ここから本文です。

平成29年(2017年)2月7日更新

情報公開・個人情報保護審議会 第24回議事録

第24回東京都情報公開・個人情報保護審議会

平成16年5月25日(火曜日)
都庁第一本庁舎42階 特別B会議室

  • 堀部会長
    おはようございます。ただいまから第24回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開催させていただきます。
    今日の議題は、お手元の審議事項にありますように、第1に「中間報告に寄せられた意見等について」、第2に「職員情報の取扱いについて」ということです。その他もありますが、まず事務局から報告をしていただきたいと思います。入谷課長、よろしくお願いします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、参考資料1をご覧ください。これは、先般、内閣府から「個人情報保護法に基づく地方公共団体の長等が処理する事務について」ということで送付されてまいりましたものでございます。現在、内閣府のホームページにも掲載されておりまして、本日、参考資料として配付をさせていただいてございます。
    これは、個人情報保護法の51条で、他の法令によって事業者の監督権限の一部又は全部が地方公共団体の長等に委ねられているときは、主務大臣の権限に属する事務を、地方公共団体の長等が行うというような規定がございますが、それに基づきまして、それに該当する法令はこういったものです、ということで、国が整理をして送ってきたものでございます。
    表紙に概ねの概要が出ておりまして、法令数にして163、対象事業者数で468、これは種類といいますか、468種類の事業者について、都知事等は個人情報の取扱いについて指導を行うことになるというふうな資料でございます。
    参考までに2ページをお開きいただきますと、このように具体的な法令が列挙してございまして、この法令が規定をしている対象事業者というものが個別具体的に書いてございます。かなりあるのですけれども、ここに列挙されているものについては、今後、東京都知事等がこれらの業者の個人情報取扱いについて指導を行っていくというような考え方でございます。現在、これを庁内に配付をいたしまして、どこの局がどの法令を所管しているかという調査をかけている最中でございます。私どもも、どの法律を何局のどこがやっているかというのがにわかには分かりませんで、現在、調査を進めている最中でございます。
    以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。ただいまご説明がありましたように、個人情報保護法第51条に基づいて地方公共団体の長等が処理する事務の数というのが、国で調査したところ、これほどあるということで、当初は東京都でも調べたのですが、当初の予想よりも非常に多いということです。これは、対象事業者数が468あって、5,000以下のものも相当あると思いますので、法律で個人情報取扱事業者というふうになるものについて地方公共団体の長等が処理するわけですが、そういう小規模事業者については東京都の条例で対応することにするわけですけれども、地方公共団体の役割が大きくなると同時に、負担も大きいということになるのではないかという印象を持ちました。何か質問等がありましたら。
  • 加藤委員
    これは事業者団体のことでしょうか。
  • 堀部会長
    違います。
  • 加藤委員
    これは、どういうふうに数字を読めばいいのですか。事業者数と書いてあるけれども。
  • 入谷情報公開課長
    事業者数というのは、例えば一つ目の警察庁のところが対象事業者数が19と書いてございますね。2ページをお開きいただきまして、警察庁の欄の対象事業者というところの古物商、古物市場主、古物競りあっせん業者とか、これを一個一個数えていただきますと19になるものですから、この法律が扱っている業者の種類といいますか、そういうようなイメージかと思います。
  • 加藤委員
    重なっている共管省庁もあるというお話だったのですが、例えば3ページの総務省では情報通信関係が全然入っていないですね。
  • 堀部会長
    情報通信関係は、地方公共団体の長が処理するものとはなっていないですね。
  • 加藤委員
    ならないのですか。
  • 堀部会長
    ええ。
  • 渡邊委員
    国で扱うんですね。
  • 加藤委員
    全部、国で扱うようになってしまうのですか。
  • 堀部会長
    ええ。
  • 加藤委員
    そういうふうな読み方なんですね。分かりました。
  • 堀部会長
    ちなみに、対象事業者数468としますと、東京都内にどのぐらいの数が実態としてあるものというふうに見られるのでしょうか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    委任に対応した数というのはなかなかつかめませんけれども、もともと東京都内の事業者数というのは、本店とか支店は一つの事業者というふうに数えますと、事業者数ということでは55万ぐらいですね。
    今年の3月に、各局に調査を依頼して、どういったものが現実に委任されて動いているかというのを調べたもののリストも出しましたけれども、このときも、事業者数を実際の具体的な数字を各局から出してもらったのです。それを単純に合計してしまうと40万近い数だったのですけれども、ただ、これはダブりとか色々ありますので、そういうものを差し引くと、やはり10万台のものが委任されている中での都内での事業者の数に当たるのかなと思っています。そういう意味では、大ざっぱですけれども、55万の事業者の中から十何万の事業者については、こういった委任に基づく東京都としての色々な働きかけが可能な数になるのではないかというふうに感じます。これはまだ大ざっぱですが。多分、今日の国からもらったものに基づいて全局に調査していますので、そこで、これに基づく事業者数が一応把握できますね。そうすると、もう少し具体的な数字が次回にはご説明できるかと思います。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
  • 藤谷委員
    その関係ですけれども、これは何十万件になるか分からないですが、その数だけのいわゆる事業者の種類ではなくて、事業者の数に対して、東京都知事等が改善勧告等をすることになるわけですね。
  • 堀部会長
    そういうことになります。
  • 藤谷委員
    実際問題、どういう形で・・・。
  • 堀部会長
    これは大変だと思いますよ。
  • 藤谷委員
    大変ですよね。というのは、個人情報保護法は直罰制をとっておりませんで、行政罰ですから、結局、東京都知事が行政上の改善命令か何かを出していけば刑罰に引っかかるけれども、そうでなけば、情報を漏洩しても刑罰にならないということが出てくる。そうすると、都知事の責務というのは大変なことになるのではないか。
    私もこの間から心配しているのですけれども、実際はこれをどんな形で来年の4月1日以降やられるのか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    そうですね。我々も、どういうふうにできるか今考えていますけれども、中間報告の中でも、1か所に総合的な窓口を設けて、今、各局で実際に委任を受けて動いていますから、そこに実際にはしっかり動いてもらわなければ、なかなか指導というのはできないと思うのです。そことの役割分担をしっかり都庁内で体制を作って、連携をとりながらやっていくようにしなければいけないと思うのですけれども、ただ、今、数からいいますと、5,000件かどうかというのももちろん相手との関係で分かりませんから、まずPRを含めてしっかりやっていった上で、何かが生じたときに、それを受けて調査をするということをやっていかなければ把握できないと思います。
  • 藤谷委員
    これは、捜査の端緒ではないけれども、内部告発とか何かがあってとか、これだけたくさんありますと、どういう形で・・・。当然、もし何らかの通報があったとしても、今言ったように、そもそも取扱事業者に当たるかどうかの調査から、実際に個人情報保護法15条以下の個人情報取扱事業者の義務を果しているのか、果していないのか調査しなければいけないですね。そうすると、これは膨大な作業かなと。
  • 堀部会長
    そのとおりですから、相当大変だろうと思いますね。
  • 藤谷委員
    そうですね。国がこの仕組みを作ったときに、そういうふうに地方自治体の長でもってうまく機能するかどうかについては議論なされたのですか。これは大丈夫かなと心配になってしまうのです。
  • 堀部会長
    当初から国全体で対応するということで議論をしてきていた面もありまして、地方公共団体の役割というのは1999年11月の中間報告でも出しています。そういう中で具体的に検討してみると、こういう結果になったということですので、先ほど言いましたように、役割が大きくなってきていると同時に、負担も大きくなるということだというように私は考えていますが。
  • 橋本委員
