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平成29年(2017年)2月7日更新

情報公開・個人情報保護審議会 第19回議事録

第19回東京都情報公開・個人情報保護審議会

成16年1月22日(木曜日)
京都第一本庁舎42階 特別会議室B

  • 堀部会長
    おはようございます。ただいまから、第19回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開催させていただきます。本日は席順も若干異なっていますが、能見委員、石井委員、橋本委員が所用のためご欠席ということです。
    まず、事務局から報告があるということですのでお願いいたします。入谷課長、どうぞ座ったままご説明ください。
  • 入谷情報公開課長
    二つほどご連絡でございます。
    一つ目でございますけれども、前回の審議会のとき、加藤委員から、今までの審議会の検討経過をまとめてほしいという申し出をいただきました。それにつきましては、次回資料を提示させていただいて、今までの検討経過をレビューするような形でまた改めてご意見等をいただければと思っております。
    それから二つ目ですけれども、本日席上に配付させていただきましたが、東京都地域婦人団体連盟と、情報公開クリアリングハウスの方から要望書、意見書が提出されていますので、お目通しいただければと存じます。
    以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。それでは、議事次第にあります審議に入らせていただきます。
    本日の議題は三つですが、一つは、個人情報の利用・提供の制限について、二つ目が審議会の関与について、三つ目が職員等に対する罰則についてです。そこでまず、審議事項の第1の「個人情報の利用・提供の制限について」、事務局から説明をお願いいたします。引き続き入谷課長からお願いいたします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、個人情報の目的外利用提供についてご説明をさせていただきます。資料2と資料3を使ってご説明をさせていただきます。
    まず、資料2の方でございます。条文の比較でございます。目的外利用・提供につきましては、東京都の個人情報保護条例では10条と11条に関連の規定がございます。
    まず、10条の方でございますけれども、「個人情報の利用及び提供の制限」ということになっておりまして、「実施機関は、個人情報を取り扱う事務の目的を超えた個人情報の当該実施機関内における利用及び当該実施機関以外のものへの提供をしてはならない」というふうに1項で規定しております。
    2項にいきまして、「前項の規定にかかわらず、実施機関は、次の各号のいずれかに該当する場合は、目的外利用・提供をすることができる」といたしまして、六つほど例外規定を設けてございます。本人の同意があるとき。法令等に定めがあるとき。出版、報道等により公にされているとき。それから、個人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ないとき。それから5番目に、専ら学術研究又は統計のために利用し、提供する場合で、それが本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないとき。それから六つ目でございますが、同一実施機関内で利用する場合や国、地方公共団体若しくは他の実施機関等に提供する場合で、事務に必要な限度で使用して、使用することに相当な理由が認められるとき。というような六つの場合を想定いたしまして、この場合は、目的外に個人情報を利用・提供してもいいというふうに定めてございます。
    それから、次の11条でございますが、こちらは「個人情報の外部提供の制限」ということで、こちらの方は、目的外、目的内を問わずに外部へ提供するときの制限という考え方でございます。実施機関は、個人情報の実施機関以外のものへの提供をする場合は、外部提供を受けるものに対し、個人情報の使用目的、使用方法の制限その他の必要な制限を付し、又はその適切な取扱いについて必要な措置を講ずることを求めなければならないとしてございます。
    それから、2項目でございますが、こちらの方は、実施機関は、事務の執行上必要かつ適切と認められ、及び個人情報について必要な保護措置が講じられている場合を除き、通信回線による電子計算組織の結合による外部提供を行ってはならないとなっておりまして、オンラインによる個人情報を提供してはならないという規定でございます。
    目的外利用提供のこの条項につきましては、10条の規定の方は、特に私どもも今まで運用していまして、不都合があるというふうには考えてございません。
    それから、11条の1項につきましても、特段付け加えたり、廃止したりするということもないのかなというふうに思っておりますが、2項のところは、平成2年当時からも、大分世の中も変わりましたので、この条項については先生方からご意見をいただければというふうに考えてございます。
    2項についての平成2年当時の懇談会の考え方でございますが、(2)のところです。オンラインによる外部への個人情報の提供を認めることについては、事務事業執行上やむを得ないものに限り、個人の権利利益侵害のおそれが生じないよう、十分な保護措置が講じられることを条件とすることが適当であるというような考え方のもとに先ほどの条例の条文が作られてございます。
    それから、資料の3でございますが、こちらは目的外利用・提供の例でございます。昨年の9月に臨時的な目的外利用・提供を行ったものがあれば報告をしてくださいというような形で全庁調査をまた改めて行いました。その結果でございます。ここではいろんなパターンを拾ってまいりました。
    利用・提供先については、相手先はほとんど官公庁でございました。この中に一部弁護士というのがございますけれども、民間部門についてはそのぐらいでした。
    それから、提供してほしいという依頼については文書で行われてございます。それから、該当する条項、目的外提供を行うときに、何の条項を使って目的外利用・提供を行ったかということで、多くの行政機関が法律に基づく調査権があるということで、多くがそれに基づいて依頼をしてきていると。それが2号というふうに書いてあるところでございます。また、上から二つ目は1号ということで、本人の同意があるときという形で弁護士に個人情報を提供したという例でございます。
    それから、上から四つ目と五つ目ですけれども、これは福祉局のそれぞれ身体障害者の手帳を交付されている人の個人情報、それから「愛の手帳」を交付されている人の個人情報を同じ福祉局の総務部の方へ基礎調査の資料として提供をしたという場合でございまして、これは目的外利用・提供をした条項が統計調査という、5号の規定を使って提供してございます。
    それから、6号というところでは、行政機関において必要な範囲で使用して、使用することにやむを得ないと認められる場合というふうに判断をして渡しましたという例が下の方で6号と書いてある例でございます。
    一番右側の件数でございますけれども、件数については、基本的に多くの例が1件の照会について1人というように、そういう形がほとんどでございました。それで、この中で特に数が多くなっています福祉局関係のものは、統計調査というようなこともありましたので、これだけのボリュームになってございますが、あとは大体2桁とか、3桁の前半ぐらいでございます。この期間が平成14年4月1日から平成15年6月30日までの期間でというふうに報告を求めましたので、概ね1年3か月ぐらいのスパンでこのぐらいの人数のやりとりがありますということでございました。
    目的外利用・提供の説明は以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。ただいまご説明いただきました個人情報の利用・提供の制限、都の運用状況を踏まえてご意見を出していただきたいと思います。
  • 村上委員
    4号の生命、身体、財産の安全の関係ですが、これは個人と書いてありますけれども、当然、法人は入らないわけですね。
  • 堀部会長
    法人は入らないと思います。
  • 村上委員
    個人情報保護法では、人の生命、身体、財産ですが、これは法人が入るという解釈ですか。国の法律の方で個人情報保護法のところですけれども、16条の3項2号で人の生命、身体、財産の保護と、法人の生命、身体というのは当然ないです。財産については、法人も……。
  • 堀部会長
    財産はありますね。
  • 村上委員
    例えば、企業が何らかの企業恐喝を受けているようなケースで、犯罪捜査のために必要であるということであれば提供が可能だということかなと思うのですけれども、少なくとも現在の10条2項4号の規定では、法人の財産の安全を守るためには使えないかなということと、あと緊急かつやむを得ないというのは非常に厳しい条件で、例えば我々弁護士が、最近問題になっているやみ金の関係で、行為者を特定するための情報を得ようとする場合があるわけです。現在の2号の法令等の定めで、弁護士会の照会制度を使えば、たぶん教えていただけるということになると思うんですけれども、かなり時間がかかるということになると、例えば、法人又は個人の財産の安全を守るために、目的外提供ということをされることまで認めていただけると、いろいろな問題が解決できるという気がするのですけれども。
  • 堀部会長
    村上委員からご意見がありましたが、いかがでしょうか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    国の基本法についての解釈の説明があるんですけれども、この「人」には、本人、第三者を含み、自然人であるか、法人であるかを問わないというのが解説書には書いてありますので、そういう意味で、個人ではないということになるかなと思うんですけれども。
  • 村上委員
    現在の条例の方は自然人だけですね。
  • 堀部会長
    個人というのは、法人は含まないですね。
  • 村上委員
