちんと使われていれば、間違った利用はされないのが本来は筋なわけです。ところが、そのプロセスがどこかで守られなかったときの最後の砦として自己情報のコントロール権を人に認めていると思うんです。だとすると、あるべき姿がどこかでずれていた場合に、その最後に、利用を停止してほしいという権利を認めなければ、やはり保護において十分ではない。漏洩の場合も漏洩は本来はあってはいけないことで、ない方が当然当よいわけですけれども、漏洩があったにもかかわらず、利用が相変わらず継続している状態のときに、行政もそういうことは普通はしないと思いますけれども、そのときに自らの利用を停止するということを本人に認めるというのは、必要な権利ではないかと考えるんです。
  • 木村委員
    今、藤谷委員がおっしゃるとおりで、そういう場合には利用停止請求権は認めるべきだろうと思われます。ただ、非開示になるけれども、存在は分かっているのはそのとおりだと思うんですが、そもそも場合によっては、存否自体を答えられないという情報があるわけです。分かりやすく言えば捜査情報は、あると言っても、ないと言っても分かってしまうので言えないというような場合があります。もし開示を前置しないということになると、そういうことについてもいきなり利用停止がくる可能性がある。それには答えようがないですよね。停止するともしないとも言えないと。うそをつかなければならない状態になる可能性があって、そういう場合には、やはり突然利用停止請求権というのがくるのはおかしい仕組みなのかなと思います。
  • 藤谷委員
    ちょっと堂々巡りしているかもしれないんですけれども、開示請求をしたときに、存在はあるけれども、内容は開示できないという回答をすることもあり得るわけですね。そうすると、そこの場面で今、木村委員がおっしゃったところとかかわるのですが、あることはある、行政が利用している、だけど内容については開示できないといったとき……。
  • 堀部会長
    それは東京都でいう非開示事由に当たれば開示はしないというのがあるのですね。それから、情報公開条例では存否も明らかにできない、あるかないかも言えないという存否応答拒否もあります。あるけれども、あると言っただけで非開示事由に当たるから答えられないということです。
  • 藤谷委員
    そこは二つに分けて考える必要があるということです。そうすると、あるかないかも明らかにできない場合について、今、木村委員がおっしゃったということですか。
  • 堀部会長
    そういうことです。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    個人情報の請求が出た場合に、本来原則開示ですけれども、条例で想定している非開示条項に該当すれば、何号に当たるというようなことで、理由を付けて決定できますから、ご本人からすれば、そこの情報は自分の情報があるけれども、こういう理由で非開示なんだなということが分かるわけですね。もう1点は、存否応答拒否というのがありまして、個人の情報があるかないかも、例えば有名人が入院していたと、あるいは医者にかかったということについて、情報公開の場合には、答えることによって、その方が入院していたかどうかということが分かってしまいますから、そういう場合には一切あるなしをお答えできないというのがあります。個人の場合にも存否応答拒否の規定がございます。その場合も非開示という形で決定しますので。
  • 堀部会長
    そうしますと、むしろ、議題の2番目の非開示事由のところを見ていただいて、東京都は91年からですから13年運用していることになります。その間の運用実績などで、どういうものについて開示請求があって、それについてこういう理由で開示できない、それについて具体的例もありますので、それを議論した上で今の1の問題にもう一度戻っていただくとよろしいかと思います。
    ということで、議題2に入らせていただきますが、個人情報の非開示情報、国の場合には「不開示」という言葉を使っています。「非開示」というのがよいのか、「不開示」というのがよいのか国語的なものもありますし、法令用語としてどちらがよいのかということも、これは法制局的な議論になりますが、考えていただいて、意見があれば出していただきたいと思うのですが、入谷課長から説明をお願いいたします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、個人情報の非開示条項についてご説明させていただきます。
    資料の3をお開きください。
    資料の3は今までの運用実績でございます。初めにこれを簡単にご説明させていただきまして、それから具体的な非開示条項の規定の方に進ませていただくというような、そういうつもりで作成をいたしましたものでございます。
    個人情報保護条例は、平成3年から実施をしてございます。1のグラフですけれども、個人情報の開示請求件数の推移でございます。だんだん増えてきまして、昨年などはかなり多い方で今まで一番多かったんですけれども、特に何があったというようなわけでもないんですけれども、件数は年々多くなってございます。
    個人情報保護制度の場合は、基本的には個人情報を保護するというようなところが主眼でして、自分の情報がきちんと適正に取得されているんだろうか、適正に利用されているんだとか、そういうことを確認してもらうような意味で設けられた開示制度でございますので、情報公開制度に比べまして、請求件数は少なくなってございます。ちなみに、情報公開は平成14年度に2,620件の請求がございましたけれども、個人情報の方は507件ということで5分の1程度の請求件数となってございます。
    それから、次の表でございますが、これは平成10年から5年分だけをピックアップして請求を受けた自己情報、個人情報につきまして、どのぐらい開示をしているのか、どのぐらい非開示にしているのかを示してございます。
    「開示決定件数」と書いてございますのは、全部ご本人にはお見せをしましたという数字でございます。この全部開示率というのが平成14年で89.8%でございますので、9割ぐらいの情報がご本人から請求があれば全部お見せをしましたというようなことでございます。
    それから、一部開示決定件数が43件となってございますが、これは多くは、その人の個人情報としてつくられているんですけれども、その中に第三者の情報が入っていたりして、第三者の情報の部分について非開示にしていくので、一部開示決定となっているものでございます。
    次の非開示というのは全部非開示でございまして、これは本当にレアケースでございます。今までに全部非開示にしたのが、例えば、昨年の例ですと、入学試験のときの自分の順位、あとは児童相談所で受けた子どもの心理テストの記録とか、、そういったものは全部非開示というようにしてございます。全部開示は89.8%とありますけれども、一部開示を含めますと98.7%ということで、ご本人に対してはほとんど開けているというような状況になってございます。
    それから、次に、平成13年・14年の開示請求の内容ということで、これはベスト3ということでもってまいりました。普段でも多いものなんですけれども、都立病院の診療情報ということで、カルテというふうに思っていただければいいと思います。これもいつも多いんですが、昨年1位になってございます。これも基本的に全部開示をしてございます。それから、身体障害者手帳関連でございます。これも全部開示でございますが、これは身体障害者手帳を発行するときに、医師の診断書とか意見書とかがついて参りますが、これも全部開示してございます。
    それから3番の軍歴関係文書という、これは昔からかなり多いんですけれども、自分が従軍したときの記録でございます。これがベスト3で、この辺りはいつも全部開示ということで対応してございます。
    資料4でございます。これは法律と条例の比較でございます。一番左側が東京都の現行で使っています非開示条項でございます。個人情報につきましては、非開示にすることは今まで申し上げたように非常に少ないのですけれども、現在ではこの6項目に当てはまる場合、ご本人であっても非開示としてございます。ご説明させていただきます。
    一つ目は、法令の定めるところによって本人にも開示できないと法令で定めているときでございます。運用して13年になりますけれども、実際は使ったことがほとんどない規定でございます。
    次の二つ目ですけれども、個人の評価、判断、選考、指導、相談等に関する個人情報であって、開示すると事務の適正な執行に支障が生じるおそれがあるということです。非開示にしている情報の中では、全体の半分ぐらいこの規定で非開示にされてございます。この条例をつくりました当時は、カルテですとか学校の学習指導要録ですとか、そういったものもこの条項を用いてまだ非開示としていましたが、最近は大分時代が変わりまして、今、申し上げましたように、カルテはほとんど開示となってございます。
    それから、3番目ですけれども、捜査、取締り、調査、争訟等に関する個人情報であって、これも開示すると適正な事務の執行に支障が生じるおそれがあるということで、これもあまり使われない規定ですけれども、時々、調査とか争訟といった辺りで使うことがございます。
    それから、4番目になりますが、これが一番使われることが多いんですけれども、開示することによって第三者の権利利益を侵害するおそれがあるときです。個人情報でその人の名前でつくられている帳票の中に、ほかの人の情報が入っていることがかなりございまして、むしろ入っていない方が少なかったりもするんですけれども、そのようなとき、この条項を使って非開示にしております。非開示にした案件の中の7割弱ぐらいはこの条項を使って非開示にしてございます。
    それから5番目ですが、国、地方公共団体又は他の実施機関との間における協議、協力等によって作成し、又は取得した個人情報であって、開示をすると、それらの機関との協力関係又は信頼関係を損なってしまうという条項でございます。これもほとんど使ったことがないと理解しております。