    直接は関連しないのですけれども、行政事件訴訟法の改正が、今、衆議院は通過しましたが、11条の被告適格のところが政府の案では変わるということになっていて、実は事務の帰属する行政庁ではなくて、処分した行政庁の所属する公共団体を被告にするというふうに大きくシステムが変わるわけです。そうすると、この制度でいくと、当然、何らかの措置をした部局が属する公共団体が被告になるので、これに関する措置は全部東京都が引き受けなければいけないということになって、なおかつ、義務づけ訴訟と差止め訴訟を法定してありますので、これは個人情報保護条例等を使って色々な請求が東京都に対してできるというシステムに大きく変わるということが予測されるわけで、そうなると、多分、今までの考え方の事務が下りてきているから、事務が所属する国の行政庁を相手に争うという形からかなり変わるわけで、これはシステムのあり方全体といいますか、個人情報保護制度の運用が相当変わってくるということです。恐らく裁判所の役割も大きくなるだろうし、藤谷委員がご心配のように、どういう形でこれを受けとめていくかという、そこの仕組みが随分重要になるのではないかということを考えました。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは、今ご説明いただきましたので、そういうことが内閣府国民生活局個人情報保護推進室の資料から色々分かってきたということです。東京都の場合、どうしても実際の事業者数が非常に多いものですから、それとの関係もありますので、次回、できれば個人情報保護法51条に基づくものでどのぐらいあるのかとか、あるいは、先ほど二ノ宮部長が言った55万の事業者といいますか、前はもっと多いように聞いたこともあるのですけれども。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    前に75万ほどの数字を申し上げたのは、本店と支店を別にカウントして、統計上、通常の事業者統計といったときには、その数を我々は把握していたものですから、前はそういう数字を資料でも出しましたけれども、もう一回、色々精査しましたら、いわゆる取扱事業者としては本店・支店も一つに数えなくてはいけないと思いましたので、そうしますと、55万と。その中でも個人事業者というのが非常に多くて、二十数万ぐらいあったと思います。
  • 堀部会長
    ちなみに、イギリスで1984年に法律を作って、これは自動処理の個人データが対象ですが、登録をしないで個人データの処理を行うことを法律違反とするということにして、その登録した数が、最終的なものは分かりませんけれども、イギリス全国で恐らく二、三十万社だったと思うのです。それが、55万として東京都だけでもその倍ぐらいということになります。そのうち個人情報保護法の対象となる個人情報取扱取扱事業者が十何万というようになりますと大変ですし、その他の法の対象とならない取扱者を含めると大変な数になるということだろうと思います。
    また何かありましたらご意見など出していただきたいと思いますが、それでは審議に入らせていただきます。
    第1の審議事項は、「中間報告に寄せられ意見等について」です。それでは、入谷課長から説明をお願いします。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、中間報告に寄せられた意見についてご説明をさせていただきます。
    まず、先生方のお手元に配付をさせていただきましたホームページのコピーになっている資料をご覧いただきたいと思います。「中間報告について都民意見を募集します」という表紙の付いているものでございます。
    この資料の3枚目をお開きいただきたいと思います。東京新聞の新聞記事でございます。これは、前回のこの審議会が終わりました後に、各社からかなり取材を受けました。
    その中で、東京新聞が翌日の朝刊の1面トップでこの審議会の中間報告(案)を報道したもののコピーでございます。その次のページにいきましても、その後、何社かがこの審議会の中間答申(案)を報道しております。NHKはテレビで放映をしています。
    それから、この資料の1番目にお戻りいただきまして、これは先週、4月20日に審議会で中間報告の案をいただきまして、その後、会長と打ち合わせをして、中間報告の最終案をまとめて、4月27日に中間報告の確定版と、それと同時に報道に発表したものでございます。そのときに、都民の意見募集というのも同時にお知らせしてございます。4月27日から約1か月ということで明日が締切ですが、現在、都民から意見を募集しているところでございます。それの昨日までの段階で寄せられました都民意見をこれからご説明をさせていただきたいと思います。
    本日お配りいたしました資料1をご覧ください。昨日までで個人からはお2人で、団体は一つでございました。それから、庁内からの意見もございました。それから、情報公開・個人情報保護審査会の方にもご報告をいたしましたが、そこからも若干意見をいただいてございますので、それをまとめたものでございます。今の段階で、必ず出したいので待っていてほしいというような団体からのご要望も幾つかございます。
    それでは、資料1の「中間報告に寄せられた意見等について」、読み上げさせていただきます。
    一つ目の目的規定からですけれども、「基本的人権としてのプライバシー保護が条例の目的である旨を明示すべきである。」、それから「開示・訂正・削除請求権の保障、いわゆる『自己情報コントロール権』の具体化を明文で記載すべきである。」というような意見が寄せられました。
    二つ目の実施機関の拡大についてです。「すべての機関(議会・警察を含む)を実施機関として、これに伴う例外は必要最小限にすべきである。」、「警察業務の特殊性から一定の例外規定が必要であることは確かであるが、その範囲は一括で指定するのではなく、個別具体的に検討し、警察業務において必要十分なものに限るべきである。」、それから「独立行政法人の保有する個人情報の保護はどうなるのか。」、これについては今、東京都では都立大が来年4月以降、地方独立行政法人になる可能性がございます。
    今の考えでは、現行の条例の実施機関に入れ込んで、行政不服審査法の適用なども受けさせて、今の保護と遜色がないような形にしたいというふうに考えてございますが、後ほど橋本委員からでも、その適法性などについてご意見を伺えればと思います。
    それから、3番の収集に関する制限でございます。「警察を対象にすることによる例外的規定は認められるとしても、司法警察分野の活動についての例外であることを明示すべきである。」、「『犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持に係る事務』について収集の制限、収集先の制限の対象外とすることに反対である。」、「『犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持に係る事務』を一括して対象外とすることは適当でない。個別の事務の性質に応じて検討すべきである。」、「現行条例は、収集に際してその目的を本人に示すことは明示されていないが、本人にとって、収集目的を知ることは重要であり、条例中で明確に規定するべきである。」
    4番目です。個人情報取扱事務の届出・公示・閲覧。「『取扱事務』を単位とした届出・公表、届出事項の追加、インターネットを活用した公表については賛成である。」、「警察を対象にすることによる例外条項は最小限にしなければならず、届出の対象外とすべきではない。」、「『犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持に係る事務』を一括して対象外とすることは適当ではない。届出については、事務を正確に把握することで収集の必要性や範囲を再確認する内部的なもので、例外としない余地があるように思われる。また、公表については、内容を概括的なものにすれば、公開の余地がある。」
    次のページでございます。5番目、適正管理。「安全性の確保は努力義務ではなく、義務として規定すべきだ。」、「職員の教育・訓練の充実は、賛成である。」、「個人情報流出の事例をみても、職員の教育だけでは対応できないのが現状であることを認識して、職員の個人認証に生体認証を用いる等のIT技術の導入を検討する必要がある。」、「安全性の確保の具体的な内容は、多義、かつ流動的であるので、条例で規定するより、規則、マニュアル、仕様書などによる組織的対応が必要である。」、「監視カメラ映像のような情報の取扱い(適正管理)が大切だ。」
    6番、委託に伴う措置、受託者の責務でございます。「個人情報取扱事務の委託について、都が負う安全確保の義務と同様の義務を受託者が負う旨に改めることは妥当である。」、「受託への立ち入り検査権限を設けるなどの措置が必要だ。」、「再委託について一定の条件を課す必要性がある。」
    7、利用・提供の制限、実施機関以外のものとのオンライン結合。「現行条例の考え方を維持することに賛成である。」、「オンライン結合を原則として禁止し、結合による提供のすべての場合に第三者機関の意見を聞くものとすべきだ。」、「オンライン結合についての調査規定、結合切断規定を設けるべきだ。」、「目的外利用及び外部提供の例外は厳格に規定し、利用目的の変更は認めるべきでない。」
    8番の個人情報の開示・訂正・利用停止です。「開示請求権、訂正請求権のほか、停止を求める権利を保障すべきだ。」、これは現在、利用停止請求権ということで条例の中に書き込んでいこうというような案になってございます。「実施機関が保有する個人情報に誤りがあることに気付くのは、様々な場合が考えられ、利用停止請求・訂正請求の対象となる情報を、開示決定を受けたものに限定する必要はない。」、この辺りも、この審査会ではご議論いただいたところでございました。それから「職員情報について、開示・訂正請求・利用停止請求権を認める必要があると思われる。」、この部分につきましては本日の二つ目の議題になってございますので、よろしくご審議いただければと思います。「法令等の規定により利用中止が認められない情報について、訂正請求権の範囲を拡張していく必要がある。」、「警察の公共の安全を守る機関であるという性質上、国民のプライバシーを侵害してしまうことが多く、開示請求について捜査等の情報の例外規定には反対である。」、「未成年者、成年被後見人自身による開示請求権の明確化をすることが必要だ。」、「利用停止請求・訂正請求という形式に限らず、実施機関における個人情報の取扱い状況一般について是正を求める請求もしくは申出ができる制度を設けるべきである。」