    これは従前は問題なかった。場合によって、そういうケースがあり得るのではないかという部分ですけれども。
  • 堀部会長
    どうぞ。
  • 加藤委員
    今、村上委員がおっしゃったようなことをもし盛り込んでいくとすると、この条例の目的規定のところから変えていかなければならないことにもなるわけですか。
  • 堀部会長
    それはないと思いますが……。
  • 加藤委員
    ここの部分だけでいけるんですか。
  • 堀部会長
    他の利益を保護する場合に個人情報を使うことはある、提供することはあり得るという趣旨ですから、ほかの様々な目的でも個人には限っていないと思います。
    ほかにいかがでしょうか。今の点について、法人も含めてということになると、個人情報保護法のような、「人の」というふうにすれば法人も含むということになります。生命の場合には、確かに個人、自然人、身体も自然人ですけれども、財産については、「人の」と入れれば法人を含んで解釈できる、「個人」を「人」に変えるということはあり得ると思いますが、その点について、まずどうなのか。
  • 高橋会長代理
    「人の」といった場合は、本人も人も同じになるのですか、本人の同意という場合の本人も……。
  • 堀部会長
    本人は個人なんでしょうね。つまり、人のというか、他人のというか、それの生命、身体又は財産を保護するためですから。
  • 高橋会長代理
    だから4号について、「人の」とに変えていく場合に、1号にはね返るようなことなのかなと思ったものですから。
  • 堀部会長
    1号の本人ですか。
  • 高橋会長代理
    はい。
  • 入谷情報公開課長
    1号の本人は、個人情報の主体の本人という意味になりますので、個人情報が自然人という定義になっていますので、この本人には影響しないと思っております。
  • 堀部会長
    いかがでしょうか。
    東京都の条例では、本人についての定義は特になかったでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    本人は特に……。
  • 堀部会長
    国の法律では本人について定義していますので、そこが定義で明確になれば……。
  • 入谷情報公開課長
    法文の定義は、2条の中には入っておりません。
  • 堀部会長
    ないですね。
  • 入谷情報公開課長
    解釈上も明確にしていないと思います。
  • 堀部会長
    それと、個人を人に変えて、本人との関係ということについて疑問がないようにするためには、本人についての定義を2条に設けるということで解釈上可能かと思いますが、いかがでしょうか。全体に「本人」という言い方の規定も見直す必要は出てくるかと思いますが……。
  • 藤谷委員
    村上委員がおっしゃっている国の個人情報保護法は、一番この表の右側の3項の2号だと思うんですが、ここの読み方として、「人の」は、いわゆる自然人と法人を含むと解釈するとすると、読点の後の「本人の同意を得ることが困難であるとき」の本人というのは、その本人というのは、冒頭の「人の」という、その人ですよね。
  • 堀部会長
    これはむしろデータサブジェクトというか、情報主体を指していると思います。
  • 藤谷委員
    そういうことになるんですか。
  • 堀部会長
    個人情報保護法ではそうなっているわけですね。都の条例の全体をもう一度見て、それだけで足りるかどうかチェックしてみる必要があります。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    国は、行政機関法の定義が第2条でありまして、「この法律において、個人情報について本人とは」と、「個人情報によって識別される特定の個人をいう」とうたっておりますので。
  • 藤谷委員
    今のは、真ん中の欄の行政機関が保有する個人情報の保護に関する法律の定義の部分ですよね。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    それは資料3の基本法二条で、やはり同じように定義されております。
  • 堀部会長
    それは後の方の第4章の中に本人という概念が何か所か出てきます。
    例えば、今の資料3でいきますと、7ページに25条がありますが、そこの「個人情報取り扱い事業者は、本人から当該本人が識別される保有個人データの開示」云々、こういうふうに出てくるわけですね。その他いろいろなところで出てきますけれども、本人というのを明確に定義して、他の規定でもそこをどういうふうに表現するかということを、全体として整理する必要があるということになります。本人を英語に訳すのに何と訳するのか。中にはいろいろな訳がこの基本法についても出ています。例えば、本人と代理人という意味の本人で、プリンスパルと訳している人もいますし、パースン何とかと入れている人もいます。OECDの理事会勧告などでは、データサブジェクトという言い方をしていまして、データ主体と日本では訳したりしていますが、それを使って外国人に説明すると理解してもらえるということがあります。
    現行の行政機関電子計算機個人情報保護法のとき、データ主体という言葉は使いにくかったと思うのです。それで本人と言ったと思うのですが、その後、東京都でも現行の条例について議論しています。それをあまり明確にしないまま条例ができていると思います。もし、本人というのを明確にするのであれば、全体として見直す必要があります。それで不都合が生じないかどうか検討してみるとしたいと思います。
    個人というのを人に変えるのは、国の法律にもあることですから、そういう方向でとりあえず今日の段階ではまとめておいて、今の本人の使い方等との整合性なども含めて検討してみる、こういうふうにしたいと思います。村上委員が出された問題は、それでとりあえず終わりまして、どうぞ。
  • 藤谷委員
    今の点ですけど、基本法というのは、もちろん行政機関と住民との間の基本法ですから、適用はされるんでしょうけれども……。
  • 堀部会長
    行政機関の方は真ん中ですね。
  • 藤谷委員
    そうすると、第8条の目的外利用の場合というのは、1号から4号というのは、東京都の10条に比べると少ないという気もするんですけども。基本法には、今、問題になっている2号があるのに、行政機関の個人情報保護法については、この2号に相当するものは見当たらないですよね。これは特に何か意味がというか、区別をされた趣旨があるんでしょうか。
  • 堀部会長
    それは正確には覚えていませんが、報告書がここに入っていますので、見てみないと……。
  • 藤谷委員
    格別な意味がないのであれば、今の方向で結論はいいんですけれども、何か、こういう差を設けたのは意味があるのかなと、若干気にはなったんですけれども。
  • 堀部会長
    行政機関個人情報保護法の場合には、現行の昭和63年の法律があって、それをどう改正していくかというところが一つありました。元々電算処理のみを対象にした法律だったので、そこから発想しているところがあります。この前も言いましたように、自治体では事務という概念で届出とか、そういうものはとらえているということで今回も議論したのですが、国の方は従来ファイルという概念を使い、それを手作業処理のものを含めるというのが国の考え方ですので、そういうこともあったかもしれません。
  • 藤谷委員
    それでは結構です。
  • 堀部会長
    それでは加藤委員。
  • 加藤委員
    今の件なんですけど、やはり、そういう経緯があって、行政機関法の方については、こういう書きぶりに落ち着いたんだと思うんですが、基本法で事業者の保有する、例えば、消費者取引情報だとか、お金を借りている人の信用情報だとか、そういった関係のところもカバーしていくとなりますと、個人の情報の保護、本人の同意の必要性といったこととパラレルに配慮されたのが、やはり事業者の財産保護といったような視点ではないのかと思うんです。それでこの書きぶりがこうなっていて、本人同意を得ることが困難であるということを非常に幅広に解釈されては困るというような思いが消費者の側にはあるわけです。それで例えば、今日、初めて拝見したんですが、NPOの東京都地域婦人団体連盟などから来ている要望書も個人を大事にしてほしい。というようなことが言われている。ですから、今度の東京都の改正においても、一番左側ですが、10条の2号の2項というんですか、大きい2の(4)のところの表現ぶりを変えるとしたら、やはり、そこのところもそれだけに終わらせずに、全体的に考慮するべきことがほかにもあるのではないかと思います。
    それは具体的に申し上げると、資料の4で「他の自治体のおける審議会関与の比較」がありまして、例えば、目的外の利用提供の制限のところで、審議会関与のところ、13番が東京都ですけど、他の自治体はほとんど首都圏では関与している、こういったようなことも含めて一緒に考えていくべきではないかと思います。少し話が先に行きましたけど。
  • 堀部会長
    それはまた改めてご議論いただきます。趣旨は分かりました。要するに、個人の権利利益の保護という目的に違反しないようにということであるわけですね。分かりました。
    それでは、ほかに10条についてはありますでしょうか。
    もしなければ、特に11条の2項の電子計算組織の結合による外部提供の点について意見を出していただきたいと思います。これは先ほどもご説明がありましたように、総務省の政策統括官からの通知、これはお手元の資料の14、資料集の、最後のところの一番最後、6ページに7として「いわゆるオンライン禁止規定について」があります。こういう留意事項が全体として7項目ありますが、個人情報保護条例の制定又は見直しに当たっての留意事項の一つとして出ています。
    歴史的に言いますと、1970年代の後半辺りから基礎自治体の条例の中に、このオンライン結合の禁止が入ってきまして、当時の状況を反映した規定でもあるのですね。個人情報を保護するために、他とネットワークでつながない方がいいという一般的な考え方がずっと自治体ではありました。そういう中で、今の言葉で言えばIT化が進んできて、ネットワークというのは必要な状況にありますので、そうすると、そこに審議会が関与したりしてオンライン結合を認める場合も設ける、こういうような流れになってきています。