    それから、6番目ですが、これは当初条例にはございませんで、後から追加をした非開示条項でございます。未成年者の法定代理人による開示請求がなされた場合であって、開示をすると当該未成年者の利益に反すると認められるときということで、イメージしていただきますのは、子どもを虐待している親が、子どもの法定代理人として請求をしてきたような場合でございます。具体的な例ということで、資料の6を開けていただければと思います。これが今まで13年程運用してきまして、実際にあった請求に対して当てはめてきた事例と条項でございます。請求件数自体は多いんですけれども、ほとんどここにあるような請求のパターンでございます。特に最近は非開示にしているような情報というのは、ここに挙げているようなものがほとんどでございます。ここに記載しましたのは、個人情報保護審査会でも、この情報についてはこの条項を使って非開示でとされたものでございます。
    1号につきましては今までもないということでございます。
    それから、2号の個人の評価、診断、判断、選考、指導ということで、非開示にしている個人情報の半分ぐらいはこの条項を使って非開示にされているものでございます。「措置入院に関する診断書」ということで、精神保健指定医が診断をした部分でございます。医師の本人に対する診断で非開示になっているのは、精神科診療に関するこの部分くらいで、ほかの診断につきましては今は全部開示をされている状況でございます。
    それから、二つ目の「医療保護入院に関する診断書」も同じでございます。上の例と同様に本人の意思によらない診断であったりするものですから、本人であっても見せられないという考え方になってございます。
    それから、三つ目ですが、児童相談所の記録です。その中でも心理学的所見といった子どもに対する児童相談所の評価とか見解の部分については、本人であっても見せられないというような考えでございます。
    それから、四つ目は、入校選考のときに、本人に行われた面接に対する評価でして評価の条項を使って非開示にしてございます。この条項を使う事例は大変多いということでございます。
    それから3号です。これを使って非開示にしているのはあんまりございません。最近もこのぐらいしかないんですが、東京都公文書開示審査会会議録ということで、開示・非開示について妥当かどうかを判断する審査会ですが、自分の不服申立てが案件としてかかっているのだから自己情報であるということで、審査会の速記録を請求されたのですが、あなたの案件について審査をしているけれども、審査会の性質上、本人であっても開示することはできませんという形で非開示にしてございます。
    それから、二つ目ですけれども、これは社会保険医の不正について告発があり、個別指導を受けた方が、私についての告発情報という請求をされた時のものです、取締り、調査の類の情報ということで非開示にしてございます。これは下の第三者の権利利益を侵害するというような条項も併せてかけてございます。大体一つの条項で非開示にしているというのはあんまりありませんで、ダブルでかかっていたり、トリプルでかかっていたり、そういうのも多うございます。
    それから4号です。本人といえども開示すると第三者の権利利益を侵害するおそれがあるということでございます。請求事例の7割弱ぐらいにこの条項がかかってございます。
    一つ目ですけれども、「措置入院に関する診断書」ということで、先ほどの2号の診断とあわさってかかることが多いのですけれども、診断をした精神保健指定医の氏名が第三者の権利利益を侵害するおそれがあるということで非開示になってございます。これは二つ目も大体同じような考えでございます。
    それから、三つ目が「児童相談所の記録」で、本人の処遇の記録の中に本人がその当時かかわりを持っていたほかの子どもたちの記録というのも一緒に書かれていて、本人に開示してしまうと、その子たちの権利利益を侵害するおそれがあるので、そこについては非開示にしてございます。
    それから、四つ目ですけれども、消防の活動記録で、ある人がけがをして本人から私が救急車で運ばれたときに、誰が通報したのか教えてほしいというような請求があった例ですが、開示すると第三者の権利利益を侵害するおそれがあるということで非開示にしたものでございます。
    それから、5号ですが、実際は非常に少なくて、13年間調べてこの二つぐらいしか見当たらなかったんですけれども、本人に開示をすると行政機関の信頼関係、協力関係が損なわれるという規定でございまして、運用につきましては、恣意的に流れると乱用されがちな規定なものですから非常に厳格に運用してございます。ここの二つに書いてあるような児童相談所へ、例えば子どもの虐待について、学校、福祉事務所から通告があったような例で、どこの機関からあったと言ってしまうと、その組織との信頼関係が損なわれるということでございます。
    それから、「児童相談所への関係行政機関からの上申書」ですが、これも児童相談所に児童についての判断、意見を寄せた機関を本人を知らせてしまうと、その機関から今後協力が得にくくなるという例でございます。
    それから6号は、先ほど申しましたように、児童を虐待している、その本人が法定代理人ということで請求をしてきたときに非開示にしているものでございます。
  • 入谷情報公開課長
    今申し上げましたようなのが東京都の条例の非開示条項でございますが、法律の非開示条項に比べますと実質的な内容はそんなに変わらないんですけれども、表現として東京都の条例は非常にさっぱりしているといいますか、そんなような感じがお分かりいただけるかなと思うのですが、法の非開示条項をご説明をさせていただきます。
    恐れ入りますが、資料5をお開けいただけますか、資料5の右側が「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」の条文でございます。法律の1号は、開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報については非開示となってございます。さらに括弧の中で法定代理人が本人に代わって開示請求をするときには、当該本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれということで一つは開示をしてしまうと、開示請求者自身が生命、健康、生活、財産を害されますよと、二つ目の内容としては、法定代理人が請求した場合、法定代理人に開示をすると、当該本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがありますよという規定でございます。これは東京都の方の規定ですと、6号の未成年者の法定代理人が開示請求をしたとき、児童虐待をしているような場合、東京都の条例では6号が法律の1号に半分だけ重なるかなと思っています。
    特に私どもで先生方からご意見をいただきたいと思っていますのが、法律の開示をすると本人の生命、健康、生活、財産を害するおそれがあるのだから、本人であっても開示をできないという規定をどう考えていくべきかです。特に医療情報ではこういうこともあるのかなと思っておりますが、先生方のご意見をいただければと思ってございます。
    それから、次の法律の2号ですけれども、これは2号も3号も、東京都の条例ですと、本人に開示をすると第三者の権利利益を侵害してしまう場合に相当いたします。法律の方はかなり細かく分けてございまして、2号の方は開示をすると、個人の権利利益を侵害しますという情報でございます。
    それから3号の方は、第三者といっても、個人ではなくて法人とか団体の権利利益を侵害してしまいますという形で、東京都は第三者という形で一括りにしているのですけれども、法律は、法人と個人では侵害される権利利益の侵害の度合いが違うだろうと分けてきめ細かく規定をしております。
    それから、法律の4号ですけれども、本人に開示をすると国の安全が害されるおそれとか、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがある、そういった規定でございまして、すぐれて国の関係の規定かなとは思っております。
    それから、5号ですが、本人に開示をすると、犯罪の予防、鎮圧、捜査、公訴の維持、刑の執行その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるということで、現在の東京都の非開示条項には全く入っておりません。これから警視庁とか公安委員会が実施機関に入ってくると、こういった情報も入ってくる可能性があるのかなと今の段階では考えております。
    それから、法律の6号ですけれども、本人に開示をすると、国の機関ですとか、独立行政法人の相互間における審議、検討がうまくいかなくなる、率直な意見交換ができなくなって、事務に支障を生じるおそれがあるという条項でございます。
    それから、7号ですけれども、比較的網羅的な非開示条項でございまして、国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、本人に開示をすると、事業の性質上、事務事業の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあると規定をしております。イロハニホということで具体的な例を挙げてございます。これと、ダブりますのが東京都の非開示条項の3号でございます。捜査、取締り、調査、争訟等に関する個人情報で、開示すると事務の適正な執行に支障が生ずるということで、これは東京都の3号が一部入ってございます。
    それから、法律はここまででございますが、法律との対比で考えますと、東京都の条例の方で二つほどはみ出してしまいます。それが2号の個人の評価、判断、選考、指導、相談等に関する情報であって、開示することにより、事務の適正な執行に支障が生ずるおそれがあるということで、法7号の中に基本的には包含をされると思うのですけれども、東京都につきましては、今までの非開示にした情報の半分がこの規定を使ってございますので、例えば、法律のように埋もれてしまうのではなくて、きちんと明記をしておかないと、これからの運用が難しいのかなというふうに思ってございます。