    9番目の非開示情報でございます。「個人情報の非開示事由は、情報公開の非公開事由の考え方とは質的に異なる。その範囲は、情報公開条例の非公開事由の範囲とは異なり、かつより限定的なものになるべきである。」、「『非開示情報が記録されているときを除き開示しなければならない』旨に改めること、都情報公開条例の非開示情報の規定との整合性を図ることは、賛成である。」、「犯罪の予防捜査等の情報を非開示とすることには反対である。」、「『開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報』という非開示情報を設けること自体には必要性があると思われる。ただし、例示の趣旨やどのように運用するのかが不明確である。」、「開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報については、専門的に個別に判断していく必要がある。」、「審議、検討、協議に関する情報の非開示については、賛成である。」、「審議、検討、協議情報については、具体的事例を踏まえた検討が必要だ。」
    10番目、審議会の関与でございます。「具体的事案について、例外として認めるかを判断する運営審議機関を設けるべきだ。」、「苦情について、第三者機関が一定の関与を行えるようにするべきである。」、「審議会への報告・意見聴取は、制度が適正に運用されているか否かをチェックする仕組みとして重要であり、例示されているものに加え、収集制限の適用除外、個人情報取扱事務の委託、目的外利用・外部提供、オンライン結合に関しても、審議会が関与すべきである。」、これは現在の案では「新規に個人情報の取扱事務を開始するときは、審議会はこれらすべてに関与する」という案になってございます。それから「審査会、審議会の第三者機関的要素の強化を図るべきだ。」
    11番でございます。民間事業者指導。「事業者に確認しなければ分からない5,000件のデータの有無で、法が適用されたり、条例が適用される制度は分かりにくい。」という指摘でございます。
    最後、12番です。苦情処理・あっせん。「個人情報の相談は範囲が広く対応も難しい。総合的窓口を設けて、各事業者指導部署、消費生活センター等とネットワーク化する必要がある。」、この審議会におきましても、ワンストップでいけるような総合的窓口が必要ではないかというようなご提言をいただいてございます。
    以上が寄せられた意見等でございます。よろしくご審議をお願いいたします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。ただいまご説明いただきました中間報告に寄せられた意見等につきまして、ここでも質問、ご意見など出していただいて、それを最終報告にどのように反映させるかということにもなりますので、今日の段階で意見をお出しいただきたいと思います。そのうち職員の情報につきましては、今日の審議事項の2にありますので、そこでご議論いただきたいと思います。
  • 加藤委員
    今日いただいたものを全体として概観すると、やはり警察関係の対象範囲についてご意見がかなり印象的に強いですね。この範囲を、今回の中間報告のままでいいのかどうかということについて議論するべきではないかという印象を持ちました。
    あと、1ページ目の収集に関して、収集目的のことが警察のことで四つ黒点があるのですが、一番最後のことは警察だけではなく、全体のことを言っているのでしょうね。
  • 入谷情報公開課長
    はい。
  • 加藤委員
    これはこういうふうになっているのですけれども、今の書かれ方では少し足りないのかということ。
    それから、次のページの適正管理の安全性の確保の一番上の黒点の、努力義務ではなく、義務としてと言われていること。それから、条例で理念がきちんとできて大まかな仕組みが分かっても、具体化されるためのマニュアルなどの対応が必要だということが条例にまで書かれる必要があるのかどうかといったようなこと。
    それから、委託に伴う措置のところでも、ここでも議論になっていましたけれども、再委託については一定条件を課すべきである、また、再々委託をするべきではないというような意見もあったわけなので、この辺のことをもう一度議論していただければというふうに読んでいて思いました。
    それと、これはこの程度でやむを得ないのかなと思いますが、一番最初の目的の今回の条例の書かれ方で、この条例の精神というのは、円滑な行政の運営と同時に、プライバシー保護、自己情報コントロール権が保障されるのだという並列された書き方ではなく、むしろ自己情報コントロール権が具体化される条例なんだという色合いを濃くする文章にされることを要求されているのではないかというふうに私は読みました。
    あとまだございますけれども、とりあえず全般の感じで2ページの7までのところで私が感じて、皆さんに議論していただきたいと思ったことは以上です。
  • 堀部会長
    この中間報告に照らしてどうなのか、寄せられた意見どおりにするかどうかということもあるわけですね。全体としてどのようにしていくのか、この審議会としての意見を出していきます。そのとおりになるかどうかはここで色々ご意見を出していただくということだろうと思うのです。
  • 加藤委員
    こういうことについてもう一度議論していただきたいということを先方は要求しているのではないかと私は思ったということと、私自身も、議論したほうがいいのではないかと思ったわけです。
  • 堀部会長
    次回に最終報告(案)を出すことになるので、今日のところは、加藤委員が出されたようなことで、こう思うとか、これはこうではないかとか、色々ご意見を出しておいていただければと思います。
  • 木村委員
    加藤委員がおっしゃることはよく分かるのですが、警察に関しては、この新聞報道を見ましても、警視庁が入ったということ自体がかなり重大なことで、その上さらに例外規定をやめろとか、例外規定をもっと小さくしろというのは、その先の議論だと思うのです。入ったということ自体で、警視庁情報についてはかなり制約がかかることになるわけで、そのことはここでも大分議論しましたので繰り返しませんけれども、やはり必要最低限のことについては対象外としているわけで、そこをさらに崩すというのはかなり難しいのかなというふうに思います。
    それで、もう一度確認しておきたいのですけれども、もちろん警察情報といっても、この対象外にはなるのですけれども、最終的に不当なことが行われた場合には、やはり司法制度の中で判断されるという情報でもあるので、捜査情報などはそういうものなので、そのことをもう一度確認していただければと思います。
  • 村上委員
    関連してですけれども、この寄せられた意見で、個別具体的に検討しなさいというのは一般論としてはよく分かるのですけれども、では、具体的に事務を個別に検討して、例外になるかならないかというのを果して判断できるかどうかというのは非常に微妙だと思うのです。むしろ、例えばセンシティブ情報を収集するかどうかというのは、まさに事件の性質によって違ってくるわけで、そういうことが必要な事件もあれば、全く必要ない事件もあると思うのです。そうすると、事務として括って規定せざるを得ないという条例の性質上、個別具体的に例外となるのか、ならないのかという判断はむしろできないのではないかという気がするのです。そうすると、やはり例外規定として外す以上は、個別具体的な検討というのはかなり難しいのではないかというのが、率直に感じたところです。
  • 堀部会長
    ここのところは前から大きく分けて二つのご意見がありますので、ここでどのようにするかということになります。中間報告でまとめているのは、それを踏まえているわけでして、余り個別具体的にこういう規定にすべきだというところまではここでは述べていないわけです。一般的な考え方を示しています。
  • 高橋会長代理
    警察のことですけれども、3の収集制限のところの最初で、司法警察分野の活動についての例外であるというふうに言われているのは、恐らく行政警察は別だということを言いたいのだろうと思うのです。犯罪の予防捜査と公共の安全と秩序の維持、これはどこまで含んでいるか、司法警察だけではなくて、行政警察も全部入ってしまうということになると、そういう心配も出てくるのかなと思ってこれを見ていたのですけれども、ここでの議論では、警察の方から色々話を聞いたのでは、行政警察的なものについては割合出してもいいような印象を持っていたのです。ただ、見てみると、確かに「犯罪の予防」とパッと出てくると、「犯罪の予防、捜査」というふうに続きますから、何となく司法警察的なことをイメージして読んでいたのですが、確かに「犯罪の予防」というのはちょっと広いのかもしれないという印象を持ちました。
  • 木村委員
    それに関しても、情報公開法であるとか、条例であるとか、同じ表現になっていたように思うのですけれども。ですから、予防といっても、特に広げたという趣旨ではないのではないでしょうか。特に広く含めようと思ってこういう文言にしているということではなかったように思うのですけれども。
  • 高橋会長代理
    私も、広げたということではなくて、「犯罪の予防」という言葉だけ見ると、かなり広いものに理解されたのかなということを言いたかったのです。