    総務省が毎年調査結果を出していますが、オンライン結合については全面的に禁止しているものと制限しているものと、そのパーセントも条例でどうなっているかということが出ています。今日持ってきていないのですが、どういうふうに考えられるかご意見を出していただきたいと思います。去年は9月に総務省が発表しています。
  • 高橋会長代理
    この、2項の規定の趣旨は一律に禁止しているわけではないですよね。その場合に、事務の執行上必要というのは、都の事務だけを言っているのか、それとも、他の自治体や国の事務も入るのかどちらなんですかね。
  • 入谷情報公開課長
    条例を作りました当時は、都の機関以外とのネットワークというのは、あまりなかったかと思いますが、今の時代では、ほかの機関との事務上の必要性というのも考えて読まざるを得ないような状況なのかなと思います。特に、この制限というのが解釈上とかも設けられてはおりません。
  • 高橋会長代理
    東京だけではない意味に解釈できるということであれば……。
  • 入谷情報公開課長
    これをつくった当時から、旅券のネットワークは外務省とはつながっていたと思いますので、それも踏まえていると思いますので、必ずしも東京都だけではないと考えております。
  • 高橋会長代理
    この規定で、特に将来困ることが起きそうだというのはありますか。
  • 入谷情報公開課長
    この規定ぶりがちょっときつめかなという感じはいたします。もちろん、上に付されている条件は絶対必要な条件ですので、この規定のままでも特に具体的な不都合はないと思いますが、何となく今の時代にあっては表現がきついのかなという印象は若干持っております。東京都も大分IT化が進みまして、これから都民の方が電子申請ですとかを盛んに行っていこうという、電子都庁推進計画というのもできておりますので、そういう中にあっては、基本的に表現の問題だけなのかもしれないですけれども、ちょっと表現がややきつめかなというような印象を持っております。
  • 藤谷委員
    私はむしろ逆に読んでいたのですけど。今の2項の規定は、総務省の政策統括官から出ている7項目目のところの下から4行目ぐらい以降と比べても、私はむしろ緩いのかと読んでいたんです。政策統括官が言っているのは、一律に禁止している団体があるなら見直してくださいというんですけど、東京都は一律に禁止しているのではなくて、むしろ事務の執行上があれば、もちろん個人情報の必要な措置が講じられている場合ですけど、審議会の審議も経ないで結合を認めているわけですから、全国的に言っても非常に緩やかなんですね。しかも、つなぐ場合考慮すべきなのが、事務の執行上という事務上の必要性というのはかなり表に出ていて、政策統括官の方もそこまでは言っていなくて、提供の目的、利用形態や権利利益の侵害のおそれがあるかどうかも判断して、後ろの方の事業者側における保護措置の状況というのは、東京都の個人情報について必要な保護措置が講じられている場合ということと同じだとすると、むしろ、資料14の方が要件は厳しいのかなと私は読んでいたんですね。
  • 入谷情報公開課長
    この場合の要件というよりは、今の時代の東京都が電子都庁を進めようというような中にあった場合、例えば、ひっくり返して通信回線による電子計算組織の結合を行う場合は、これこれの措置を講じなければならないとか、そういうような規定ぶりも考え得るのではないかとも思っております。
  • 藤谷委員
    そうすると原則禁止から、原則結合は認めるというふうに転換するということですよね。
  • 入谷情報公開課長
    そこをどう考えるかという点についてはご意見を伺いたいと思うんですけれども、これが今、どっちかというと原則禁止のようなニュアンスで書かれているかなと。
  • 堀部会長
    佐藤委員いかがでしょう?
  • 佐藤委員
    この場合の外部提供を行ってはならないの「外部」の解釈というか、規定というか、それは何かあるんですか。
  • 堀部会長
    東京都以外ですね。
  • 佐藤委員
    そうすると私企業とか個人とか、そういうものは全部含まれるわけですか。
    官公庁関係だけでなく、官公庁は分かりますけれども、国とか他の自治体とか区とか、そういうのは分かるんですけど、私企業とかそういうことも含まれるわけですね。
  • 堀部会長
    ええ。
  • 藤谷委員
    意見をいうと……。
  • 堀部会長
    どうぞ。
  • 藤谷委員
    事務局の意見は、今の時代に沿っているといえば沿っているんでしょうけれど、今、ネットワークが完璧に安全だと言い得る状態というのは、たぶん、できていないと私は思っているんですね。いろんな事例とか状況を見たら。具体的に言いますと、今の住基ネットや電子政府や電子自治体の関係でも、この前IT推進室の方が来ていろいろご説明いただいた中でも、そもそもネットワークの基本的な仕様すら、都には明らかにされていない状況なんですよ。基本的な仕様そのものは、総務省は知っているんだけど、東京都、それから市区町村には全く知らされていない。それは市区町村の電算担当の方と話をしても、そもそも自分たちのところで何か起こっているのに、どうなっているのかすら分からないということも私は聞いていますから、かつネットワークというのは、長野県と総務省とのやりとりというのは、まだ実態のところは、どうも双方とも完璧に我々が判断できるまでの状況になっていないんですけれども、私としては、原則結合OKというのに転換するまでは、まだネットワークの状況が完全とは言い切れないというのが現段階の技術的なレベルだと思うので、そこまでは転換すべきではないというのが私の意見です。
  • 加藤委員
    確かに条例を改正する作業というのは大変なんですけれども、今のままでしばらくいって、今度新聞で拝見すると札幌市がやはり長野県と同じような警告を発していましたね、こんなふうに私たちが検証できないようなレベルのときに、踏み込んでやってしまうよりも、今のまま原則禁止で、むしろ審議会など第三者機関の関与も入れていくという形で、そこでもし緩めるなら、ケースによってそこはつなげてもいいじゃないかというふうに運用できるようにしておいて、世の中の状況がこんなだから、安心になったレベルだというときに、その部分的なそこだけの改正ということもまたできるのではないかと、私はそんなふうに思います。
  • 堀部会長
    どうぞ村上委員。
  • 村上委員
    東京都のIT化という問題が政策目的としてどのぐらい大きな位置付けを占めているかが、私自身把握していないので分からないのですが、東京都としてその方向に行くということであれば、それと矛盾するような条例を置いておくというのはおかしいですよね。そうすると、むしろ原則例外、反対にするかどうかというのは、東京都全体のIT化の政策がどういう位置付けになっているかというところから判断しなきゃいけないんじゃないかと思うんです。だから、危険性があるというのは間違いないことで、それについての検証というのは当然必要ですけれども、十分な規定ぶりとすると、政策全体からどういう規定ぶりがいいのかという判断をした方がいいんじゃないかと思うんです。
  • 藤谷委員
    ただ、政策がもしそういうふうに転換したからといって、特に都民の権利利益を保護する場面にまで、それを転換しなきゃいけないという根拠にはなり得ませんから。政策がたとえそうだとしても、むしろ、この部分については、その逆の方向を堅持すべきだという方向の方が私は望ましいと考えています。
  • 村上委員
    ただ、規定ぶりの問題であって、中身に書いてあることは、たぶん一緒だと思うんです。ですから、それはむしろ中身とどうかという問題を詰めた方がいいと思うんです。
  • 高橋会長代理
    中身のことでさっき言ったのは、実施機関は事務の執行上と書いてありますから、この事務の主体がどうも実施機関、都であるということになるんではないかなという危惧を持ったものですから、都の事務だけだと限定しちゃうと、ちょっと困ることが起こるかもしれないということを思ったんです。そうじゃないんだということであれば、書きぶりをどうするかは別にして、内容的にはこれでいいんじゃないかなと思うんですけれども。
  • 藤谷委員
    会長代理がおっしゃっているのは、例えば、国の事務上必要ということであれば、結合はOKということになるということですか。
  • 高橋会長代理
    国の事務と言っちゃうと問題があるかと思うんですが、ここへ行政法の方が今日はいないから、ちょっと私も自信ないんですが、国と地方の両方が関与しているようなもので、かつては委任事務なんて言っていたから、あれは国の事務だということだけれども、受託事務になっちゃって自治事務だということになっているから、それですべてカバーできるのかもしれないという気はするのだけれども、そこら辺がどうなるのかということを思ったんですね。
  • 藤谷委員
    行政法とか、地方自治法の関係でいくのであれば地方分権一括法で、むしろ国との上下関係もなくなって、対等関係で、しかも出発点としては、施策の企画、立案、それから推進、評価もすべて地方自治体が主体的に行いなさいということが出発点になっていますから、だとすると、むしろ国とか他の県とか市区町村からであっても、自分の都合でつながせてくれといっても、つなぐかつながないかは、まず都は都でちゃんと意思決定するんだという主体性を確立するというのが求められているんだと思うんですけれども。
  • 高橋会長代理
    そのとおりだと思います。ただ主体的に、この場合はつないでということになったときに、条例を改正しなければいけないということになるかなと思うんですね。もし、この事務というのが都だけだと限定されていると。
  • 村上委員
    ちょっと議論が混乱していると思うんですけれども、国に提供するかどうかという問題はむしろ10条の問題で、10条6号で決着はついているわけですね。ここに当てはまれば提供できるわけで……。
  • 藤谷委員
    ただ、それは通信回線結合する場合と……。
  • 村上委員