    それから、東京都の条例ではみ出してしまうもう一つですけれども、5号の国、地方公共団体又は他の実施機関との間における協議、協力等により作成とか取得をした情報で、開示をすると、それらの機関との協力関係、信頼関係が損なわれるという規定が東京都にはございますけれども、法律には設けられていません。そういった相違の部分について、どのように考えていくのかを先生方のご意見を頂戴できればというふうに思っております。
    以上です。長くなりまして恐縮でございます。
  • 堀部会長
    どうもありがとうございました。非開示条項について、これまでの運用の実績も踏まえながら、都の条例の現行の規定と、行政機関法との比較などについて特に資料5にどういうふうに対応するのかということが出ていますので、説明いただきました。もう一つ資料として情報公開条例のコピーがあるかと思います。
  • 入谷情報公開課長
    現行の情報公開条例の非開示条項は国の情報公開法とほとんど同じでございます。国の行政機関法が情報公開法をほとんど横引いている関係になってございますので、そういった観点からご覧になっていただければと思います。
  • 堀部会長
    いろいろご意見を出していただきたいと思います。これまでの経過でいいますと、東京都の個人情報保護条例が制定されましたのは平成2年で、平成3年から施行だったですか。
  • 入谷情報公開課長
    平成3年から施行です。
  • 堀部会長
    条例の制定に当たって、参考になりましたのが、他の自治体で既に定めている非開示事由等でありました。特に個人の評価とか判断とか選考、指導、相談等に関する情報は、実際に他の自治体でも議論してきたのですけれども、例えば、病院の関係者に意見を聞きますと、診断のようなものについては、1980年代の前半から後半にかけての時期ですが、本人に開示すると支障が生ずる、こういうこともありました。また、教育関係者の意見を聞いてみましても、評価とか選考とか指導とか、そういう関係のものについては不開示にしないと教育が非常に難しくなるということもあったりして、一般的にこういうことで規定を置きました。それを参考にして都の個人情報保護条例にも入れています。
    それと、昭和63年に行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律が制定されていまして、お手元の資料、萌黄色の、資料5が現行の法律ですが、それを見ていただきますと、不開示にするのが14条でしょうか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    資料5の8ページです。
  • 堀部会長
    8ページの14条ですね。ここは13条で開示請求権自体を認めないものを定めて、その上で14条で不開示事由ですが、これも非常に簡単なものでした。東京都で議論したときにも、こういうものを参考にして、設けたのが先ほど説明のあった比較的簡単な規定です。その後、情報公開法の議論が国で出てきまして、これはいろいろ経過はありましたが、平成11年(1999年)の5月7日に衆議院で最終的に成立しまして、5月14日に公布されました。平成13年(2001年)の4月1日から施行されているものを参考にして、東京都でも情報公開条例の改正の検討がなされまして、その結果が資料のものになっています。
    国においては、資料(行政機関等個人情報保護法制研究会)をご覧いただきたいのですが、その13ページです。情報公開法で不開示にしているものと、個人情報保護法で今後不開示にするものとができるだけ同じ基準にしてよいのではないだろうか。いろいろ議論をした結果ですが、それで13ページの四角の中の(2)のところの開示の基準等とありまして、二つ目の段落ですが、「不開示基準については、情報公開法の不開示基準との間で相応の整合性を保たせる見地から、この不開示基準を定めている情報公開法の5条の規定の趣旨を踏まえつつ適切な不開示基準を設ける。この場合、請求者に対し、請求者本人の個人情報を不開示することの保護法益と他人の個人情報を不開示とすることの保護法益の範囲の違いに留意する必要がある。」こうまとめています。具体的にこの点については、後の解説ではこれとこれというふうには出ていませんが、むしろ、この点で情報公開法あるいは情報公開条例を参考にしていただくとよいかと思います。
    そういう経過で今日の行政機関法の規定はできていますので、それと対比すると、先ほどのようないろいろな違いが出てくることになりますが、まず資料5の左側の一番上にあります「法令等の定めるところにより本人に開示することができないと認められるとき」が要るのか要らないのか。国の法律にはない。自治体で必要なのかどうかという点についてはいかがでしょうか。
  • 渡邉委員
    これを入れるということは、全部法律で網羅したものが全部入るということですか。……。
  • 堀部会長
    はい。
  • 渡邉委員
    個別に一つずつ。
  • 堀部会長
    個別にというか、個別の法律でそういう定めがあれば、本人開示はしないということになるわけですが、ただ、これは先ほど入谷課長から説明がありましたように、東京都では今まで使った例がないというところですし、実際に調べてみても、これに該当するものというのはほとんどないのではないかと思います。
  • 御船委員
    平成2年に条例をつくったときに、1号はどういう前提でこれができたのでしょうか。
  • 堀部会長
    それは情報公開条例でも同じ規定を入れているからだと思います。というのは、法律という上位の規範と、条例というその法律の下にある規範との関係もありまして、条例ですべて規定できれば、条例でいろんな定め方ができるのですが、上位の規範である法令「等」というのは何を考えたのかちょっと定かでありませんが、それとの関係でいくと、条例は法令の範囲内において定めることができる。
  • 御船委員
    形式的に置いておいたというか。
  • 堀部会長
    具体的にどういうものがあるのかという議論は若干したような記憶もありますし、ほかでしたのか、ここでしたのか覚えていませんが。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    資料の「東京都の個人情報保護制度のあり方についての提言」ですね。この条例をつくったときの提言がありますが、その33ページに表がございますけれども、非開示事項、法令の定めるところによるものということで、「台帳等の名称」がありまして、人口動態調査マスター伝染病、月報患者票、右に「非開示の理由」が統計法の定めによるとございます。今回、国が法をつくったときに整備法というものを併せてつくっていますが、そこで統計なら統計に関しては、行政機関法は適用しないと決めてしまっていますから、そのために国の方も、あえてほかの法令のことは触れないようになっているのかなと思っております。
    たぶん、統計の場合には、いろいろな国勢調査ですとか、いろんな統計調査があります。個々の個人の票が集約されて、実際にアウトプットされるのはいわゆる統計的な処理をされますので、個人の名前が出てきませんので、そこら辺のことが関係しているのかと思います。
  • 藤谷委員
    5月30日に公布された国の個人情報保護法制の中でも、別に今回の東京都の1号の「法令の定めるところにより」が除かれたわけではなくて、それは一応先ほどの整備法のところであることはあるということで理解してよろしいんですか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    基本法である個人情報保護法ではなくて、除外しているのは行政機関のこちらの表でいうと、資料5の右側に示している行政機関法について適用除外というふうに整備法の中で除外しています。
  • 橋本委員
    その場合は、国法の中で矛盾、抵触がないようにというのは法制局等々で審査しますから、したがって、普通の法令、国法でこういう定めが入るということはちょっと考えにくいわけです。整備法をつくって個別法を見れば、それは適用除外になっているという、適用除外関係にしないと法令自体おかしいということになるので、国法でこういうものを置くということはちょっと考えにくいわけです。だから、これを今落とすというのはその理由はないと思うんですが、ただ、この「法令等」の「等」というのは何だろうというのはやや気になるところです。
  • 橋本委員
    「等」は要らないんじゃないかと思うんですけれども、もし何かどうしても入れるという必要があるのであれば、これは入れるべき、ちょっとよく分からない。
  • 堀部会長
    「法令」はどうですか。
  • 橋本委員
    法令があればできないわけですね。したがって、国法の場合は、それは適用除外関係だから書く必要がないということですけれども、条例の場合であれば、解釈で国法が優先するから必要ないんだということは言えるのかもしれませんが、これを落とすと、また、なぜ落としたのかという、この立法趣旨が問われるということになるので、ここで落とす必要性はないんじゃないかなと思います。
  • 高橋会長代理
    最初のころ、都の条例に入っていて、しかし、国の法令には入っていないようなものについては、都でどうしても改めた方がいいなら別だけれども、そうでなければ維持していた方がいいという意見があったわけですね。そういう考え方でいけば、国の法律で規定したことで都の方では落ちているものをきちんと確認して、それを入れるべきかどうなのかと考えていった方が生産的ではないかなという感じがするんです。
    それで国の方の4号、5号、6号、これに対応するものがないというような説明だったと思いましたが、例えば、4号は言ってみれば国家秘密的なものですね。ですから、国際関係というのが地方自治体でもあるとすれば別ですけれども、そうでなければ対応するものがなくても自然ではないかという感じがします。