  • 堀部会長
    意見を寄せた人がそのように理解したという趣旨ではないかと思います。
  • 橋本委員
    これは法律の文言の話ですから、情報公開法ができた後、平成13年に民事訴
    訟法の改正をやりまして、220条の文書提出命令の規定を作るときに、これは民事訴訟で裁判所が出せといったときに、それは拒める要件を書き込んで制度を作るということを法改正をやったときにも、これは随分議論があったわけですけれども、色々ご存じの先生もいらっしゃるかもしれませんが、結局、情報公開法と同じ文言を使って、要するに民事訴訟の裁判官が文書提出義務を行政庁に課せないということで、これは広いのではないか、狭いのではないかというような議論はあったわけです。しかし、それは一応こういう文言で書いておいて、それはそんなに高橋先生がご心配するように、行政警察みたいなところに広く広がるものではないというような、一種の国の法概念として、これでいいだろうというような相場感みたいなものは、多分、民事訴訟法改正のときにできたのではないかというふうに私は思っています。
    一度、警察法との関係で、これは警察法上の概念になるとか、ならないとか、それは警察法上の概念にはないのではないかということを申し上げたことがあると思うのですが、だから、恐らく情報公開法ができて、その後、文書提出命令義務のところでもやはり同じ概念で、しかし、それはかなり狭いものだという形で使われるということなので、ほかにもっといいアイデアがあれば別ですが、差し当たりこれで運用上、そんなに困るということはないのではないかというふうに私個人としては思っています。
  • 能見委員
    私も、前に、「犯罪の予防」というのは、例えば新宿辺りで色々な犯罪が多いので、色々な聞き取りとか調査をするということで行われるようなことがあると、これは好ましくないのではないかということをちょっと申し上げたことがあるのですが、この報告書の性格とも関係しますけれども、今のような懸念があるときに、これは法律上の概念で当然、情報公開法とリンクしているのだし、余り明確に書く必要はないというような態度をとるのか。色々心配があるのであれば、「犯罪の予防」というものが、ここではまさに司法警察の活動としての「犯罪の予防」であって、色々行政的な分野は含まれないということを明記すればいいことであって、それで心配が取れるのだったら、それでいいのではないかというふうに思います。
  • 木村委員
    今の点ですけれども、もし新たに文言を入れるとすると、それなりにものすごい調査が必要ですし、もう一度やり直さなければならないような議論ですよね。一応、法概念として固まっているものであれば、それを使うというのが非常に常識的な考え方だと思います。実際に使われるときというのは、司法の場で使われるわけですから、そうすると、そこである程度確定されている意味があるのであれば、それを使うというのは非常に常識的だと思いますけれども。
  • 能見委員
    この報告書が一体誰に向けて書かれるものであるかということを申し上げているので、こういう意見が出て、普通の人たちが見て心配する部分があれば、それは明確にするのが都としての報告書の性格でしょうと。これは法律専門的な用語で、あなた方は知らなくても、こういうものは分かっているんです、決まっているんですと、そういう答え方をするのは本来、報告書としては好ましくないであろうということを申し上げたわけです。
  • 木村委員
    私が申し上げている趣旨も、説明をしなくていいということではもちろんないのですけれども、これは条例に書き込む内容ですよね。
  • 能見委員
    私は、条例に書き込むところを変えろと言っているわけではありません。報告書の中でこういう言葉を使っているけれども、それはどういう意味であるかということを書いたらどうですかと言っているわけです。
  • 木村委員
    その趣旨であれば理解はできます。ただ、書き方は非常に難しくなると思いますけれども、どういう文言を使うかというのは、ここでまたご議論いただく必要があるのかなというふうに思います。
  • 村上委員
    ただ、一般行政事務は含むものでないぐらいの説明は加えていいのではないですか。
  • 加藤委員
    専門家が、何も心配する話ではないよと言われても、多くの都民がそのことについて懸念して、こういう意見が出てきているからには、そこのところは能見委員がおっしゃったような書きぶりをお願いしたいと思います。
  • 堀部会長
    前にも警視庁からおいでいただいて説明をしていただいたのが第20回で2月4日ですが、そのときの資料がありまして、この言葉は警察法の2条の「警察の責務」からきています。そのときの実施機関の範囲について関係資料ということで、2ページのところに法律の規定が上がっていますが、その中の第2条がここに出ています。これは、中間報告の4ページのところの説明の二つ目の丸印が警察法第2条第1項を引いているわけでして、その意味では、法律に根拠のある概念だということにもなりますし、条例ではここを変えるわけにもいかないことになりますので、その法律の概念の中でどうするのかということだろうと思います。説明するのは必要だと思いますが、中間報告の4ページの説明で足りないのか、これでいいのかということになろうかと思います。
  • 村上委員
    確かに中間報告の中でも、一般行政事務とは違うんだということで、一般行政事務は対象になるけれども、それ以外の事務は入らないという説明だと思うのです。これだけ読むとちょっと分かりにくいということであれば、ここをもう少し書き足すという程度でよろしいのではないかと思うのですが。
  • 堀部会長
    では、もう一度検討してみて、どういうふうに説明できるか、次回までに少し詰めてみたいと思います。
  • 橋本委員
    確かに私は行政法学者としてこの文言はどうかと聞かれたから、そうお答えするという立場ですが、能見委員がおっしゃった名宛人の話で、実際に条例を作って使う人は、まさに都民が自分の個人情報について使うわけですから、メッセージとして、こういう場合はこうなんですよと。行政事務と言って分かるか分からないかという話もありますから、何かそこがもう少し、こういう場合は使えるんですよ、使えない場合として念頭に置いているのはこういう場合ですよと。条例の文言をどうするかというのはかなり技術的な問題になってしまうので、もう少し名宛人である都民一般が分かる、そういう説明の仕方、そういう工夫が必要だというのは私も同感いたします。
  • 村上委員
    警察事務だと、典型例で一番分かりやすいのは、例えば運転免許行政のようなものは開示の対象になるけれども、それ以外の犯罪捜査などの事務は対象外ですよという説明をしたほうが分かりやすいのかもしれませんね。
  • 堀部会長
    では、そこは少し検討してみることにします。
    ほかの点でいかがでしょうか。加藤委員は色々挙げられましたけれども、関連して、ほかの方もどうぞ。
  • 加藤委員
    目的のところは、ほかの委員の皆さんが今の中間報告でいいとおっしゃれば、そうかなと私も思うようにしたいとは思うのですが、随分以前から、中間報告が出る前から、この要望のような意見は消費者団体連絡会のほうからもきていますので、目的の書きぶりはこれでやむを得ないのかどうか、ちょっと考えていただきたいですね。
    具体的に申し上げますと、中間報告の3ページの四角囲みの条例の目的で、上から2行目の「個人の権利利益の保護を図るとともに都政の適正な運営を確保することである。」と、ここのところが並列して書かれることに対する都民側の不安感といいますか、それがあるのではないかという気がしているのです。都政の適正な運営も当然確保されなければいけないけれども、やはり個人の権利利益の保護が十分確保された上での都政の適正な運営がされる。そのために、情報主体者の開示・訂正請求権の確保を規定したのがこの条例なんだというところが明確に出たほうがいいのではないかと思います。
  • 高橋会長代理
    むしろここのところは、私の理解は、個人の権利利益の保護と都政の適正な運営というのは対立しているものではないというふうに解釈して、両方、別に対立というか、矛盾することはない。例えば個人情報を使う利益と、個人情報を守ることというふうに挙げる場合は、どちらが優先するかとか対立することがあるのではないかという議論はありますけれども、それとここで言っているのは少し違うのではないか。事業者の利益と並列しているということではないですから。都政において個人情報を守るというのは適正な運営の中心的なものですから、ここのところに関する限りは、そういう対立的なことがあり得るという心配はないのではないかというふうに理解します。
    意見の中で、書かれているようなプライバシーを入れろとか、個人情報コントロール権を入れろというのは、恐らくそういう言葉を入れておいてくれると解釈論をやるのに、その権利を今後発展させていくのに、より明確になっていいからと、そういう趣旨ではないかと理解しているのですけれども。明文で入っていれば、ちょうど今国会法で知る権利を入れろという議論をやったのと同じように、そういうテクニカルタームがきちんと法文の中に書かれているのと書かれていないのでは相当違うのではないかという意識があって言われているのではないかと理解しているのですが。
  • 藤谷委員