    通信回線を結合だけなぜ別にしなくちゃいけないのかというのはちょっと問題があると思うんですけれども、国の行政機関法では、特に通信回線で提供するかどうかを問わず、外部提供する場合の措置ということで9条で決まっているわけで、通信回線の問題は確かに重要な問題ではあるんですけれども、これはあえて別の形で、11条1項で別に規定する必要があるのかどうかということも議論の対象にはする必要がある。
  • 高橋会長代理
    10条と11条の関係の読み方が違っていたのかもしれないですが、私が10条で提供で可能な場合でもオンラインで提供しようとすると、11条がかぶってくるというふうに読んだものですから、オンライン上きちんと保護ができている場合でないと、たとえ10条で提供できてもだめじゃないかなというふうに思ったんですね。
  • 藤谷委員
    私も同じ解釈です。ですから、村上委員のお考え、そもそも11条で通信回線による、いわゆるネットワーク結合がなぜ原則禁止されているか、そこに遡るわけで、それは元々通信回線でオンラインで結ばれてしまうと、こちらが意識しないのに、いわゆるハッキングとか様々な方向で内部のデータベースに侵入されてしまうおそれがある。それをそもそも禁止したいんだと、チェックしたいんだというのが出発点だろうと思うんです。
  • 村上委員
    条例自体がそういう趣旨なんですよね。
  • 藤谷委員
    それから出発点は、国民総背番号制なんかのがもちろん背景にはあるんですけれども、それは理屈の上では、電算機に入れなくても総背番号制はできるという話なんですが、技術上は、要するに電算処理、コンピュータ処理をして、かつオンラインで結ぶことによって可能になるということですから、そういう背景があったにしても、実質的な理由というのは、まだまだ通信回線上の安全等も考えると、一概に全部結んでいいと言えないという趣旨が残っているんだと思うんですけれども。
  • 渡邊委員
    そういった意味では、他の自治体の審議会を見ても、オンライン結合の提供制限というのは、42都道府県ではまだ制限がされているというふうなとらえ方をしていれば、ある意味でここで拙速して早くやる意味合いがあるのかどうなのかというのがちょっと理解できないんですけれども。
  • 堀部会長
    何らかの形でこの規定は残し、その書きぶりをどうするかはもう少し検討することにしまして、もう一つ、次の問題でもあるのですが、審議会の関与をどうするかという点についてはいかがでしょうか。まず、ここのところがほかの自治体では審議会が関与することで、むしろ緩めたのですね。最初は一律禁止ですが、先ほどの通知にもありますように、一律に禁止することはしないでほしいというのが国の方の意見です。それを先ほど言ったような経過で緩めていった。しかし、審議会が関与するというのが他のやり方です。東京都は、後の方にも関係してくるのですが、できるだけ行政の責任で事務を執行していきたいというところで審議会は関与しないことになっています。個人情報保護条例を作るときに、情報公開条例の場合には、審査会が建議機能を持ちますが個人情報保護については、一般的に政策問題を含めて意見を言えるような場が必要だということで個人情報保護委員会をつくったという経緯もあります。
    次の第2の議題と併せて議論しましょうか、今、一般論で申し上げましたので……。
  • 加藤委員
    一般論なんですけど。
  • 堀部会長
    一般論どうぞ。
  • 加藤委員
    先生にお伺いしたいんですが、一般論なんですけれども、確かに審議会を経ることによって緩めて使うということもあるかもしれないけれども、逆に審議会の意向によっては、提供していったものを閉めるということもあり得るわけですよね。
  • 堀部会長
    緩めるというのは、一律禁止をむしろ条件付きで認める場合もあるということで、その際に審議会が関与して意見を述べる、第三者の意見を聴いた上で実施機関としては通信回線による外部提供を行う、こういうことですね。
  • 加藤委員
    お伺いしたいんですが、資料4の一番下のオンラインという……。
  • 堀部会長
    併せて、ほかの審議会の関与についてもご説明いただいた方がいいと思いますので、それでは入谷課長……。
  • 加藤委員
    説明していただく前に、私の疑問も含めてお返事いただきたいんですが、この資料の4の一番下の「オンライン結合による提供制限」というのは、「○」が書いてあるのは、北海道から沖縄県まで、これは提供を認めていると、こういうふうな「○」ということですか。原則、提供を制限しているというのが「○」と、理解すればいいわけですね。
  • 入谷情報公開課長
    はい、そうです。
  • 加藤委員
    分かりました。今、堀部先生がおっしゃったように、一番下の「●」のところは、第三者の意見を聴くことによって制限を緩めていると、こういうふうに理解すればいいんですか。
  • 堀部会長
    緩めるよりは、むしろ厳しいのですね、この「●」は。
  • 加藤委員
    ご説明どうぞよろしくお願いします。教えてください。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、審議会の関与ということで、資料の4と5と6を使ってご説明させていただきます。
    審議会の関与につきましては、今、東京都におきましては、審議会は、こういった事項については直接関与しておりませんので規定がございません。国の方の法律も、行政機関法も個人情報保護法の方も特に審議会が関与するというような規定がございませんので、いつも提出している条文比較の資料がございません。
    資料4ですが、これは全国の自治体の審議会の関与の状況比較をしたものでございます。今ございます条例では、本人外から収集を行うとき、センシティブ情報を収集するとき、目的外の利用提供を行うとき、オンライン結合を行うときについて、審議会の意見を聴くというような形で設けているのがほとんどでございます。
    何らかの形で審議会が関与しているというのが多うございます。全く審議会が関与していないのは、、福島、埼玉、東京、長野、静岡、滋賀、山口、香川と、この辺りは審議会が全く関与をしていないというものでございます。
    それからあと、先ほどの加藤委員のご質問にお答えしますと、一番下のオライン結合による提供制限というのは、基本的に条文では、オンライン結合による提供の制限を設けているんですけれども、それでオンラインによる結合をしていいというような条件の中に、審議会の意見を聴くことというような要件を与えているということでございます。
    それから「●」のところは特に厳しくて、オンライン結合することに法令等の定めがある場合であっても審議会の意見を聴きなさいというようなことになっております。その裏返しでいきますと、「○」のところは、オンライン結合が法令に基づくようなときは、審議会の意見は不要だというような考えになっていると思います。
    それから、資料5でございます。これは今、見ていただきました47都道府県の中で何らかの形で審議会の関与を条例上規定している中で、主要な県の条文をピックアップしてきたものでございます。それで、北海道、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡といった比較的人口数の多い県を選んでございます。
    それから、左ですけれども、表側の方は、本人以外の収集制限、センシティブ、目的外の利用・提供、それからオンライン結合、それと神奈川県だけその他という形というのが書いてございます。
    まず、本人以外のものからの収集でございます。大体審査会審議会の意見を聴いた上で、事務上の必要があるときには、本人以外のものから収集してもいいというふうに、審議会、審査会の意見を聴くのを前もって行いなさいというような形にしてございます。大体同じような規定ぶりなんです。
    それから、二つ目のセンシティブ情報の収集制限ということでございますけれども、これも、あらかじめ審議会、審査会の意見を聴いた上で、それでも事務上の必要がやはりあるというふうに認めるときは、センシティブ情報の収集をしても構わないというような規定をしてございます。
    それから、三つ目の目的外利用及び提供の制限です。こちらの方も、基本的に事前に審査会、審議会の意見を聴いた上で必要があると認めるときは、目的外に利用・提供をしてもよいというような規定ぶりでございます。大体みんな同じような表現になっておりまして、あんまり変わった表現のところはないように見受けます。
    それから、電子計算機結合のところですけれども、こちらも新たにオンライン結合をしようとするときは、審査会、審議会の意見を聴かなくてはならない。その内容を変更するときも同じであるというようなことを規定してございます。
    全国の条例はこのような状態でございますけれども、資料の6をご覧いただきたいんですが、東京都が平成2年当時懇談会をつくりまして、今、現行条例のもとになっているわけですけれども、そのときの懇談会の考え方をまとめたものでございます。ざっと読ませていただきますが、付属機関の設置について論議したときの審議経過でございます。「付属機関に関し、制度のあり方について審議、建議するだけでなく、制度運営に関与する機能を持たせるべきか否かについては、次の意見があった」ということでございまして、アとして、審議会の意見を聴くことにより、制度の公正かつ適正な運営が確保される。実施機関の判断のみでは、都民の納得が得られないであろう。イといたしまして、収集、利用・提供については、実施機関は条例に基づく規制を受ける立場にあるから、実施機関限りで決定するのは妥当ではなく、審議会の関与が必要である。ウはこれに反対の考えでございますけれども、審議会の制度運営の関与は次の点で問題がある。
    (ア)でございます。行政側の責任が不明確になる。(イ)審議会がどこまで責任をもち得るかについては疑問がある。(ウ)即断即決を要求される問題への関与は、実際上困難である。(エ)案件が多く、実際に機能するか疑問である。
    それから、大きなエといたしまして、個々の問題への対応は、実施機関が責任をもって公正に行うべきである。オとしまして、審議会は、一定の時間をかけ、一般ルールづくりのような政策形成機能を発揮する場合には有効であるが、個々のものについては適当ではないんじゃないかというお考えだと思いますが、このような論議がありまして、最終的には、東京都の条例には審議会の関与は設けられなかったというようなところでございます。