    それに対して5号は、都の3号とどういうふうな関係にあるのかというのがちょっとお聞きしたいと思います。5号で言っているのが、3号でカバーできているのかできていないのか。
    それから国の6号です。これが都の5号とどういう関係にあるのかを見ていくと、わりあい国の規定したもので都の方で落ちているものが何かということが明らかになってくるという感じがしますが。
  • 堀部会長
    そのとおりで、そこも含めて少しご議論いただければと思います。
    今の質問というか、例えば、都の方の3号捜査、取締り云々と類似するのは、国の方の5号ですね。情報公開条例で警視総監が実施機関にはならないということで、個人情報保護条例でも同じように実施機関にならないという段階で、捜査とか、取締りというのは何があるんだろうかという議論をしたような気がするんです。それで、麻薬取締法が知事部局の所管になっているでしょう。
  • 入谷情報公開課長
    そうです。
  • 堀部会長
    そういうのがこの捜査とか、取締りなどに入るのではないかというような議論をしたような記憶もあります。そうすると、今後警視庁からもヒアリングしてどうされるかということがありますけれども、一応、実施機関になるという前提で考えますと、この規定だけではなくて、恐らく4号で対応するか、むしろ今の3号は国の法律の7号に関係して、先ほどの説明では、イロハニホヘかなんか分かりませんがそっちに入れることは考えられるのではないかという趣旨ですか。
  • 入谷情報公開課長
    大体そうでございます。東京都の3号につきましては、国の方の7号のイとロの当たりが想定している非開示条項だと思うんですね。もっぱら捜査といいましても、警察のような捜査はあまり想定していませんで、先ほど会長がおっしゃいましたような麻薬とか、あと取締りですと税とか、そういったわりと行政事務関係の想定をしてつくった開示条項というふうに理解しております。
    5号の方ですけれども、会長がおっしゃられましたように、これは警察関係が実施機関に入っていない条例では、この規定までは必要ないというのが当時もあったように思います。
  • 堀部会長
    先ほど橋本委員が言われたように13条で請求権自体認めていませんので、この規定を設ける趣旨は、ないということだったかと思います。今度の法律でも行政機関法の開示請求……。今度のでは網羅的に開示条項を掲げていますので、国と同じような事務が対象になるということであれば、できるだけ国のものを参考にしながら、これまでの東京都のものでさらに付け加えるべきものなども入れて整理するということになるかと思います。特に先ほどの2号の個人の評価、判断、これがかなり今まで使われていることであるとすると、これがほかでうまく読めるのか、別途何か入れた方がいいのかという辺りも含めて何かご意見があればと思うんですが。
  • 村上委員
    今、国の法律と東京都の条例という観点で見ていたんですけれども、今日配布していただいた情報公開条例ですね、先ほど会長の方で言われていた情報公開条例と個人情報保護法の非開示事由というのは重なるというか、ほぼ同じようなものではないかというお話があったと思うんですね。東京都の方で二つの条例があって、非開示条項というのは、情報公開条例と個人情報保護条例、恐らく同じようなものになってくると思うんですね。あまり極端にかけ離れたような規定がそれぞれの条例にあるというのは、条例のあり方としてもちょっとおかしいと思うわけです。
    今、見させていただきますと、東京都の情報公開条例で非開示事由にしている条項というのは、たぶん、国の行政機関法の非開示事由と恐らく文言的にもかなり似通っているところがあると思うんですが、条例自体の整合性ということを考えても、この条例も参考にしながら、そういう事由を決めていく必要があると思います。
  • 堀部会長
    これも参考にしていただいて、加藤委員いかがですか。
  • 加藤委員
    資料4を拝見すると、新しい行政機関の保有する個人情報の法律はいろいろ書いてあって、むしろ、私としては非開示のものが増えてくるような印象があるわけです。それで、今、東京都の条例でこれだけのものがあって、その中でこれはすっきりしたものだと言われたので、これを右側のようなものを入れ込んでいかなくても、すっきりしていて分かりやすい。それで今までさしたるトラブルもないのであれば、必ずしも右側から左へ書き込みをしなくても、いいのではないかと思うんです。そういう考え方はできないんですか。
  • 堀部会長
    村上委員が言われたように、むしろ、情報公開条例で既に定めがありますので、それとの整合性、国の場合にも情報公開法と行政機関個人情報保護法の整合を図るというのが基本的にあります。それはさきの経過で説明したとおりです。それに加えて何か不開示条項を設けておいた方がいいのか、東京都独自の規定もあるので、それが国の方では必ずしも明確でないので、そこをどうするかとか、そういう点があります。東京都のすっきりしたもので適用除外、非開示事由にしているのがいいのか、国の行政機関法のように詳しくした方がいいのかです。むしろ、詳しく書いた方が開示される範囲が明確になると思うのです。
  • 加藤委員
    確かに今の条例の中で「おそれがある」という書き方のが随分あります。
    例えば4号とか3号も、2号もそうです。これが拡大して使われることを懸念するならば、明確にこういう場合というふうに書き込んだ方がいいと、こういうことでしょうか。
  • 堀部会長
    それは難しいというか、どうしてもそういう事態を想定してということになるのだろうと思うのです。
  • 藤谷委員
    行政機関の個人情報保護法のり2号のなお書きのところで「開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」と、同じく「おそれ」というのは使っているんですが、次にただし書でもって、ただし、次に掲げる情報を除くということで、具体的に不開示となる場合を限定しているわけですから、そういう意味では国のただし書のようにおそれというのをさらに限定するという規定の仕方はよろしいんではないかと思います。
  • 堀部会長
    そうすると藤谷委員の意見は、国のような定め方でいいということですか。
  • 藤谷委員
    その方が不開示の範囲がより限定的になるということは、好ましいことではないかと思います。
  • 堀部会長
    一応、国のもの、一つは経過からしても情報公開条例との整合性、どちらでも同じような対応を可能にするということと、そうなりますと、大体行政機関個人情報保護法の規定の趣旨は取り入れていることになると思うのですが、それに何かプラスして、あるいは東京都のこれまでの実績との関係でどうするのかという点などはいかがでしょうか。先ほどの法令等の「等」はやめにして、「定めるところにより」というのをどうするのかということも含めて少しご意見を出していただきたいと思いますが。
    それと、先ほどの高橋委員のご発言で、4号は要らないということですね。国際関係の問題というのは、国の所管事項だというようなことになると要らないと見るのか、あるいは東京都にもそういう情報が保有されていることもあるというのか、その辺りも含めてご意見を出していただきたいと思います。
  • 藤谷委員
    東京都という地域の特色という意味では首都でもありますし、自治体の規模からしても、また国際的な位置付けからしてもそれなりに、地方公共団体とはいえ非常に国際的な役割にも担っている。たぶん、都の行政の中でもいわゆる国際交流というか、国際的な行政施策というのはかなりウエートがあると思うんですね。その中で地方公共団体としての東京都の何かが国の安全に及ぼすかどうかということではなくて、その意味では東京都がそれだけの行政施策をやっていて、それが相手の国ないし相手の国のどこか、例えばニューヨーク市とかの関係で何かがあるとすると、そういう地域と地域との関係で、東京という地域の安全というものも東京都としては独自に考えても、これはむしろ自治体の姿勢としてはあってもいいことではないかと思う。国ということではなくて、地域として何かそういうものがあり得るのであれば、そういうものを地方公共団体のような表現に変えて考えること自体は好ましいというか、必要なことではないかと思います。
  • 堀部会長
    そこは実態としてはどうなのですか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    なかなか難しいんですけれども、あくまでも個人情報ですから、もし考えられるとすれば、国の安全に何か影響するような人が東京都の誰かと会ったと、そういった情報が求められたときに、情報公開とまた違いますので、あくまで個人情報になりますから。国の説明で我々が確認しているのは、4号の例は国の安全を害するおそれがある人に関する情報が当てはまりますよという例示ではあるんですけれども、東京都の場合ですと、都にそういう人に関する情報があるかどうかという請求が、該当するかも知れません。
  • 高橋会長代理
    外国人には都条例は適用ありますか。
  • 堀部会長
    適用になります。
  • 高橋会長代理
    そうすると、外国人が自分の情報を求めてくることはあり得るわけですね。
  • 堀部会長
    それはあり得ます。
  • 桜木委員
    今と類似した範囲の件になるんですが、資料5の個人情報の保護に関する条例と、行政機関の個人情報保護法との関係ですが、先ほど高橋委員からお話があったように、国のを受けた形に条例も、抜けを防ぐとかオーバーラッパを防ぐという考えも一つですが、今出ていたご意見のように、東京都の、首都という特性、例えば人口が多い、産業の集積が非常に多い、外国人もたくさん来る、税収も非常に多いということで、情報の量が他の都市よりは大きいだろうと、これはたぶん間違いない話だろうと思うんです。そのときに、この非開示事由などに関しての事務処理という点では他の都市とは違ったものがある。条例の中にオリジナリティとか、ローカリティを出すのがいいかどうかは分かりませんが、そういうものの受け皿のようなものが、漠然としておりますけれども、個別に要るのではないのか。それは厳格化なのか、柔軟なのか方向は両方あると思いますけれども、そういう部分が都の条例として、法と違った東京という地域に着目した条項を用意しなくていいのかなという気がするんです。