    つまらないところではあるのですけれども、国の行政機関法と、基本法と、都の現行条例と今回の中間報告の目的の書き方のところを見ると、今、高橋先生がおっしゃっているように、個人情報の保護と、いわゆる利用者と個人情報のオーナーとの調整を図るという意味では、相対としては間違っていないと思うのです。行政機関法の1条は「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ個人の権利利益を保護することを目的とする」と書いてありまして、それから基本法のほうもそういうことですね。ですから、その書き方、順番が、今の中間報告の3ページの条例の目的のところですと、「個人の権利利益の保護を図るとともに都政の適正な運営を確保することである。」というと、どうも都政の適切な運営を確保するのが最終目的のように読まれる可能性は少しあるのかなと。
  • 加藤委員
    そうなんです。
  • 藤谷委員
    だから、この条例が誰のためにあるかというと、都政の適正な運営は確保しつつ、個人の権利利益の保護を図るというふうに、最後の止めのところがそうなった方が、今の平成15年の法改正をそもそも動かした時代の背景には合っているかなという感じがします。
  • 村上委員
    それは私も賛成で、これはむしろ書き方が逆という気がするのです。最終目的は、やはり個人情報の保護が目的なんだというのを持ってきて明確にしておいたほうがいいのではないかという気がします。
    ですから、自己情報コントロール権とか、そういう抽象的な概念をここで持ち込むとまた分かりにくくなって、具体的な権利はこの条例上、明確に規定されているので、あえて目的という中に抽象的な概念を色々盛り込む必要はないのではないかというふうに私自身は思います。
  • 堀部会長
    自己情報コントロール権をどうするかというのは国でも議論になりまして、去年の野党案などでも、「自己情報コントロール権」という言葉は、そのものでは入れていませんで、それに類した言葉で表現はしていました。これをめぐって、内閣提出法案と野党案との一つの対立点として議論はありましたが、政府案が通りましたので、その概念は入っておりません。明文では入れていない。ただ、内容は、取得目的をはじめとして、情報主体というか、本人のコントロールが及ぶような考え方が示されているところでして、恐らくこの辺りは今後とも色々議論があるところだろうと思います。
    ほかの点ではいかがでしょうか。
  • 御船委員
    細かいことですけれども、「訂正」という言葉の中には削除というのは入るのですか。
  • 堀部会長
    国の法律では入れていますので、それに類した概念は入ると思います。
  • 入谷情報公開課長
    都の条例の運用でも、「訂正」の中に削除も含めて現在、運用してございます。
  • 御船委員
    そうすると、目的の2番目の削除・請求権の「削除」というのは、別に議論することではなくて、そのまま「訂正」でよろしいということですか。
  • 入谷情報公開課長
    現行条例の訂正請求の一部として、もう既に削除を認めてございます。
  • 堀部会長
    これは意見募集して、先ほどご説明がありましたようなことで意見が寄せられました。締切は明日ですが、締切に間に合わないのでもう少し延ばしてほしいという連絡もあったということですので、それなども含めて、事務局で今日の議論を整理していただいて、次回に最終報告の案を出したいと思います。今日の第2の審議事項になりますが、引き続き検討するとなっていました職員情報の取扱いについて、大変重要な問題でもありますので、そちらに移らせていただきたいと思います。
    職員情報につきましては、中間報告を見ていただきますと、まず2ページの6)で「職員の開示請求権については引き続き検討する」となっています。それから、16ページをご覧いただきたいのですが、16ページのところに「職員情報(人事管理情報)」ということで、「現行条例では、職員又は職員であった者に係る人事、給与、福利厚生等、都の内部管理のために利用される情報については、開示・訂正請求の対象から除外している。これらの個人情報についても、本条例の開示等請求権の対象とすることも考えられるが、都の職員の内部管理のための情報であり、都民とは異なった取扱いをすることも考えられる」ということで、これは2ページにあるような、引き続き検討するために、ここでは考え方を示しているということになります。
    そこで、この職員情報の開示等請求権につきまして、まず事務局からご説明をお願いしたいと思います。
  • 入谷情報公開課長
    それでは、職員情報の取扱いということですけれども、中心になりますのは、職員に自己情報開示の請求権、それに伴って訂正請求権、利用停止請求権等を認めていくかどうかというところでございます。極めて都庁内部の話のようなものではございますけれども、審議会の委員からは、本来こうあるべきであるといった視点からご意見をちょうだいできればと考えてございます。
    職員の請求権でございますけれども、国の方は、従来の法律では国家公務員に対しても認めてございませんでしたけれども、来年以降、施行になります行政機関等の保有する個人情報保護法では、国家公務員に対して自己情報への請求権を認めるようにしてございます。現在、ほかの道府県の様子も調べてみましたけれども、もともと入っているところと、もう既に対象とすることに決めた、それから対象にする方向であるというところも含めまして、現在、26県ぐらいが職員にも請求権を認める方向であるというようなことのようでございます。それ以外のところは現在検討中というところで、ございます。
    そういった周辺状況からいたしますと、東京都が職員については請求権を認めないとするには、かなりしっかりした考えなり、別立ての制度なりを用意しないと難しいであろうというような印象を、率直に申しまして、事務局は持ってございます。ただ、本日、資料2ということでご用意させていただきましたものでございますけれども、これは先般、4月6日のときに職員情報についてヒアリングをいたしました。そのときに、総務局と教育庁の人事部職員が参りましてご説明をさせていただいたのですけれども、その場で言い足りなかったところがあったということで、教育庁のほうから出された意見書でございます。
    教育庁につきましては、特に教員からの請求について、危惧を持っておりまして、それを踏まえて、審議会の委員からのご意見をちょうだいできればというふうに申しておりますので、本日提出されました意見書について、私の方で読み上げをさせていただきたいと思います。その後にご審議いただければと存じます。
    「個人情報保護条例の改正について」ということで意見書を出してまいりました。
    職員情報を開示・訂正請求の対象とした場合、教育庁としては以下の点が懸念されている。こうした実情を踏まえて、職員情報の開示・訂正請求について審議されるに当たっては、非開示事由、決定期限、その他決定手続等について、十分な検討をしていただきたい。
    以下は、教育庁という立場から、教員の人事管理情報に限定とした考えでございますということです。
    1としまして、東京都教育委員会が個人情報を保有する教員数は7万人近くにも上り、職員に対して個人情報の開示・訂正請求を認めた場合、都民からの請求よりも教員からの請求の方が多くなることも予想され、本制度の本来の趣旨を損なうおそれがある。
    2、現在、公文書開示請求においても、現職の教員と名乗った上で行われる請求がかなりの比率に上り、業務に支障が生じている。例えば、4月決定分においては総件数の半数以上が教員からの請求であり、請求する文書も教育庁全課にわたる大量なものである。こうしたことから、職員による個人情報開示請求が認められた場合には、教員からの請求が今以上に増え、業務に支障が生ずることが容易に推測できる。
    3、教育委員会が保有する教員の主要な人事管理情報としては、以下の三つに分類できる。
    (1)任用に関する情報
    (2)給与に関する情報
    (3)服務管理に関する情報
    任用、昇給、服務管理等の事務は、その結果について教員からの苦情、不服等も非常
    に多く、開示請求の対象としてはこれら三つの分野が大半になると予想される。しかし、そうした苦情や不服一つ一つにこたえながら事務処理を行うことは事実上困難であるため、任用等の結果に不服がある場合には、職員には人事委員会に異議申立を行う制度が保障されているのである。こうした制度が保障されている情報については、決定手続等において、その他の情報とは別の取扱いを検討していただきたい。
    4、区市町村立学校の教員は、県費負担職員として区市町村の職員であると同時に、東京都教育委員会に任命権があるという人事制度になっており、東京都教育委員会が保有する職員情報は、同時に区市町村教育委員会の事務とも非常に密接な関係にある。職員の個人情報開示請求が認められれば、区市町村に対しても、都に対しても個人情報の開示請求を求めることができることになるが、前述の理由から都に対して開示請求された情報を都教委だけで開示、非開示の判断をすることは難しい。関係機関と必要な調整を尽くした上で決定できるよう、手続方法や決定期限等、制度面での十分な検討をお願いしたい。
    そういうような意見書が提出されてございます。よろしくご審議をお願いいたします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。いかがでしょうか。
  • 村上委員
    これは、教育庁では何か別の制度を作るというお考えがあるということですか。
  • 入谷情報公開課長
    そういう考えは持っていないようでして、基本的には職員の請求権を認めない方向で考えていただきたいということと、仮に認めるとしたら、かなりのこういった困難を想定した制度的な手当てをしてもらいたいと、こういうような主張だというふうに聞いてございます。
  • 渡邊委員