    説明は以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。いかがでしょうか。
  • 村上委員
    審議会の委員の選任というのはどういう形で行われているんでしょうか、例えば議会が関与して、議会の同意を得て選任するというような手続はあるんですか。
  • 堀部会長
    東京都の審議会の……。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    都の場合の審議会の委員の選定ですけれども、議会の関与はなく、都知事が選任をするという形で決めています。
  • 村上委員
    その人選というのは、そうすると誰がやっているんですか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    現在のやり方としては、審議会に関連する分野の方から、都側の方で人選いたしまして、あとはご本人にご承諾いただいて選任するやり方です。広く、これまでの7人の委員の方の選び方も含めて、学識経験者の方ですとか、都民の代表の方とか、事業者の方とか、そういった分野をこちらからある程度区分けをしまして選んでおります。
  • 村上委員
    私が思うのは、審議会が何らかの形で関与するというか、そういうような第三者機関的なもので関与するとすると、そもそも行政機関が自分のところで選任した人間に頼んで関与してくれなんて言っても誰も納得しない話で、そういう形で行政手続を複雑にすることが果たして意味があるのかなというのが率直な感想です。むしろ都民にとって、行政運営の実情をもっと公開することが一番重要なので、審議会が関与すれば、それが適正、公正に行われるということではないんじゃないかという気がしているんですね。
  • 堀部会長
    それは審議会一般のあり方にもかかわってくると思うのです。
  • 村上委員
    それともう一つの問題は、次回やる警察事務との関係もあるんですが、本人外からの収集制限とセンシティブ情報の問題についていいますと、この問題についてもやったときも述べたんですけれども、警察の方がむしろ本人外からの収集が原則的でありますし、センシティブ情報というのも、犯罪捜査の過程では当然集めている情報になるわけで、そうすると日常的にそういう情報収集をやっているのを、審議会が関与してやろうというのは現実問題として全く不可能なんですね。もし、これが審議会が関与するとすれば、それこそ毎日審議会を開いて朝から晩までやっていないといけないと。そういうような形で審議会が関与するというのは現実問題としてはあり得ないことだと思いますし、そういう形で審議会を関与させる必要もないんだろうと思うんですね。そういう内容については、当然、司法手続の中での監督を受けている話ですし、そういう観点から言うと、審議会関与は一般的に必要かということについては、特に警察事務の絡みで言うと必要はないというか、むしろ弊害の方があるのではないかというふうに思います。
  • 堀部会長
    ほかにご意見は……。
  • 加藤委員
    資料4を拝見しますと首都圏ではほとんど、埼玉がオンライン結合のところで審議会の関与がないわけですが……。
  • 堀部会長
    埼玉は全体にない。
  • 加藤委員
    そうなんですね。近くの神奈川とか千葉が、審議会関与をさせた意義というんですか、そこのところは、それから村上委員のおっしゃるように、機動性が悪くなるんじゃないかというか、そういう心配の排除ということはどんなふうに担保されているのか、そういうことをもし教えていただければ参考になるんですけど、いかがでしょう、堀部先生はお分かりでいらっしゃる?
  • 堀部会長
    先ほど資料6で事務局から説明していただいたようなことで、東京都でも個人情報保護懇談会の意見もこういう形でいろいろあったわけですね。先ほども言いましたように、そのうち東京都は都の行政として責任を負っていく、先ほど言ったようなことで審議会の関与は条例上定めなくて、資料6の最後にありますような、一般ルールづくりのような政策形成機能に果たす場合には有効であるということで、個人保護委員会はこれまでいくつか提言してきました。審議会の関与というのは、国を含めていろいろなタイプのものがあります。審議会が関与することによって客観性等がある程度担保できる場合があります。村上委員が言われるように、行政が任命するものなので、問題があるという意見もあります。裁判所の場合にも裁判官も内閣任命ですが憲法上独立の機関であるという違いがあります。審議会というのは付属機関です。しかし、そういう中でも何らかの形で第三者が関与することでよりよい運営ができるのではないか、こういう立場もあります。
    他の自治体で審議会が関与している例で、例えば神奈川県でいいますと、関与していることによって行政が停滞するということはないと見ています。経験上全くないと言っていいと思います。審議会が関与することによって、いろいろな情報が公になり、それがまた、今ですとインターネットのホームページなどで公開されますので、公開性という面での担保もできる、こういうことが経験上あると言えます。はい、どうぞ。
  • 藤谷委員
    資料6のアとイは審議会を関与させるべきだ。ウの(ア)から(エ)までと、それから括弧のないウ、エ、オが慎重論で、当時は慎重論の方だったという状況なんでしょうけれども、一つは、平成2年のときとは、背景が大きく変化している。それはまさに国が個人情報保護法制を整備しなきゃいけないという状況になったのが、住基ネットをきっかけとする電子政府の導入と同時に、それをきっかけとして、より社会的に個人情報を侵害するリスクが高まるから、それを担保する制度をきちんと設けなきゃいけない。これは国の保護法制を設けることになると、委員会における附帯決議の趣旨にもあらわれていることですから、当然、東京都の現在の審議なども、それをやはり趣旨を生かすべきだろう。導入すべきという理由として、それがア、イのほかにもう一つ大きく加わっている。
    それから、平成2年の段階での慎重論というか、反対論という、そのウ、エ、オの中で、今、村上委員がおっしゃった開示の方が意味があるということについては、今、会長がおっしゃったことの繰り返しですけれども、私たちが今やっている議論もホームページ上で必ずこれが公開されていて、そういった意味ではまさに公開の機能を十分果たしている。
    それから、ウの(ア)の行政側の責任が不明確になるというのは、たぶん、これは行政法上の誤解というか、諮問機関としての審議会が関与したからといって、行政側の責任が不明確になるということはあり得ないので、ウの(ア)はたぶん誤解だろうと。それから、(イ)の審議会がどこまで責任をもち得るかということについては、元々、審議会は行政上の責任は最初からないので、それに責任をもたせるかどうかということではなくて、審議会の諮問意見を執行機関がそれを入れるか入れないかは、最終的に執行機関の判断に任されているわけですから、これを理由として疑問があるというのはちょっとそれもまた、これは法的に不適切な意見だったと僕は思います。
    それから、(ウ)の即断即決が要求される問題への関与は、実際上困難であるということなんですけれども、ここについては、こういう解決法もあると思うんです。新しい類型が出てきたときに審議会を関与させる。ただし、その類型に当たるという場合には、もう審議会のチェックは要らない。最初にやるときには、どんな類型があるかということを全部洗い出して、その意味では審議会のチェックをかけるというのは結構作業かもしれませんけれども、一旦それができ上がった場合は同じ類型の場合は、この類型に当たるということが執行機関で判断すれば、それはいいということで、これは解決できるというふうに思います。
    それから、(エ)の案件が多くて、実際に機能するかどうか疑問であるというところについては、これは実際問題、今、会長もおっしゃったように、他のところでも、それが理由になって滞っているところはないわけですから、これは実際上当たらないだろう。
    それから、大きなエについては、これは実施機関が責任をもってやるべきだ、当たり前のことで、だからといって、審議会を関与させなきゃいけないという理由を否定することにはならないと。
    それから、オの審議会というのは、一般ルールづくりのような政策形成機能を発揮する場合には有効だけれども、そうじゃない場合には有効じゃないというようなご意見について、むしろ、例えばネットワークを結合させるかどうかという点については、それは政策にかかわる地方自治の観点、分権の観点からいったら、そういうふうな一般ルールづくりと非常に密接な関係がある事柄だから、それについては有効だと判断すべきじゃないかというふうに、そういった理由から、私は平成2年の見解を転換して、広く審議会の関与を認めるべきであるというふうに考えます。
  • 木村委員
    今のご意見とむしろ逆になるのかもしれないんでけれども、国の方向が大きく変わり、平成2年とは時代が違うと、それ自体はまさにそのとおりだと思うんですけれども、国が方針を変えたからといって、国が審議会関与を認めているかというと認めていないわけです。国自体はそういう仕組みをつくっていないんです。都道府県は随分審議会を関与させているみたいですけれども、国は審議会が一々チェックするというような仕組みにはなっていないかと思うんですけれども、そうすると、その意味では方向を変えたはずの国でさえ、そこまではやっていないというのがまず第1点かと思うんです。
    それと、これは審議会のあり方なんだと思うんですけれども、審議会というのは、藤谷委員がおっしゃったとおりで、大きな方向を定めるときには確かにすごく意味があると思うんですけれども、今議論しているのは、実施にかかわらせるかどうかということですよね。そうすると実施というのは、まさに毎日毎日、村上委員がおっしゃったとおりで朝から晩まで動いているもので、それに一々審議会がかかわるかというと、非常にリアリティがないことだというふうに思います。