  • 高橋会長代理
    それは今まで運用してきた中から、これでは運用しにくいというものがあるとすれば、それを検討するということにしたらいかがですか。せっかく十数年前にいろんな人が集まっておつくりになったものですから、また白紙に戻してゼロから出発するでは非常に労力を使い過ぎると思うのです。以前につくられた条例が前提になって、そこで見直す方がいいとお感じになっておられるものと、法律で入っていて、都の方で入っていないものと絞っていって考えた方が時間の浪費にならないという気がするんですけれども。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    参考まで申し上げますと、都の情報公開条例は、行政機関法の4号に当たるものは入っていません。情報公開法では、もちろん同じ4号の規定はあります。ですから、3年ほど前に私どもの情報公開条例が公文書の条例から改正になりましたけれども、そのときも、これはたぶん議論した上で、あえてこの4号に当たるものは入れていないと思います。ちょっと今どういう議論をされたか確認しないと分かりませんが。
  • 村上委員
    条例間の関係ですけれども、先ほど現在の個人情報保護条例の1号に該当するのが法律にはないということですが、情報公開条例の方の1号を見ますと、法令及び条例の定めるところにより公にすることができない情報は非開示情報になっているんですね。ですから、これと同じような形で、もうちょっと現行の条例の1号を書き直せば、このまま1号は残るんじゃないかと思うのです。
  • 堀部会長
    情報開示条例の方では1号があります。ここで法令等と言ったのは、法令及び条例を言っているのですね。そうすると、東京都の法令用語だとこういう言い方をするとなると、「等」をとるというわけにもいかないことになるのかもしれないけれども。
  • 藤谷委員
    情報公開法と個人情報保護法との整合性というのは、これは基本的に私も重要なことだと思うのですが、情報公開法ができたのが平成11年で、個人情報保護法ができたのは平成15年ですから、必ずしも、その4年間ないし5年間のギャップを考えますと同一にする必要はなくて、もし何か新しい理由があるのであれば変更しても構わないと、思うのです。この個人情報保護法がそもそも、できた最も大きな動機というのは、やはり高度情報化社会の進展ということに伴って、個人情報の侵害の程度が著しくなるおそれがあるということだろうと思うのです。
    そういう方向を考えますと、例えば、先ほどから国に対するものというものがありますけれども、都というのがもしサイバーテロとか、の標的ということから考えますと、都の行政機能を混乱させるだけでも、相当効果があることを考えると、安全というものを何も国だけではなくて、都も実際直面しているという認識をむしろ持ってもいいんじゃないか。実際、警視庁のサイバーテロ等についても、たぶん、他の都道府県県警と違うような機能が必要とされているでしょうし、それは実際にやっていらっしゃるのだろうと思うのです。そういうものを考えると、例えば4号の国の行政機関の個人情報保護に関する法律を「開示することにより、都の安全が害されるおそれ」云々ときて、「他国若しくは国際機関」、ここら辺りですけれども、「他国ないしは他国の都市」とか、「信頼関係が損なわれるおそれ」というのはそのまま使えると思うんですが、ただ、その後の「他国若しくは国際機関との交渉上」というと、都が他国と交渉することはあり得ないので、例えば、こういうところを交流上とかそういうものに変えて、ここも行政上の必要があればですけれども、何かあるのでないかという気もするんです。実際上スレートなものが私も浮かばないんですけれども、もしあるのであれば入れた方がいいのかなと思うのです。
  • 堀部会長
    二ノ宮部長いかがですか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    下の5号がありますね。公共の安全情報といいますか、こちらで犯罪の予防とか、鎮圧、捜査というのがありますから、そこで読めるかどうか。
  • 加藤委員
    この4号ですね。これは都民のAさんならAさんの個人情報が見たいと言ったことが国の安全にどういうふうにつながるケースが想定されるんでしょうか。それによっては必要だろうけれども、何かぴんとこないですね。
  • 入谷情報公開課長
    個人情報を扱う事務の届出を見ても、4号を直接使うような事務は見当たらない感じはあるのです。今まで請求を13年間にわたって二千400件ぐらい受けてまいりましたけれども、その中でもこういうものは実際は発生していなかったと思っております。ただ、今後ないとは限らなくて、そのとき読めなかったらどうするということなのかもしれないんですが。
  • 藤谷委員
    可能性としてということなので、先ほど部長もおっしゃいましたけれども、他のところで読み込めるのであれば、あえてここを入れるというほどの必要性があるとは思いません。
  • 堀部会長
    情報公開条例との整合性があるものですから、情報公開条例に4号に該当するものがないですから、仮に情報公開条例でも入れるとなれば、両方入れるということはあると思うのですけれども、現段階では、情報公開条例との整合性という点でいくと、4号の部分は当面なくてもほかで読めるのではないかと思います。
    では、そういうふうにまとめさせていただいて、先ほどの法令はどういたしますか。法令等は情報公開条例の7条1号にあります。それとの関係でいくと入れておく。ただ、今まで実際に適用例がないということですが、この辺りはいかがでしょうか。それは橋本委員が言われるように、国の法律で規定があれば、法律優先ですから、条例で開示することができないということはありますけれども、明文の規定を置いておくことによって、こういう場合には非開示になるということが分かるというメリットはあるように思うのです。
  • 御船委員
    イメージできるし、条例の位置付けが私どもが読んでよく分かるのでこれは置いておいていただいた方が、使わないにせよ、法制としては分かりやすいという印象です。
  • 橋本委員
    「等」のところで、条例と書いてあれば、反対解釈で規則は含まないとか、そういうことが分かるわけですけれども、規則はどうなるんだろうかとか、そういうことがすごく気になるわけですね。だから、「法令及び条例」と書くなら、それが一番いいです。
  • 堀部会長
    情報公開条例にならって規定するということで今の疑問は解消されるのではないか。確かに「等」というのは何だか分からないというのがありますけれども、法令は法律と命令で、条例を「等」で読むということだったと思うのですが、法令の中に条例を含めて解釈することもありますし、情報公開条例のような形で入れることで、御船委員が言われるように分かりやすさという点で、とりあえず残して、また後で議論があればということにしたいと思います。
    9ページ資料5でいいますと、左側の3のものが7の中に入れて読んだ方がいいのではないかということになりますが、これも仮に国にならっていくと、表現の上でも、今の5号との調整を図らないとならないですね。これはあんまり重複するものはないんですか。
  • 入谷情報公開課長
    法律も5号があって、また別に7号の検査、取締り、争訟がありますので、大体はよいのです。唯一もし調整が必要ならば、捜査は国の7号で使っていないので、その辺を外して5号の中に入れ込んでしまうとかです。
  • 堀部会長
    7号に入れるとして、そこの調整をするということは考えられますね。
  • 橋本委員
    租税の手続で租税調査というと非常に広い概念で、例えば租税反則調査であれば、これは国法だったら5号の方で読めて、7号に租税の賦課若しくは徴収に関する事務というのを起こした上で、若干要件を書き加えた上でここで見るという形で整理されているんです。だから、やはり個別に見ると、今の都条例で、例えば調査とか、取締りという文言が出てくると、具体的に税務行政の場合、どこまでこれが入るのかというのがやや国法と比べるとアバウトというか、広いというか、そういう感じがいたします。だから、条例の方をそういう意味では国の法律に合わせる形で、案をつくっていただく方がよろしいんじゃないかと思います。
  • 村上委員
    情報公開条例は、情報公開条例の4号、6号で同じような形で入っていると思うんです。6号を見ると、情報公開条例の6号のヘというのがあって、これは法律に規定がないのが条例に入っているのですけれども、大学の管理又は運営に係る事務に関し、大学の教育又は研究の自由が損なわれるので、これが果たして個人情報保護法でも要るのかどうかということは検討する必要があるだろうと思います。
  • 橋本委員
    今と関係があるのは、地方独立行政法人の法律がこの前できましたから、恐らく都立大学なんか、あの法律を根拠に法人になるわけですね。国法の場合は、第三者の中に独立行政法人は入れないというような手当をしていますので、そういう地方独立行政法人との関係が新しい論点として出てきている。
  • 堀部会長
    情報公開条例を改正した後の新たな法律制定などもありますので、そういうものと合わせて検討していただくことにしたいと思います。あと、先ほどから言っています資料5の左側の2の個人の評価、判断、選考という、今まで最も頻繁に使われている条項はどこかほかで読めるのか、どういう形で残すかということですが、この辺りはいかがでしょうか。