    教育庁だけで、他のところはそういう意見はないのですか。
  • 入谷情報公開課長
    私どものほうで幾つか回って人事担当のところに聞いてまいりましたけれども、ほかは教育委員会ほどの懸念は示しておりませんで、全国的な情勢ですとか、国際的な動きから見て、特段、職員の開示請求権を外す理由というのは見当たらないというような見解を持っているようでございました。
  • 高橋会長代理
    これは、私の想像としては、恐らく昔の勤務評定闘争以来の問題が背景にあるだろうと思うのです。職員についての情報というのは、管理する人事課のほうでは、昇給、昇進等々の資料として使うものだろうと思うのです。
    それを、勤評闘争をやったころは、これは校長先生が評価して教育委員会に渡すという、秘密ということになっていたんですよね。それがずっと続いている、公開されない。それに対して、それを公開せよという要求として出てきているわけで、今は状況が全く変わっているかもしれないけれども、昔の状況が背景にあって続いているとすれば、相当な政治問題だという感じを受けるのですが、要するに要点は、先生だけではなくて、都の職員全員についての業績評価という、パフォーマンスの評価ですね。これをどういう形でやっていくかということと関連しているのだろうと思うのです。今までと違って、すべて個々人について管理者がどう評価しているかということを公開にして、本人に文句も言わせて、本人との話し合いのもとでそれを運用していくというシステムに切り替えていくのか。そうでない従来どおりのやり方が必要なんだということでやっていくのか。恐らく情報公開、個人情報についての考え方が変わってきていますから、従来どおりではもうできなくなっていくだろうと思うのです。しかし、根本的にはそこのところを都としてどうしていくかということがあるだろうと思うのです。だから、簡単にどうしなさいと、ここで議論して結論を出すというのは大変な問題だと思うのですけれども、そんな印象を持っています。
  • 能見委員
    これは高橋先生が言われたとおりですし、特に教育庁は、東京に関しては教員との間で色々な紛争を起こしていますから、そういう意味では非常にセンシティブだと思います。ただ、教育庁の要望書の中でも、大きく分けると三つぐらい理由が挙げられているでしょうか。一つは数が多過ぎて困ると。それが1、2に関係するでしょうか。
    それから3番目が、ほかにちゃんと異議申立の制度が法律上あるのだから、そちらでやってくれと。それから3番目が、何か手続的な配慮をしてくれればありがたいと、一応三つぐらいの理由がありますけれども、2番目の点は行政全体に関するので私は分かりませんけれども、数が多いというのはどうも余り理由にはならないだろう。それで、高橋先生が言われたような、本来、こういうものは管理上秘密にすべきだという積極的な理由もここには書いていないので、そういう意味では、ここに挙げられている理由だけからすると、職員の情報は例外だというのはなかなか難しいのかなと。せいぜい3の辺りで、手続的にほかと協議しないと開示できるかどうか判断できないというのであれば、その点ぐらいの考慮というのはあり得るかもしれないという感じがします。
  • 佐藤委員
    私も、全くそういうふうに思ったのですけれども、数が多いということを中心的な理由にするというのは通らないのではないかという気がいたしました。特に今、卒業期、入学期に都が行っているさまざまなことを考えますと、それが服務管理に関してどういうふうに使われているかということを先生としても知りたいのは当然ではないかという気がいたします。ただ、歴史的に、高橋先生がおっしゃったように、政治的な部分を含む部分がありますので、なかなか難しいと思いますけれども、ここに書かれている理由では納得しにくいという感じがいたしました。
  • 村上委員
    いずれにしろ、これは来年春の条例の施行に間に合わせないといけないということを考えると、果してこの審議会の場で結論が出せる問題なのか。非常に微妙な問題があるような気がするのです。基本的には、現行条例では条例の対象外としているので、これを含めるべきだというところまでこの審議会で意見が出せるのでしょうか。これは引き続き検討ということでもやむを得ないんですよね。
  • 堀部会長
    国でも、現行の昭和63年の行政機関電子計算処理個人情報保護法では大分議論になって、あのときは人事院等の意見もあって対象外にしましたが、今回はむしろ全体を含めていくべきだということで、職員等、公務員等、民間の他の情報主体とを区別しなくしたのです。そこに非常に大きな政策の転換があったわけです。そういう動きになっているということも踏まえなければならないだろうと思うのです。個別のところでどういうふうにするかという条文の内容まで検討するわけではありませんので、大きな方針を何らかの形で出せればよろしいのではないかと思います。
    この問題は、今言ったように、国の方で大きな政策の変更がありましたのと、さらに国際的には、ILO(国際労働機関)で、労働者の個人情報の問題について、コード・オブ・プラクティスというものが1996年に示されまして、各国がそれに対応していく。日本でも、旧労働省で検討しまして、これは法律にまだなっていませんが、労働者の個人情報保護に関する行動指針ということで2000年(平成12)にまとめられています。そういう大きな流れの中で、都としてはどうするのかということで意見を出すということになるのではないかと思います。
  • 能見委員
    今、会長が言われた点と全く同じ感想ですけれども、国は、これは全国全部に適用されますので、そういう意味では権利なども最低限のところを決めるのでしょうけれども、地方自治体のレベルになると、それ以上に必要であれば上乗せするというのが恐らく一般的な考え方で、国で決めた基準よりも低いというのはなかなか説明が難しいだろうと思うのです。それは、何か非常に特殊な理由があるということがあれば、また、それが合理的な理由であれば恐らく認められるのかもしれませんけれども、そういうのがない場合には、恐らく今の国のレベルで認めるのとほぼ同じ基準をとるべきではないかと思います。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    事務局としても、結論を保留というよりは、今言った国の大きな流れとか、ほかの自治体の流れもありますし、今日の教育庁から出された資料2での意見を踏まえて、何人かの委員の方からも、この理由ではなかなか納得できないというようなこともありますので、我々事務局としては、先ほど課長が説明しましたように、どうしても職員については認められないという説得力のある、意味のある理由があれば、それと、我々はこれから対外的に、色々なところになぜできないかという説明をしなくてはいけないんですね。そのときになぜそうなったんだという説得ある説明ができないといけませんが、我々としては、しっかり結論を、方向性を出していただいたほうが非常にありがたいというふうに思っています。
  • 藤谷委員
    現行条例でこれを例外扱いをしてきた実質的な理由というのは何なのでしょうか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    個人情報保護懇談会の中で、職員の情報というのは、本人が書類を出すなどしたもので、ほとんど知っていることが多いのではないかということと、もう一つは、地方公務員法上の処分があったときに、措置要求を人事委員会にできるとか、ある程度そういう制度ができているということがあって、あくまで職員については請求させなくてもいいのではないかと、そういう方向性だったものを受けているかと思います。
  • 堀部会長
    ご説明の個人情報保護懇談会で検討したときは、先ほど言いましたように、昭和63年(1988年)の国の法律ができた後なのです。そこで職員情報については適用除外にしているということも、これを含めるべきでないという意見の方にはかなり強く反映していたという状況があります。
    正確には記憶していませんが、その後できた都道府県の条例で、先ほど入谷課長からもありましたように、適用除外にしているのがどのぐらいでしたか。
  • 入谷情報公開課長
    都道府県レベルで、もともと入っていますというのが14県です。ですから、47から引いた残り30ちょっとは今の段階では入っていないようでございます。
  • 堀部会長
    対象にしているのは少数です。適用除外のところでも、先ほどのお話で、むしろ今度の改正で含めていこうとか、対象にしていこうということだというふうに理解しましたが、そういうことでよろしいのですか。
  • 入谷情報公開課長
    私の方で独自に電話などでも聞いてみたのですけれども、大きな人口を抱えるような県はどうも入れる方向であるようでございました。そういう意味で、教員数なども多いような県では、やはり問題にはなったようでございましたけれども、大きな方向としては、外す理由は積極的には見つからないというようなことを言っていらっしゃいます。
  • 堀部会長
    そういう状況だそうです。
  • 村上委員
    これを対象にした場合、現在の非開示事由として、個人の評価等に関する個人情報は非開示となっているのですけれども、勤務評定の内容というのは非開示事由になるのですか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    国の場合も職員が請求できるようになりますけれども、非開示条項の中に、人事管理に支障のあるものについては開示しないというものが用意されています。
  • 堀部会長
    いかがでしょうか。
  • 加藤委員