    会長がおっしゃったように、実際に滞っていないというお話なんですが、逆に言うと、これは前回の資料で、例えば本人以外収集なんか、かなり細かいことでも本人以外収集というのはあるんですけれども、例えば、ああそうなのかと思ったんですけれども、教育実習の受け入れに当たっても本人以外収集をやっていると。そういうことをすべてこの都道府県でやっていらっしゃるんでしょうか。そういうことについてまで全部審議会が関与されているんでしょうか。ですから、そうすると非常に膨大な量のことを実際にやっているのであれば、審議会関与と言えるのかもしれませんけれども、関与すると言いながら、実際にやっていないということになると、違法状態が生じているということになりかねないというふうに思います。
    先ほどのお話ですと、藤谷委員は責任はもたせるべきじゃないというふうな、関与の問題だと責任の問題とは別だというふうにおっしゃいましたけれども、万一滞ったという場合に責任問題は必ず生じてくるというふうに思います。一番顕著な例が、村上委員がおっしゃった捜査機関などの問題なのかもしれませんけれども、捜査機関に関しては、警察も検察もそうなんでしょうけれども、そういうものを自治体に関係するものとすると警察なのかもしれませんけれども、そういうものはかなり厳しい縛りがいろいろな法律でかかっておりますし、最終的には、裁判で違法なことが行われれば、裁判自体が有罪立証できなくなるということで担保されているんだと思いますけれども、そういう網がかけられた上で実施しているということですね。委員がそういう網までかけられるということになりますと、ものすごい重大な責任を負わされるということになりますので、そこまで本当に責任を持てるかと。実はそこまで考えて関与というのは考えるべきじゃないかというふうに思います。
    すみません、少し長くなりまして。
  • 藤谷委員
    警察の問題は、もうちょっと捜査という特殊な事情があるものですから、僕は一般論のほかに特別な扱いをする理由があると思うんです。もう一つ、国が設けていないということについては、国は個人情報との接触の度合いというのは、市町村や都道府県に比べて非常に少ないんですよ。ですから、じゃ、都道府県や市町村はどうかというと、むしろ東京都や設けてない方が少数派なので、都道府県や市町村は審議会の関与を設けている方が絶対的多数なんです。そこでまず違うと思うんです。
    それから、滞るかどうかについては、審議会の関与する事例がそんなに頻繁に起こっているわけじゃないんです。それから起こるとしても、私がさっき提案したような、類型化のチェックというのをきかせれば、これは全く問題なくクリアできることです。ですから、審議会が関与することによって、むしろ行政が滞って、それによって違法状態にされていく、それは全くあり得ないことです。
  • 木村委員
    あり得ないような枠組みをつくっていただけるかどうかというのが問題だと思いますけれども。
  • 桜木委員
    審議会関与の問題については、ポイントは、審議会そのものが中立的な議論が担保されるかどうかという問題と、そこの対象が議論として、むしろ個別案件の方が中心になってくるとすると、迅速な対応ができるのかできないのか、こういう問題だろうと思うんですね。穏当に考えれば、審議会というのは、むしろ基本理念だとか、その前の原理原則の議論をするところが審議会ではないのかという感じは私は持っているわけです。その観点から考えた場合も、国の例の8条委員会、審議会なんかを見ていると、どちらかというと、行政をサポートするような少し結論にフレキシビリティがないような感じを持っているんですね。今までの一般的な実態から言いますと。そういうようなことは必要なのかという感じがいたします。ですから、むしろ個別の案件中心の審議会だったら、審議会の下にサブコミッティーでもつくって、本当に迅速に個別の案件が対応できるようにと、そこまでが可能であればいいのかなという気はします。
  • 加藤委員
    私は似たような意見なんですが、審議会の関与とは何なのかということが明確にならないと、イメージするものがそれぞれ違うと、非常に細かく毎日の作業にまで口出しするのが審議会の関与という話になってくると、またそれはそのようなシステムも必要かもしれないし、大きなルールづくりといったようなことであれば、そういった形での関与の方法もあると思うので、審議会の関与の具体的実態のイメージが共有できなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、共有というのは委員が、それから行政みんなが。
  • 堀部会長
    経験している人と、していない人とで大分イメージが違うように思いますね。
  • 加藤委員
    イメージが違うとしたら、そのイメージを統一して、こういうことであるのかということを確認した中で、じゃ、どこまで関与するのかしないのか。関与といったって、ただ、終わったことを報告してもらうのも関与なのかもしれませんし、それに対して、すぐに差し止めてくださいといって差し止めることまでを関与と言えるのかもしれないしということでございます。
  • 村上委員
    その観点で言うと、要するに審議会の関与というのは、個人情報の収集に当たっての例外規定に当たるかどうか、要件に該当するかというのを審議会の意見を、たぶん聴いているという仕組みづくりにしてあると思うんですね。そうするとその要件に該当するかどうかというのを、例えば学識経験がないと判断できないような難しい問題であれば、まさに審議会の意見を聴く必要があると思うんですが、逆に先ほど藤谷委員が言われたように、類型化してしまって、類型化ができたものについては審議会の意見は要らないということであれば、その類型を、あらかじめ解釈問題を審議会に諮って、それでやればいいので、一々運用の際に審議会が関与する必要まではないのではないかという気がするんですね。
  • 堀部会長
    一般の審議会の関与の仕方というのは大体そういうことだと思うのですね。
    そこは加藤委員の言うように、イメージがそれぞれ違うということはあるかと思いますが、要するに日常的な業務についてまですべて関与するというのは審議会ではないわけで、一般的な、ある意味では節目節目でというか、そういうときに関与するわけですね。
  • 藤谷委員
    千代田区の個人情報審議会での経験をちょっとお話ししますと、千代田区も元々電子計算処理だけの個人保護条例だったのを、電子計算機だけじゃなくて、すべての手作業も含めてやるというときには、最初は審議会は何回か集中的には開いたんですが、実施機関の方でつくった類型的なこういうものがありますということを幾つかの団体でも例があるものですから、執行機関の方でも、それを参考にして案として出されて、それには、こういう場合を例外的に取り扱いたい。その理由はこうであるというふうに表ができていまして、それを審議会で理由とそういう例外処理をすることはいいかということについては一通り審議をして、それ以外は、毎年はそれの類型化を外れるもの、新しいものが出てきた場合のみそれをやる、そういうのが本当に定例的なチェックの仕方ですね。
    それからもう一つは、大きく千代田区で問題になったのは、千代田区の場合は、今、電算機が庁舎の中にありません。全面的にアウトソーシングというのをしていまして、それが執行機関の方から提案されたときに、個人情報審議会では全面的なアウトソーシングというのは、それこそオンライン結合は非常に大きな問題じゃないかということで、これはかなり大激論しまして、審議会としては反対意見をしっかり書きました。ただし、ここはあれですから、審議会の意見を聴いた上でということの効力の問題なんですけれども、審議会としては絶対反対だということを書いたんですけれども、区長は、審議会の意見は意見としてアウトソーシングするということで完璧にアウトソーシングされました。
    ですから、私が先ほど執行機関の責任が不明確になるわけじゃないよといったのは、審議会の意見というのは、やはり、それはチェックをかける、いろんな意味で公開もされていますから、そういうものも含めてチェックをかける。より執行機関の意思決定を慎重にしてもらうという機能は十分果たすのだけれども、ただし、最終的には審議会がその意思決定したものについては責任をもつかといったら、そこは申し訳ないけれども、法的にはそういう仕組みになっている。だから、いい加減でいいというわけではなくて、そういうふうな位置付けで動く、ただし、それは、行政法上の対住民に対する機能は十分果たすものというふうに私は実際の経験の中から認識はしています。
  • 村上委員
    堀部先生の言われた神奈川の例というのは、個別の事案について審議会で審査しているという……。
  • 堀部会長
    個別のものも出てくることもありますが、それはその日程に合わせて行っていますね。
  • 村上委員
    今、議論の対象にしているのは、一般的に審議会はこの条例のあり方について審議するのではなくて、むしろ、例えば本人以外から収集する場合に、収集していいかどうかというのを審議会の意見を聴いた上でやるということですよね。今ここで問題にしているのは。
  • 堀部会長
    ええ、まあそうですね。それともう一つだけ付け加えておきますと、神奈川県でも警察本部、公安委員会をどうするかということを議論していて、先日既にヒアリングをしています。警察の方としては実施機関にはなる。ただし、こういう例外が必要であるということを明確にしていまして、今後の審議会の議論になりますけれども、恐らく今の犯罪捜査などに支障が及ぶようなことにはならないだろうと思います。警察は法律に基づいて権限を行使していますので、条例でどこまで関与できるのかという問題があります。法律と条例との関係もありますので、いろいろな議論があるかと思いますが、一応法律でやっていますから、たぶん条例の関与というのは非常に少ないであろうと思います。
    今日は、意見がまとまるというようには行きにくいように思いますので、資料6で平成2年当時のものがありまして、今日も両方の意見が出ているかと思うのですね。