    あと、6号の未成年者の法定代理人による場合が国の方の1号に該当するようにも見えますが、東京都の方が明確に規定しているのに対して、国の方のは必ずしもそうでもないというか、場合によると今の条例2号の一部をカバーするような点もあるようにも思えますし、その辺りはどうでしょうか。全体としてどうしたらよいのかということでご意見をいただければと思います。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    国の1号についての説明では私どもが条例6号で言っていると同じようなことを言っているんですけれども、法定代理人による開示請求の場合、本人と法定代理人との利益が相反する場合、児童虐待のケース、こういったものを1号で当てようという説明があります。趣旨としては同じことですが、明確にするかしないかということになると思います。
  • 高橋会長代理
    国の1号は、成年後見人も入れていますよね。都の6号では未成年者の法定代理人だけですよね。
  • 堀部会長
    これは後で入ったのですね。
  • 入谷情報公開課長
    法定代理人という中で入っていたと思います。
  • 高橋会長代理
    それでは結構です。対照していて、成年後見人というのが入っていなかったものですから、前にいろいろ議論したのはどうなったのかなということを思いましたので。
  • 藤谷委員
    参考資料の中の条例の中には改訂されていませんね。平成11年条例6で一部改正ということで6号のところに記載がありますけれども、そこはあくまで未成年の……。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    個人情報の開示を請求できるものについて12条に規定があります。そこの2項に「未成年者又は成年被後見人の法定代理人」となっています。
  • 堀部会長
    ただ、16条6号は、未成年者、ですよね。例えば、親が未成年の高校生の都立学校の情報を開示請求したときに、親にも知られたくないような情報があるだろう、そういうときにはというのでこれを設けたのです。成年被後見人は含めていないでしょうか。
  • 高橋会長代理
    入っていないですね。
  • 堀部会長
    請求権者とするとありますけれども、ここのところは入れていないのが、従来の趣旨だったかと思うのです。国の方は確かに入っているのですね。そこがどういうふうになるのか、その辺りを調整して……。
  • 高橋会長代理
    請求権者に入れたときに、利害が対立するというところも改正すべきであったんでしょうね。
  • 堀部会長
    そういう問題は残りますが、国のような規定の仕方でいいのか、都条例の現行の6号のような規定も加味しながら規定するのか、これもまた整合性の問題等もありますが、ちょっとこの部分は個人情報に特有な面でもありますので、何らかの形で入れるということにして表現を……。
  • 加藤委員
    条例は本人の利益に反するという、「利益」という言葉を使って、国は「生命、健康、生活又は財産」と明確にしているんですけれども、明確にすることによって排除される部分が出てくるのか、それとも、「利益」という言葉でくくってあるために、その判断に恣意的に排除される部分が増えてくるのか、どういうふうに考えたらいいんでしょうか。
  • 堀部会長
    これはいずれにしても、実施機関が判断するのでなかなか難しいですね。先ほどの具体的例で、これについて。この6号を使ってきたのは児童相談所の記録ですね。
  • 入谷情報公開課長
    そうです。子どもの児童虐待の例がほとんどです。ですから、法定代理人に開示をしてしまうと、国の法律でいうと、ぴったりというのがないんですけれども、強いて言えば「生活」でしょうか、それよりはむしろ、子ども本人の人格権の侵害というような印象があるのです。児童虐待をしている本人に、子どもの情報が開示されてしまうというのは、国が挙げている生命、健康、生活、財産はぴったりではないなという感じはいたします。
  • 堀部会長
    未成年者の保護ということに目的がありますので、それにふさわしい表現、ここでどこまで具体的に表現できるかということがありますけれども、そういう趣旨でこれは活かしておくということですか。また下の方の2号についてはどういうふうにしたらよいのでしょうか。
  • 渡邉委員
    これを外すということは、今までやっていたことができなくなるということになってきますから。
  • 堀部会長
    都の具体的な適用例からするとそうだということにはなりますが、その辺りは事務局としてはどうでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    条例2号の評価、判断、選考は、国の法律でいう7号の開示すると事務事業の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるものということで読めると思います。ここについているイロハニホというのは例示に過ぎないものですから、本質的には2号は7号の中で読み込めると思っているんですけれども、東京都で非常に使う頻度が高くて、今非開示になっている個人情報は2号を残すぐらいになっているのに、きちんとした例として挙がっていないのはいかがなものかという思いがございます。7号で読めることは読めてしまうんだと思います。
  • 高橋会長代理
    議論の仕方として分かりづらいんですが、7号で読めるとすると、だから、7号のように書き改めましょうというふうに聞こえるんです。そういうご趣旨ですか。私は、国が書いてあることが都条例でカバーできているかどうかと見ているんですが、逆の言い方をされるんですよね。ということは、2号をやめて7号の書き方にした方がよいのではないかという意味ですか…。
  • 入谷情報公開課長
    情報公開条例と整合性をとろうとすると、どうしても国のような書きぶりになってしまうという前提がありまして、そんな考えでお話をすると、今みたいな見方になってしまうのです。情報公開条例との関係はあまり考えないで、個人情報保護条例の条文の規定だけを単独に考えていくとするならば、今の都条例を基礎において、この中で法律は入れているけれども、都条例で入れていない部分を補っていくと、そういうような考え方があるかと思います。。今、高橋先生がおっしゃったのは後者の方の考えなんだと思うんですけれども、前者の方と後者の方とどちらがよいのかについても、ご意見をいただければと思います。
  • 高橋会長代理
    国の規定が詳しく書いていますから、そっちの方がよいという判断もあり得ると思うのです。いっそのこと国の方をベースにして書き直そう考えた場合に、従来の都のは全部そっちに読み込めるのかどうか、読み込めないのがあれば、国のにプラスして書こうという発想は確かにあると思います。、そっちでいこうというならそれでよいのですけれども、どちらでいくのかよく分からないものですから、議論が分かりづらい感じがするのです。
  • 入谷情報公開課長
    事務局の現在のイメージとしては、情報公開条例との整合性も必要だろうということで、基本的には法律を基本にして、条例の中で今まで頻繁に使ってきたようなもので不足しているものは補うような形で非開示条項を整備していくのが現実的ではないかというふうに思っています。
    それともう一つ、事務局として重視していますのは、国の審査会の答申なども同じような条文ですと、その考えから教えられる部分がわりと素直に入ってくることと、判例なんかも、同じようなつくりにしておくと便利だというのもありまして、そういった点から、基本的には法律をベースに不足している点を補った形で非開示条項をつくっていく形のはいかがだろうかと、思っております。
  • 藤谷委員
    条例の中身を見ると、国の7号の「当該事務又は事業の適正な執行に支障を及ぼすおそれがある」は、これは都の3号の2行目から3行目にかけてをカバーしているんですね。それ以前の国の行政機関の方の1行目から2行目にかけては、都の方の最初の1行目から2行目にかけてを少し詳しく言っている。抜けているのは何かというと、捜査だけで言葉として抜けていて、あとはほぼカバーしていると読めるんですね。だから、ここはスタイル、いわゆる冒頭に言われた簡潔なスタイルでいくのか、厳密なのでいくのかということだと思います。厳密なものでいくということは、非開示がどういう場合であるかということを住民に対してより明確にする機能を持っているので、できれば私としてはより明確にする方がよい。国の方になぞらえたようなものの方がよいとは思うんですけれども。
  • 堀部会長
    今3号について言われましたが、個人の評価、判断、選考、指導、相談等の2号についてはいかがですか。
  • 藤谷委員
    直接該当するのがないんですよね。
  • 渡邉委員
    実際に今多いということならば、これは残していくということの方がよいと思うのです。
  • 加藤委員
    それなんですが、7号の二の「人事管理にかかわる事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」というのは、これは結局、労務管理のことですよね。ですけれども、これは人事の確保というのもおかしいのだけれども、学校運営とか、そういうことで左側のが対応することになるんでしょうか。
  • 堀部会長
    この人事管理はまた後で検討していただくことになると思うのですが、現行の電算処理個人情報保護法は、公務員の人事関係は除いているのです。東京都条例もそこは除いているのですが、人事管理に関するものとして、東京都でもどうするのかというのは予定として後の方で検討事項に入っていますね。
  • 入谷情報公開課長
    職員の開示請求権の問題ですね。
  • 堀部会長
    そこではなかなか読めないんですよ。渡邉委員が言われることもありますので、ちょっとどういうふうに入れたらより明確になるのかということで少し事務局で検討してみていただけますか。その上で、また全体としてまとめる機会がありますので、そのときに議論するとして、条例5号はどうでしょうか。これはほかでも読めるというふうに見た方がいいですか。
  • 入谷情報公開課長