    私は、中間報告の職員情報(人事管理情報)の書かれ方ですが、逆に、もう少し前向きに書いてもいいのではないかぐらいに思っていました。それで、先ほどILOのコード・オブ・プラクティスを踏まえてという解説を入れて、むしろもう少し前向きに書かれた方がいいのではないかと思うのです。この間、人事ご担当者から話を聞いたときに、円満に話し合いを続けているというようなことでした。そうすると、今回、教育庁からこのようなことが出てきているのであったら、平等に扱うには、やはり管理される側の職員組合といいますか、そういうところの意見なども聞いた上で、この審議会がもし結論を出さなければいけないなら出す方法もあるのではないか、そんなことを感じます。今、21世紀の趨勢を踏まえて、人権上の立場からこの条例の趣旨に沿って前向きな書き方をしたほうがいいのではないかと思います。
  • 堀部会長
    今の大きな流れを入れていくというのも、これは現行条例を大きく変えることになりますので、そうした説明は必要かと思います。
    先ほどのILOのコード・オブ・プラクティスはコード(行動準則)なので、それ自体が各国を拘束するものではないのですけれども、そういうものがILOで出たということで、先ほど言いましたように、労働省ではこれを国内できちんと受けとめて対応しようということで検討しました。その研究会にも関わりまして、ここでは使用者側と労働者側の委員が途中から入ってまいりまして、随分意見の対立はありました。最終的には、行動指針ですので法律ではありませんが、やはり自己情報については、これは一般の民間会社が主として対象になるわけですけれども、開示の求めができるようにするという流れになっています。
    コード・オブ・プラクティスでは、労働者のアクセス権という言葉を使うのですが、その部分については権利性を認めているということもあります。恐らく今後、民間企業でも、内部管理情報といいますか、つまり従業員の個人情報をどう扱うのかというのは色々議論になっていくところだろうと思いますが、個人情報保護法自体が一般の情報主体と内部の職員の情報主体とを区別しない形になっていまして、そこも個人情報保護法の大きな特色になっています。そういう流れからしますと、恐らく方向としては、今出た意見のうちのかなりの部分はやはり対象としていくべきではないか、こういうことになるかとは思いますが、いかがでしょうか。
    具体的に、この資料2にありますものは、確かに現場としては大変だろうと思うのですけれども、これは情報公開条例を制定するときにも、請求が多くなれば事務は滞るということで大分議論をしまして、今、情報公開全体で東京都では2,000件前後という状況で、それを多いとみるか、少ないとみるかということがあります。国においては、平成15年度は分かりませんけれども、平成13年度(2001年)の4月から施行して、全省庁で4万8,000件ぐらい、平成14年度が1万件ぐらい増えて5万8,000件ぐらいです。これも、多いところと少ないところとあって、関係省庁によっては大変だというところもあるし、当初予想したほどでもなかったというところもあります。どうなるかは予測しがたいところであります。数だけで云々すると、先ほども意見がありましたが、どうもその点では当たらないのではないか。
    それから、2ページの最後の4のところにありますのは、これは国の法律でもそうですが、ほかのところの意見を聞くようなシステムを何か考えれば、具体的にどうなっているのか分かりませんが、東京都の教育庁が保有している個人情報と、市区町村の教育委員会が保有している個人情報と全く同じものなのかどうなのか。あるいは違いがあって、照会する必要があるということであれば、そういう手続を定めるということも考えられるかもしれません。
  • 高橋会長代理
    ここで事務局のほうからのご提案というか、何をしてほしいかということですけれども、これで明確に方針を出してほしいという趣旨に理解していいのですか。
    現在は、まだ検討を続けていくとなっているけれども、どちらの方向でいくかということをはっきり書いてほしいという趣旨ですか。
  • 堀部会長
    そのようですね。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    はい。
  • 渡邊委員
    これと、先ほど言った他の教員以外のところも含めて、例えば前回説明があった人事評価の開示にしても、第1次評定のところは今開示している。それ以外のところはまだ非開示になっている。今度、請求権ができて、本人が開示を求めるといった場合には、そこも全部というふうに捉えていっていいものかどうなのか。もしそれをやるならば、皆さんの言っている意見と同じように、やはり多く出ているというのは理由にならない。では、それに対してどういうふうに少なくしていくかというのが問題だろうというふうに思っているわけです。そういった意味では、労使でもう少し内部でも掘り下げて、そういう議論というのは今されているのか。もしくは、今後されることがあるのかを含めて、少し求めたいと思います。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    そういう人事評価についての、これは毎年定期的に上司が評価していく制度の説明がありましたけれども、東京都全体の流れとしては、いわゆる組合と当局で人事制度について色々な見直しを含めてやっていまして、その中には、自分がどういう評価を受けているのかというようなことを説明してもらえるようなことは、長年ずっと議論されてきまして、昨年も両方からメンバーを出し合った検討会というのが行われていましたけれども、一度終わりまして、また今年度に入ってから検討会をもう一回作って、引き続き職員に対する評価についても今後どうしていくかというようなことは議論されることにはなっております。
    ただ、職員の個人情報はそれだけではないわけです。すべての職員の情報をどこまでという話になってきますから、大きな流れとしては、それぞれ個人の評価については、さっきの第1次評価については説明できるようにはなってきて、今後とも大きな流れとしては、できるだけご本人がどういう評価をされたかということが分かるような方向にはいくと思います。国の方でもやはり公務員制度についても色々議論されていますから、大きな流れはできるだけ説明できるような方向にはこれからもなっていくのではないかと思います。
  • 橋本委員
    私の立場で資料2で違和感があるのは、むしろ3なんです。人事委員会に異議申立てを行う制度が保障されているから、個人情報保護で別に扱えという理屈ですけれども、人事委員会のシステムというのは余り機能していないので、むしろそれに問題があるということで、例えば法制度を変えたり、色々議論がされているわけですから、これが保障されているから新しいシステムがなくていいというような理論の立て方というのは、これは少なくとも現状ではかなり違和感があるのではないですか。
    だから、人事委員会の異議申立制度で違う形でもっとできるようにするというのであれば、それはそれで一つの話だと思いますけれども、これが現在保障されているから、個人情報保護制度では乗せないという形の理論には説得力はないのではないかと思います。
    だから、2と4も、これだけの理由ではなかなかこの制度に乗ってこないということでもあるし、それに、この間から労働審判などの今回の法改正もそうですが、結局、それは紛争があるとして、その紛争をどう解決するといいますか、それが全体の公益なんだという考え方で仕組みを整備しましょうという話なので、ずっと長い間、色々紛争があるから制度が変えられないという議論は非常に後ろ向きで、この個人情報保護制度がいいかどうかという話はあると思うのですけれども・・・。ですから、3の理屈というのはちょっと問題があるような感じがいたしますね。
  • 堀部会長
    やはり個人情報保護の考え方と任用等の結果に不服がある場合、人事委員会に異議申立てをするのと違うわけですよね。そこを何か混同しているというふうにも私は思いましたので、特にそこに触れる必要はないと思って言わなかったのですが、これも実は現行の国の行政機関法のときに、開示請求権までは認めていて、訂正請求権は認めなかったのです。そのときは、訂正請求権を認めると、他の手続で本来訂正すべきものを、行政機関個人情報保護法に基づいて訂正を求めてくる。そうすると、他の手続との関係で問題を生ずるのではないかというようなこともあって、訂正の申出にとどめた経緯があります。
    今回の来年4月1日施行の行政機関法では、訂正請求に踏み切りまして、この個人情報保護法の体系の中で誤りがあれば、それはきちんと訂正するようにするということなので、実際の任用等の結果についての不服とはまた違うわけですね。
  • 橋本委員
    そういうのも肯定できるという議論は、克服されたというふうに私たちも理解しているから、そういう意味では、まさにちょっと理由にならないだろうと思っているのです。
  • 堀部会長
    それと、先ほどの2ページに出ている、国の法律ではと言いましたが、ほかの意見を聞くというよりも、事案の移送というのもあるので、ここをどういうように扱うかは、ここでどうすべきだというのはなかなかできないと思うのですけれども、先ほど言いましたように、具体的にどういうふうに市区町村教育委員会との関係が出てくるのか。そこははっきりしませんので、ここは事務局の方でもさらにご検討していただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    ここの4番は、現在でも発生しているのですけれども、情報公開でも請求があることがときどきあるのです。例えば、教員の事故報告のようなものがありますが、そうしますと、小・中の教員でいうと区市町村ですので、区市町村教育委員会から都教委に書類が上がってくるわけです。そうすると、同じ書類を持ち合っているのですけれども、相互に連絡し合うなり何なりして非開示部分を決定しているというような例があります。