    もう一つ、いろいろ思い出すままに言いますと、住民基本台帳ネットワークシステムとの関係で、住民基本台帳法に都道府県審議会を置くことを法律上義務付けました。そうすることによって、第三者が、住基ネットワークについて意見を述べる仕組みができました。東京都ではこの情報公開・個人情報審議会の中に住民基本台帳ネットワーク部会を設けて、そこで報告を受け、また意見を述べています。全国的に都道府県ではそれを行っています。
    それからまた、指定情報処理機関であります財団法人地方自治情報センターにも、本人確認情報保護委員会が設けられています。理事長の諮問を受けて意見を言うという形になっています。一般的には自治体の首長から諮問を受けて意見を述べるというのが審議会の機能ですので、日常的にすべて対応するということではないというように理解していただいた方がいいと思います。どうぞ御船委員。
  • 御船委員
    審議会をどういうふうに設定するかということと非常にかかわると思うんですけれども、やはり非常に重要で関心の高い分野ですので、議論がどういうところでされているのかというのを明らかにする、あるいは先ほど類型化というお話があったんですが、類型化にするにしても非常に個別の集積があって、これはどういうふうに判断するかなという判断が難しい問題が幾つか出てくる。そういうときに適宜出して、そしてみんなで議論する、あるいは、それを都民に公開するというのは非常に有意義ではあると思うんですね。ですから、やはり設定しておいて、そしてそれをどういうふうに機能させるかというので、一般ルールづくりのような政策形成だけではなくて、もう少し広い運用レベルと法律の間ぐらいを議論すると、いろんな意味で分かりやすくなるんじゃないかというふうに思うんですね。
  • 堀部会長
    何らかの関与が必要であるということですね。
  • 藤谷委員
    私、先ほどから千代田区の例で恐縮なんですけれども、今、住基ネットやLGWANということを考えますと、実は市町村レベルの個人保護条例では審査会を持っているところがほとんどで、それはこの「●」ともかかわるんですけれども、法令でネットワーク化するよといった場合でも、審議会は一応チェックするというところが多いんですね。千代田区もそうなんです。そうすると実は千代田区では審議会のチェックを経た上で、東京都のサーバーの方に千代田区の住民の本人確認情報を提供しています。ところが東京都のサーバーから先は、審議会がノーチェックで通ってしまうんですよね。そうしますと、でも、大もとでやっているからいいじゃないかとなりそうなんですが、ここで一つ問題がありまして、実は住基ネットの場合には、当初、国の事務に使うのは93事務だったんです。ところが、法律でもって264事務まで拡大されたんですね。ところが、住基ネットの東京都の一旦サーバの中に入ってしまったデータについて、これを提供するかどうかについては、要するに区側のチェックではなくて、都のチェックが本来必要なのに、実はここではノーチェックでして、市町村のレベルからすると、都には提供しなさいと言われて提供はしているんだけれども、チェックをかけるべきところがチェックがかかっていない。実施機関が判断しているんじゃないかということですが、そこはもう一回慎重にやってほしい。都に提供したら、より住民の権利保護が弱くなるという変な矛盾が出ています。私はこれはその意味からも、大多数の市区町村がそういうものを持っているのだから、東京都としてもチェックをする機能を設けないと、市区町村に対する責任を十分果たしていないということになります。私はその点からもぜひ設けていただきたいと思います。
  • 堀部会長
    ご意見をいろいろといただきまして、今日の段階でどうまとめていいのか議論を聞きながら考えているところですが、審議会については様々な意見があります。審議会一般論としてもいろいろありまして、単に行政の隠れみのに使われているのではないかという意見もあります。確かにそういう側面は否定できない場合もあるかもしれませんが、かなり重要な機能を果たしているものもあります。
    事務局と相談して整理してみますが、他の自治体の具体的な規定例もありますので、どういうのが他の自治体で実際に行われているのかもう少し整理してみて、ご意見を伺うとことにしたいと思います。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    今日のご意見と、それから、各自治体の例が皆さん方の発言からありましたので、そういったところはどういうふうに運営されているかも分かりやすいような資料をまとめてみたいと思います。
  • 堀部会長
    それでは第3の議題は、前回にも出ましたが、職員等に対する罰則の問題です。あまり時間がなくなってきましたが、事務局から説明をまずお願いしたいと思います。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、職員等に対する罰則でございます。資料の方では資料7、8、9が該当いたします。
    罰則につきましては、前回の審議のときに、私どもの方で認識しています宿題といたしましては、一つは、届出が個人情報取扱事務というような形で行われることになって、今のはそうなんですけれども、それが国の方の罰則は、個人情報ファイルという概念を使って罰則を設けていると。その絡みからいって、事務の届出と国の方がやっている個人情報ファイルのレベルの届出の関係をどのように考えたらいいかというようなことが、前回一つ宿題として残っていたかと思います。その点について、本日ご議論いただくわけですけれども、事務局の今の考え方といたしましては、事務の届出ということは事務ということで、前回、委員の皆様方からも、概ねそういう方向でいいんじゃないかというようなご意見をいただきましたので、届出については事務でやると、それから罰則の方で、国の法律ともし合わせる必要があるならば、個人情報ファイルという部分について、これに相当する概念を文言で、個人情報ファイルの中身を文言で書いて罰則の中に入れ込んで、国の法律と同じような範囲のものに罰則が適用になるというような形でやることは可能ではないかというふうに考えてございます。
    それから、前回もう一つ課題として残っておりましたけれども、法律の罰則の範囲をそのまま横に引いてくるのか、あるいは東京都独自で罰則の横だしとか、上乗せとか、そういうのが必要かどうかという点が残っていたかと思います。本日用意いたしました資料の資料7と8は前回提出させていただいたものと同じでございます。それで資料9は、今申し上げました横だしをしている例として、本日ご提出させていただきました宮城県は、国の法律を受けまして、最近、条例改正案をお出しになっています。宮城県におきましては、ここで網をかけているところが法律の規定ぶりと違っているところでございます。
    まず、65号なんですけれども、これは国が個人情報ファイルという概念を用いまして規定をしているところなんですが、宮城県におきまして、これを行政文書という概念を使っております。国の方の個人情報ファイルが罰則のところで使っておりますのは、電算処理された個人情報ファイル、電算処理で体系的に処理されているものだけの個人情報ファイルを使っているのに対して、宮城県の方は、電算ファイルとマニュアルでつくられている台帳のようなものをイメージしていただければいいと思うんですが、台帳のようなもの、両方を入れ込んで65条として国が個人情報ファイルのところで規定したのと同じ罰則をつくっております。
    それから、66条につきましては、これは宮城県独自のものかと思いますが、65条と違って、体系的に処理されていなくて、散在情報というんですか、それ1枚だけであったりとか、そういった個人情報について罰則を設けていると。
    それからあと、下の方にいきまして68条につきましては、媒体の中にスライドフィルムというようなものも入れているということでございます。
    それから、70条は、受託法人等に対する両罰則規定でございます。
    それから71条のところでは、5万円以下の過料ということで、これは法律が10万円なのに対して、条例では5万円までしか設けられないので5万というふうにしたかと思いますが、大きな点では、65条、66条、70条辺りが国の法律と大きく違っているところというふうに考えてございます。
    以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。前回議論したところですが、宮城県の例を、資料9で出していただいていますので、いろいろまたご意見を出していただきたいと思います。どうぞ。
  • 加藤委員
    罰則が適用されるなどというようなことが不幸にしてあることはなるべく避けたいので、もちろん罰則も厳しくしなくてはいけないと思うんですね。それで、まず罰則を厳しくするということでは、資料7を拝見すると、情報公開・個人情報保護審査会設置法の18条が1年以下の懲役又は50万以下になっているんですが、東京都の場合は、まだ30万円なので、これは高くしてもいいんじゃないか。最小限この50万円までもっていっていいのではないかというふうに思います。
    それからもう一つは、今日出ているNPO東京都地域婦人団体連盟の要望が普通の善良な都民の表現ぶりですから、法律的に不正確かもしれませんけれども、2のところで「不正な複製、譲渡、貸付などを明記するのは勿論、万一不正が行われた場合の措置についても条文に記載してほしい」と書いてあるんですね。恐らく、これはこの間の宇治の条例改正なんかの事例をイメージしていることではないかと思うんですけど、罰則に行く前の自治体の義務というのかしら、管理者の義務とかそういうこともどこかで、今書いてあるのですと3条になっているので、あまりにも簡単ではないかなと。実施機関の責務と都条例の3条だけではちょっと不十分のような気が私はしております。
    以上2点です。
  • 堀部会長
    先ほど言いました資料14は、総務省政策統括官から通知です。この中の5ページ、下から2行目の6に罰則があります。資料7で言えば、中ほどの欄のような形になっていて、それもありまして、今度行政機関である東京都の場合などについては、罰則の見直しが必要になってきているわけですけれども、前回の議論で幾つかあったかと思います。一つは、国の法律では、個人情報ファイルという概念を使い、東京都では事務という概念です。これで構成要件が明確かどうかというようなこともありました。その点、木村委員にご専門の立場からご意見を伺ったりもするというようなことを申し上げましたので、何かその点についてご意見があればと思います。宮城県のような、もう少しほかの行為についても罰則を設けるかというのがありますが、とりあえず、ファイルと事務の関係についてはいかがでしょうか。