    これは、法律の方ではないと思います。近いのが法律の6号ですけれども、法律の6号は、合議制機関の中の審議、検討に関する情報で、それを本人に開示すると、合議制機関の中の意見交換が阻害されたり、あと未成熟な情報が外に出ていったりして混乱を生じるといったものだと思うんですけれども、条例の5号は、機関間でやりとりをした情報で一方が出してしまうと、信頼関係を損ねて事務に支障があるというものでして、この5号は、法律の方にはない条例独自のものだと思います。実際今まで使ったこともほとんどないのですけれども、信頼関係が損なわれるから、本人にも出せませんというのはなかなか運用としては難しく、使われる頻度としては低いものとなっております。
  • 堀部会長
    たしかこれは機関委任事務との関係で規定したと思うのです。旧地方自治法で、機関委任事務というのは主務大臣の指揮監督がありまして、国から指示があったときにどうするのか。情報公開条例でもその議論をして、ここでは読んでいたように思います。それとの関係もありますので、まず、法律も変わったことですので、どういうふうになるのか。具体例も含めて、どうするかもう少しそこを事務局で検討していただいて、今の入谷課長の話ですと、なくてもいいような趣旨にもとれますが、一応そういうことで歴史的な事情もあるはずですので、そこを踏まえて検討してみていただきたいと思います。それでは議題2の方で、大体こういう方向というのが見えてきたかと思うんですが……。
  • 藤谷委員
    2のところの関係で、機関委任事務のところがちょっと出たので、1点だけすみません。冒頭の1号の法令等のところで、先ほどまとめとして、情報公開条例と同じようなということがあったんですけれども、情報公開条例の第7条の1号の法令及び条例以下の部分が非常に長いのですけれども、「実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する国の行政機関の指示等」とは、現在地方分権法以降でも、あり得るんですか。要するに、これは以前通達行政というのが行われていて、それがもしあったのだったら、何かあり得るのかもしれない。そうでなくて、国と都道府県とが対等だということを前提にすれば、ここに書いてあるものがそもそもあるのかどうか、法的にあり得ないのであれば、それを確認していただいた上での方がいいと思います。
  • 村上委員
    今、2のところが終わりになると思うんですが、先ほどの利用停止請求の開示請求前置の問題についてよろしいでしょうか。
  • 堀部会長
    では、そちらに移らせいただきます。開示請求をした後という条件が国の法律にあるわけですけれども、開示請求して全部開示されたものについての利用停止請求に限るのか。存在するけれども、非開示条項に当てはまるので開示できませんとか、さき程の幾つかの例の場合に、自分では見ることはできませんが、利用停止請求をそういうものにまで広げるのか。木村委員が言われた存否応答拒否になると、これはあるかどうかも分かりませんので、利用停止請求というのはそこはできないのではないか。一般的にされても、またそれは事務事業の適正な執行ができなくなるということもありますので、そこは恐らく別に考えなければならないと思いますけれども、そこで、村上委員どうぞご発言ください。
  • 村上委員
    ここの頭の整理といいますか、どういうふうな考えをすればいいのかという問題なんですけれども、基本的に行政機関についての個人情報保護の規制というのは、一方において、個人のプライバシーなり個人の権利を守るという反面、やはり行政機関の事務の円滑な運営と調整を図っていくという考え方が法律、条例ともあると思うのです。そうしますと、権利が絶対的で、その権利が最大になればよいというのは確かに考えとしてはあるけれども、それによって行政事務が滞ってしまっては困る。恐らく国の法律は、どこで調整を図ろうかと考えた末に、非開示と開示とを区別して開示された範囲で権利を保護するという考え方に立っているのかなと思うのです。
    そうすると、開示を前提としない利用停止請求は、行政機関が必要としている情報を行政機関に使わせない。つまり、その情報を使って行政機関がそういうことができない方をとるわけですから、行政機関の事務を妨げるというか、個人の利益との調整をどこでつけるかということを考えないといけないという気がするのです。恐らく国の方は開示・非開示という区分けの中でそこの利益調整をしていると思うので、もし非開示についても、利用停止をすることになると、恐らく別の調整する理念がないと今度行政事務の滞りが生じてしまうのではないかが懸念されます。
  • 高橋会長代理
    停止請求したからといってすべて停止ができないわけでないから、争いの中身は同じことになるかなと思うんです。問題は開示を請求しなくてもあることが分かっていて、これは違法に収集したとか、瑕疵がある。それを止めたいときに、まず開示請求しなさいと言うべきなのか、分かっているのだから、直ちに停止請求していくことを認めて、停止すべき事態なのかどうなのかで争われたらどうかという考え方もあると思うのです。そういう開示請求は必要がなくて次の段階で争うと、事務の側で非常に困るということがあるのかどうか、あれば、そこを考慮しなければいけないし、そうでもなければ、私の情報があることが分かっていて、しかも、普通では合法的には収集できなかったはずだとか、何か瑕疵があると信じているとすれば、そこを直接争わせてもよいではという気もするのですけれども、何か不都合がありますか。
  • 堀部会長
    村上委員の言われるのは、この資料の2で言いますと38条のただし書で読めるのかどうかですね。
  • 村上委員
    今、高橋先生が言われたことですけれども、結局は、もちろん開示事項になっていれば直にやってもよいんでしょうけれども、非開示事項になっている情報で分かったから利用停止請求というのを条例上の仕組みとしてつくってしまった場合、果たして、例えばこれが裁判になったときに、行政機関の通知でその中身は出せないということになるのかなという気がするんですね。非開示事項ですから、情報はあるでしょうと言われれても、行政機関とすると、非開示事項ですから出せませんということになってしまうと、あるないの立証ができないのかなという気がするのです。条例上の仕組みとして、そこまでつくっていいのかなというところですけれども。
  • 高橋会長代理
    そういう情報について、そもそもその情報に何か瑕疵があるということが言えるのかどうかという感じがありますね。
  • 藤谷委員
    村上委員がおっしゃっているのは、立証責任というか、立証がどの程度できるかどうかという問題なので、それ以前にそもそも間違った形で取得されたり、当初の目的とは違う利用のされ方があるというのは、これは利用停止を申立てる側が主張し、立証しなければいけない事柄であるから、確かに開示されなければ立証が難しいと言えるけれども、難しさを自ら乗り越えて、開示されてからよりも、まずとめたいよという要求があるのであれば、それは立証責任の困難さを自分から背負ってそれを申立てることまでやめろという必要はないのではないかと思うのですけれども。
  • 村上委員
    立証責任の問題ではなくて、訴訟が起きれば当然反証を出さなくてはいけないわけで、ところが反証を出そうと思っても、行政機関からするとその証拠が出せないわけです。
  • 堀部会長
    その点は情報公開条例でも審査会ではインカメラレビューで見ていますが、裁判所へ行くと、非公開になった文書を見ていませんので、そこは同じなのかなというふうに思いましたけれども、木村委員どうぞ。
  • 木村委員
    今のお話とずれるかもしれませんけれども、村上委員のおっしゃっているように、やはり行政の円滑な業務の遂行という点も重要だと思います。それで、高橋委員がおっしゃったことに関して言うと、いわば、捜査情報とかが入っていない、警察情報が入っていないときには、あんまり問題ないと思うのですけれども、それが入ってきたときには、本人収集以外ということがかなりあります。そうしますと、本人収集以外だけれども、自分の容疑に関して、恐らく第三者が何か警察に言っているのではないかと。利用停止請求をまずするというような、いわば濫用ですよね。そのおそれが全くないとは言えないので、前置を法が設けていると思うんですね。ですから、情報の範囲が違ってきますので、それを踏まえると、法のような整備が要るのかなと思います。
  • 村上委員
    高橋先生の言われるのはよく分かることで、行政機関が違法に情報収集していると、これを何とかしたいというので、例えば、裁判手続きで国家賠償請求訴訟を起こすとか、そういう手続きというのはあると思うのですが、それをこの条例上の仕組みとして、つくる必要があるのかというところは、慎重に検討する必要があるのではないかと思うのです。
  • 高橋会長代理
    具体的な想定事例があると分かりやすい感じがしますね。
  • 村上委員
    ある程度具体的な事例がないと分かりにくい。
  • 堀部会長
    具体的な事例として、仮にこの利用停止請求権を規定して、その対象になったときにどういうことになるのかというのは何かありますでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    個人情報については、先ほど申しましたように全部開示が90%近く、一部開示も入れれば98.9%という形で100%近く開示になっていますので、開示の手続きをやる煩雑さはあるんですけれども、それを受けてもらえば、ほとんどのものが開示されていくので、開示される部分については手続きの煩雑さだけかなと思うんですけれども、それと木村委員がおっしゃっている存否応答拒否の案件ですね。あるかないかも答えられない情報というのは、情報公開の方は結構あるんですけれども、個人情報の方は今のところは少のうございますけれども、確かにこれから警視庁なんかが入ってくると存在して、それについてはなかなか難しいかなと思います。
    それともう一つ、不存在というのがあります。行政機関は持っていないのに、本人はあるはずだ、言ってくる例というのがこれは珍しくありませんで、不存在のようなときは、一度開示請求の手続きをしてもらって、そこで白黒はっきりさせて、そもそもあるのかないのかはっきりさせてからスタートさせようというのは非常にメリットがあるかなというふうに思っております。
  • 堀部会長
    いかがでしょうか。
  • 高橋会長代理
    メリットはあることはよく分かるんですけれども、それは行政側のメリットで、説明するときにそれだけでよいのかどうか。もう少し具体的に、どんな場合でも公開請求手続きをとる必要がこうこうこういう意味でありますと説明しなければいけないと思うのです。そこのところがまだ具体的によく分からない。
  • 藤谷委員
    先ほど木村委員が言われ、村上委員も同じようなことをおっしゃっているんですけれども、行政の利用との調整という意味では、先ほど会長が指摘された38条のただし書で実質的に調整は図られると思うのです。ですから、利用停止を申立てたときに、都の側が、これはただし書に該当するから利用停止できないと言っていけば、そこで決着がつく問題なのではないか。手続き的に開示を前置しなければいけないほどのことはないのではないかと私も思うのです。
  • 堀部会長
    ここのところ意見が大きく二つに分かれているところですが、今日の段階でどちらかにするのかというのは大変しにくい状況だと思いますので、ほかのところも含めて少し検討をしなければならないかと思うのです。今日のところは利用停止請求権は都条例においても導入する、規定するというところは一致したと思います。その前提として開示請求前置なのか、さらに開示請求して全部開示されたものについてのみ利用停止請求の対象になるのか、それとも非開示になったものも含めて対象になるのかというのもあるかと思います。
    あと、請求期間の制限というのがありますので、ここについて若干ご議論いただきたいと思います。国の方では36条第3項で利用停止請求は保有個人情報の開示を受けた日から90日以内にしなければならないとなっています。ここも開示請求前置かどうかということもかかわってきますけれども、こういう制限を設けるべきなのかどうか。訂正請求については東京都ではそういう期間の制限はないのですね。
  • 村上委員
    制限を設けている趣旨は何ですか。
  • 堀部会長
    何か国の方で説明したものがありますか。
  • 入谷情報公開課長
    私どもが今まで運用していたものですと、開示請求を受けた古いのを持ってきたりして、例えば、これは使わないでくれとかいってもらっても混乱を招くだけなので、一定の期間の制限を設けたのかなと思っていますけれども。
  • 村上委員
    確かに1年も2年の前の開示決定を持ってきて、請求されるとちょっと行政機関の人は困るだろうと。
  • 橋本委員
    国の場合は訂正請求が90日でそろえていますね。都条例の場合は訂正請求の方もないですから、利用停止だけ90日というのは、それはそれで非常に不自然な感じがしますね。
  • 堀部会長
    請求権者の利益を考えると制限しない方がよいと思います。
  • 高橋会長代理
    開示請求前置ならば、それから一定期間というのがわりあい素直に考えられると思うんですけれども。
  • 堀部会長
    その場合でもどうするかになると思うのですね。期間の制限については設けなくてもよいという意見の方が少し多いかと思いますが、この辺りも、先ほどの前置とも関連しますので、そういう意見の状況だったということに今日のところはさせていただきたいと思います。
  • 加藤委員
    決定については30日以内と法律でなっていますね。これはなるべく早い方がいいですか。
  • 高橋会長代理
    これは官庁が答える場合、大体30日でないですか。
  • 堀部会長
    東京都の場合に14日ということになりますので、国は情報公開法でも30日ですけれども、ここもどうするか、今日ここまで議論を事務局の方でも用意していないので、ほかに合わせると14日ということになるかと思います。
  • 入谷情報公開課長
    訂正請求については30日になっていますので、開示請求は14日、訂正請求は30日以内にするとなっています。
  • 堀部会長
    それとの整合性も出てきますね。
  • 藤谷委員
    先ほど加藤委員のご意見を受けて、課長さんの方からお話のあった資料4の14条の非開示の点ですけれども、法律の1号が生命、健康、生活又は財産を害すると限定しているのに対して、都の現在の方はそういう限定がないということとの関係ですけれども、ここで先ほどのご説明で、都の利益に反するという中には、国が掲げていない人格権的なものを含んでいるのではないかと、これはかなり重要な指摘だと思いますので、国は1号ではこういうふうに生命、健康、生活又は財産というふうに言い切っているんですが、例えば3号のイですね。そのずっと下の方です。網かけのイのところで「当該法人又は当該個人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれ」と、こういうふうに非常に幅を持たせて例示的に書いてある3号のイの場合に比べると一部を限定的にしていて、このままでいくと、確かに人格権的なものがあえて抜けているというのは、法律を批判するわけではないですけれども、ちょっと不備かなと。むしろ今の都の方が幅広いか、ないしは国のように、先ほど言ったようにやり方として具体例を挙げて限定をするということにするならば、ここもやはりむしろ人格権的なものも例に挙げて、しかもその他正当な利益を害するおそれというふうにした方がいいのではないか。
    さらに細かく言いますと、これも私たちの感覚ですけれども、利益を害するおそれというと損害賠償に近くなるんですけれども、利益相反というと、もっと手前のものでも保護できるような感覚が何となくあるのです。利益相反というのは、信義則から来ていますのに対して、害するおそれというと、どちらかというと損害賠償の非常に狭い範囲から出発することになりますので、国は害するおそれと言っているんですけれども、このところは利益相反という考え方の方がよろしいのではないかなと思います。
  • 堀部会長
    元々これを入れたときは利益相反だったのですね。
  • 佐藤委員
    感覚的にも、利益に反するという方がいいですね。
  • 堀部会長
    ご意見が出ましたので、今日の議論の一致した部分と一致しない部分とあるので整理してみていただいて、引き続き他の問題も検討しながら、併せてご議論いただきたいと思います。
  • 藤谷委員
    要望なんですけれども、会長が先ほど冒頭のご説明の中で言われた今年の6月16日付けで総務省の政策統括官からの各知事とか政令指定都市に来ている個人情報対策についてという文書があります。これはむしろ審議会の委員に資料として配っていただいた方が問題の要点を整理するのに役立つような気もするので、もし可能であれば。
  • 堀部会長
    前に資料として送ったような気がするんですけれども、どうでしたか。
  • 伊藤個人情報係長
    まだお送りしていないと思います。
  • 堀部会長
    では、入れておいてください。
  • 堀部会長
    ほかにいかがでしょうか。
  • 藤谷委員
    私、この間から見ていまして、情報公開法と情報公開条例の関係を見ますと、情報公開法上は地方自治体が条例を改正することは努力義務になって、「努めてください」という表現ですけれども、個人情報保護法上は5条で地方公共団体の責務と定めてあるのですが、この表現の違いというのは何か意味があるのでしょうか。
  • 堀部会長
    そこはあまり意識していないのではないでしょうか。個人情報保護法の場合には基本法制として第1章から第3章までを規定していますので、そういう責務になっています。情報公開法のときは、むしろ特殊法人とともに地方公共団体にも努力してほしいということになりました。それから、義務付けできませんのでそういう表現になり、今度のは国全体の政策として責務規定として定めたということで趣旨は同じ……。
  • 藤谷委員
    「責務」というのは地方公共団体の義務ととらなくてもよろしいのですか。
  • 堀部会長
    橋本委員、どうなのですか、そこは。
  • 橋本委員
    環境基本法とかの法律は責務を並べるというのが一つの方法なんですね。だけれども、それはいわゆる責務規定で、責務規定を根拠に自治体にはやってもらいますという話であって、情報公開法の場合はこれは全く、国がとにかくスキームをつくった。あれはまさに努力義務の規定を課したということで、「責務」と「努力義務」という位置付けは違っていますけれども、そのことに何か意味があるかと言われれば、堀部先生がおっしゃるように、そこはそんなに意識してない。
  • 藤谷委員
    分権法との関係ではそこも意識しなくてよろしいですか。
  • 堀部会長
    分権法の関係からすれば、いずれにしても、なかなか義務付けはできませんから、それで努力規定なりに……。
  • 藤谷委員
    ですよね。それが分権なのに責務というのは重い意味があるのかなと考えてみたんですが。
  • 堀部会長
    分権法との関係でいうと、そこはどうなりますか。
  • 橋本委員
    責務規定がないと、基本法のそこから先の条文が起こせないので、一応そのために書いてあるという、記述的にそういうことですね。
  • 堀部会長
    まだ、いろいろあろうかと思いますけれども、次回にご意見を出していただきたいと思います。
    事務局の方はよろしいですか。次回の予定等について。
  • 入谷情報公開課長
    次回は12月11日の午前10時からこの場所でございますので、よろしく日程確保のほどお願いいたします。
  • 堀部会長
    12月11日木曜日ですので、よろしくお願いいたします。今度は午前中ですので、その点もよろしくお願いします。
    それでは本日は以上で終わらせていただきます。どうも長時間にわたりましてありがとうございました。

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