  • 木村委員
    事務といいますと、恐らく国の方で言っているファイルよりは、かなりいろいろなものが入ってくる可能性があると思います。そうしますと、やはり何らの形で少し限定しておかないと、これは3条の限りで言えば、これは使用してはならないとなっているだけで、それに罰則がかかっていない状態ですよね。罰則をかけるということになりますと、やはりそれだけの当罰性があるものということになろうかと思います。もちろん漏らしてはいけないという意味では、地公法で秘密漏えいは処罰の対象になりますから、そういう一般的なもの以上に、より当罰性の高いものに限って、さらに処罰を重くするということなのかなと思うんです。だとすると何らかの形で、いわば国の方で言えば、ファイルに当たるようなものに限定する工夫が要るのかなというふうに思います。
  • 堀部会長
    その工夫というのは、何か具体的に……。
  • 木村委員
    要は、結局、検索が可能な状態であるとか、電算化されているということで、それが漏れることによって公務員が一般的に秘密を漏らすこと以上の莫大な被害が生じるということが問題になるのかと思います。ですから、そういうような形での縛りで、例えば、宮城でも何か書かれているんでしょうか。個人の秘密に属する事項が記録されたもので、特定の個人を検索することができるように体系的に構成されたものということになっているのかもしれませんし、あるいは国の方のファイルの定義で、ある程度限定されていたかと思うんですけれども、そのようなものを参考に何らかの形で検索可能で、それが漏れたときに、非常に被害が大きいというものの縛りをする必要があるのかなと思います。
  • 堀部会長
    具体的にどういうふうに文言を使うかはもう少し後でということで。
  • 木村委員
    はい。
  • 堀部会長
    分かりました。どうぞ。
  • 高橋会長代理
    宮城県条例は、国と違って電算機には限定しないわけですね。マニュアルでも検索が可能ならば重い処罰をするということですね。
  • 堀部会長
    ええ。
  • 木村委員
    そこまで広げるという趣旨ではもちろんなくて、言葉ぶりとして、文言の書き方として、例えばこういうような書き方でもっと限定しなければ、宮城自体は行政文書という形になっていますから広過ぎると思いますけれども、いずれにしろ、言葉として制限する必要があるだろうということです。
  • 堀部会長
    今日の資料の9でいくと、網かけの部分が国の法律に追加されているといっていいわけですね。国の法律の表現とは違うというのは、この前も指摘があったところです。そこは先ほども言ったように、国がファイルで、東京都、自治体が事務という言い方をしていますが、そこの関係をどういうように表現するかというのはあると思いますが、もう一つの点は、宮城県で実際に改正案が出ているそうですので、特に66条が議論になるかと思います。あと70条をどうするのか。
  • 藤谷委員
    確認なんですけれども、70条はどういうところがあれなんですかね。65条の受託業務に従事している者というのは、例えば、東京都がある個人の秘密に関する事項をデータベースとして処理されているものを外部のXという会社に委託したとしますよね。そうすると、その場合に65条で受託業務に従している者というのは、Xという会社で実際にコンピュータを処理する、例えばAという担当者だったら、担当者が処罰の対象になるけれども、Xという会社の代表取締役なんかは、いわゆる処罰の対象から漏れていると。そういう認識だから、それは従業員だけ罰して代表者が罰せられないというのはまずいだろうというので70条が設けられている、こういう趣旨なんですか。
  • 入谷情報公開課長
    委託を受けた法人の代表者若しくは管理人とか、そういう人たちが65条から67条までの違反行為をしたときは、それをやった人を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科するというので、その人とその法人を罰すると。だから、直接業務に従事している人だけでは不足だと。
  • 藤谷委員
    とすると、代表者については65条の2年以下の懲役又100万円以下の罰金が適用されることになるわけですね。法人も処罰すると。
  • 堀部会長
    代表者は70条、この規定ぶりからすると。65条は受託業務に従事している者、従事していた者。実際に東京都から委託を受けて個人情報処理に当たっている者をいっているのではないでしょうか。
  • 藤谷委員
    このものというのは、法人をということですか。
  • 堀部会長
    ちょっと分かりませんけれども、どうでしょうかね。この辺りの解釈というのは、恐らくそういうことで……。
  • 藤谷委員
    いわゆる行政機関法は両罰規定がないんですね。個人情報保護法の場合には、その侵害をした個人だけではなくて、会社自体も、事業者自体も法人として両罰規定があるのに……。
  • 堀部会長
    個人情報保護法の方は、命令が出て、それに対して従わない場合ですから、かなり限定された場合ですよね。
  • 加藤委員
    関連で。3条で、実施機関はこの条例の目的を達成するため必要な措置を講じなければならないというふうにしてあるんですけれども、これの「必要な措置」というふうに漠然と書いてあるんですが、具体的に不当な行為が行われて、複製とかオンラインでさっと流してしまう、流用してしまう、あるいは情報を貸してしまうというようなよくないことをしたときに、それを個人の職員がそういうことをした場合、3条の2項にそういうことをやってはいけないと書いてありますが、やったというときには、すぐにそれを差し止めたり、それから回収したりするという実施機関の機関の責任があると思うんですね。それは具体的にもう少し細かくきちんと実施機関の責務の中に入れていく必要があるのではないか。「必要な措置」ということで漠然とくくっておくだけでは頼りない気がするんですが。回収命令を出すだとか宇治市では規定があるようです。
  • 堀部会長
    規定をどこまで詳細に書くかということだろうと思います。
  • 加藤委員
    宇治市ではああいう不幸な事例があったために、改正条例ではそういうことを細かく書いたらしいんです。その辺を参考に、東京都の条例がそこまで踏み込むべきかどうかということも皆さんで考えていただきたいと思うんですね。
  • 堀部会長
    宇治市は確かにああいうことで非常に厳しい罰則を設けていますが、それにならって区の中にも非常に厳しい罰則を設けたりしているところがあります。それから、いろいろ具体的に規定しているのもありますので、その辺りどうするのか、そこまで細かくする必要があるのか、この辺りも、今度全体の罰則の整合性もあるし、国の行政機関の場合の職員に対する罰則と、都の職員の罰則というのがかなり違っていいのかどうか、同じような事務を行っているわけですね。また、職員にとっては、重罰を科せられるということになると、職員の士気なり、職員自身の権利利益にもかかわる問題でもありますので、その辺りはかなり議論をしてからでないと、なかなかこうだと言い切れないのではないかなと思いますが……。
  • 佐藤委員
    やっぱり実務者だけが罰則の危険にさらされる。まあ、危険にさらされた方がいいんですけれども、それを委託する方の責任というのは、今、加藤委員がおっしゃったみたいに、そこのところも押えておかないとという気はしますね。同じ罰則にするのかどうかはとにかくとして。
  • 堀部会長
    法的にどうするのかということもありますので、引き続き検討するということにしたいと思います。終了予定をオーバーいたしましたので、そろそろ本日の会議は終わらせていただきたいと思いますが、事務局の方から次回の日程、予定等についてご説明いただきたいと思います。
  • 入谷情報公開課長
    次回は2月4日の午後5時半からここの場所で開催の予定でございます。よろしくお願いいたします。
  • 堀部会長
    議題は?
  • 入谷情報公開課長
    次回は実施機関の範囲ということで警視庁のヒアリングと、それから今までの整理で積み残しなどを議論していただくことを考えております。
  • 堀部会長
    ということで、ご都合の悪い方もおられますが、できるだけ早い時期にまとめて都民等からのコメントもいただきたいと思いますので。
  • 藤谷委員
    積み残しとおっしゃったけれども、次回ということで。
  • 堀部会長
    どこまで次回までに整理できるか分かりませんけれども、木村委員にいろいろ意見を伺いながら整理してみたいと思います。
    ほかにご発言ありますでしょうか。
  • 藤谷委員
    今の機関法も個人情報保護法も、委託した委託先については、罪刑法定主義の観点からも含めてあると読めるんですけれども、実際の委託というのは、委託先だけでなくて再委託、さらに再々委託とかというのが結構多いんですよね。そうすると、今は実は構成要件を厳密に解するところからいくと、例えば委託先の企業Xには及ぶけれども、再委託先のYまでには及ばないという規定になっていると読めるんですね。だとすると、実はこれがむしろ今コンピュータ処理についても何にしても、再委託とか再々委託というのが行われているのに、じゃ、むしろ実際の再委託を認めない。それはそれで一ついいんですけれども、そういうのをつくってしまうと、再委託できっちりセキュリティをやっているところもはじかれてしまう。罰則の抑止力がきかないがために、そんなところに再委託しちゃだめだというのが働いてしまうという、逆にそういう問題も発生してきているんじゃないかと思うのです。委託の中で、再委託も含めて読んでよろしいのかどうか、この辺ご検討いただけるとうれしいなと思っているんですけれども。
  • 堀部会長
    ほかによろしいですか。
    それでは、本日は以上でございます。どうもありがとうございました。

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