  • 高橋会長代理
    最初、私がこの問題を聞いたときは、直観的にかなり政治的な問題が背後にあるから、この審議会で結論をどちらかと出すよりは、引き続き審議すべきだということで政治の場に投げた方がいいかなと思ったのですが、皆さんのご意見を色々聞いていて、それと、ここでどちらかはっきりさせてほしいということのようですから、そうすると、教育庁で出されたこれは私も全く説得力がないという感じを持つものですから、この審議会として、職員についても対象に含めるという方向で考えるべきだということを出してもいいかなというふうに思いました。
  • 堀部会長
    では、そういう方向でここでは最終報告をまとめるということでよろしいでしょうか。
    特にご意見がないようですので、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
    今日予定しました審議事項は以上ですが、その他何かありますか。
  • 藤谷委員
    今日は時間がないので、意見等を見ながら、次回までに事務局に検討していただきたい事項が幾つかあるので、ちょっと述べさせていただいてよろしいでしょうか。
  • 堀部会長
    どうぞ。
  • 藤谷委員
    まず1点は、先ほど論議になりました実施機関の拡大で、公安委員会と警視庁のところも問題ですけれども、これだけ幅広い例外規定を設けた場合に、実施機関として、都公安委員会や警視庁を実施機関に加えたことの意義とか意味というのはどの辺に生まれてくるのか。今まで加えていなかったときと比べて、この条例の趣旨、行政の適正な執行と個人情報の保護を図るという意味で、どんな意義が生まれてくるのかというのはもう一回整理をしておいたほうがいいかなと思います。
    というのは、例外規定として、警察法の警察の機能というところと、例外規定として書かれてある事柄をずっとやっていくと、少なくとも個人の生命・身体及び財産の保護というところと、交通の取締りという辺りは例外規定から除かれるけれども、それが適用になって、それ以外は例外規定の範囲になってしまうのかという辺りもどうもはっきりしないのかなということで、まず意義を整理していただきたいというのがお願いです。
    それからもう1点、これは以前、警視庁の方が来ていただいて説明を受けたときから私はずっと引っかかっていて、最後のところでもう一回はっきりしたいと思ったのですけれども、この中間報告の4ページの下から5行目辺りにも書いてあるのですけれども、まずは予防その他で大きな枠として例外を作ってほしいということと同時に、「また」以降で、犯罪の広域化、組織化等との関係で全国的な斉一性を確保される必要性があると書いてあるのですけれども、この理由から出てくる例外的な取扱いというのはどうあらわれるのかというのが、私の理解ではよく分からないのです。例えば神奈川県と千葉県と東京都にまたがるような何か広域の犯罪が発生したときに、もともと犯罪の捜査とか予防ということであれば、それで枠が外れるわけですから、そうすると、斉一性というのは、東京都では例外にはしないけれども、千葉県で例外としていた場合にどうするのかとか、そういうことなのかどうか。ここの意味するところがはっきりしないので、もう一度ご確認いただけないでしょうか。それが1点目です。
    それから、2点目が、審議会の関与のところですけれども、これはたしか議論の中では、いわゆる外部のシステムとの結合との関係で、結合するかどうかというところについても審議会を関与させた方がいいのではないかと、たしかそういう方向になっていたかと思うのですけれども、今、審議会の関与の25ページ辺りを見ますと、そこが何となく書かれていないので。どこかに書かれておりましたでしょうか。
  • 入谷情報公開課長
    新たに個人情報取扱事務を始めるときが、届出事項に係るものについては全部審議会が関与できますので、その中にオンライン結合の有無というのが入ってきていたので、そこで網羅できるというような形になっていたかと思います。
  • 藤谷委員
    オンライン結合そのものについては、事務に含まれるかどうかという局面とは別に取り上げてもいいかと思うので、そこはご考慮いただけたらと思います。
    それからもう1点、報告書の19ページの非開示事由のところで、これは公募の意見の中でもむしろ積極的に評価をされているのですが、19ページの新たに規定すべき非開示情報の中の(3)で「開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報」についてはと言って、例えばということで遺伝子疾患等についての情報と書いてあって、本人が精神的に大きな打撃を受けて、病状の悪化を招くなどの場合が想定されると書いてあるのですけれども、これは一見、何となく理解はできるのですが、そもそも自己情報コントロール権という考え方からすると、行政サイドは、こういうふうにあくまで本人が開示してほしいと言っているのに、後見的というか、むしろ慮ってあげて出さないと言う必要があるのかどうか。かえって自己情報コントロール権と矛盾するのかなと。もしこれを入れるのであれば、そういう何らかの納得できる説明があった方がいいのかなとちょっと感じたので、そこをご検討いただきたいと思います。
    それから最後ですが、罰則の関係のところで、受託事務従事者に対しても、行政機関法に準じた罰則を設けることが適当であると。これは私も重要なことだと思うのですけれども、以前、この議論のときにもちょっと話を出させていただいたのですが、実際の情報漏洩が発生するのは、直接の受託者からももちろん漏れていることもあるのですが、いわゆる再受託、再々受託、実際は4次、5次、6次と5段階、6段階もずっと再委託が重ねられて、実際の事例の分析をしますと、そういうところから漏れるというところが多いのです。そうすると、ここでの罰則が直接の受託者だけにしか及ばないということになると、大きな網から漏れてしまうというか、そういうところが出てくるので、むしろ再受託者とか再々受託者、それが例えばどこまで書けば刑罰の構成要件として網羅するのかという問題点があるというふうに従来から私も認識しているのですが、その辺についての対応を何らかの形で設けた方がいいのかなと。
    なぜかといいますと、一つは、実際の情報漏洩に網が半分以上かからないということと、もう一つは、この網をかぶせる直接の受託者だけということになってしまいますと、むしろ再受託や再々受託を原則として認めないという形の方へ傾いてしまうのではないか。そうすると、我が国の産業構造の実態というのは、かなり系列化というものに寄りかかっていますから、もし再受託や再々受託業者がきちんとしたセキュリティ対策、個人情報対策をとっているのであれば、むしろ刑罰の網もかぶせて同じ土俵に乗せてあげないと、受託者だけが刑罰の網をかぶるから、しっかりとした都からの受託資格を有するけれども、再々受託以降はそういう資格はないという差別的取扱いにつながらないかというおそれがあるので、その点をちょっとご考慮いただけたらと思うのですが。
  • 入谷情報公開課長
    現在、個人情報取扱事務で委託をしているものは、例えば税の入力ですとか、病院の医事事務などを委託をしておりますけれども、都税事務所へ直接来て入力してもらったり、そこの病院で働いてもらったり・・・。派遣で従業員を募って働かせているというようなパターンは結構あるかと思うのですけれども、再委託、再々委託というのはかなり限られた場合でしょうから、むしろ再委託、再々委託は原則禁止するというような意味のご答申をいただくのもいいかなと思います。罰則の対象者を広げるというのは結構難しいものがあるのかなという気もいたしますが。
  • 藤谷委員
    分かりました。むしろそれは再委託、再々委託を禁止するという方向で、実際の都の関連業務を行うというのであれば、それはそれにこしたことはないと思います。
    ただ、私は色々な実態もよく見ているのですが、県や市区町村から受託する場合でも、本社で受けているけれども、実際は子会社でやっている。子会社でも系列会社であったとしても、別にそれは直接受託が本社だけしか受けていなければ、あくまで別会社、系列会社でも、子会社であれば、それは再委託になってしまうのかなと。そういう例が実際は結構多いような気もしますが。
  • 堀部会長
    そういう要望をどういう形で書き込めるか、事務局の方でも検討していただきたいと思います。
    先ほどの「中間報告に寄せられた意見等について」の中で、地方独立行政法人の保有する個人情報の保護については、来年4月から現在の都立の大学が地方独立行政法人になるということで、それは他の実施機関と同じように扱うということになるのか。
    それとも、条例改正を今年のうちに行うのでしょうけれども、その段階では、まだ都立大のままですよね。その辺りはどういうふうになるのでしょうか。
  • 二ノ宮都政情報担当部長
    条例を作る場合に、色々な状況を見ながら、所管の文書課とも協議しなければいけませんので、そこで明確にしたいと思います。
  • 堀部会長
    先ほど橋本委員からご意見があればということだったですけれども、よろしいですか。国では、独立行政法人等の保有する個人情報保護に関する法律というのを別に作りましたけれども、今のところ、一つしか予定されていないということであれば、・・・。
  • 橋本委員
    ええ。ここで実施機関に入れ込むこと自体には多分問題はないだろうと思います。
  • 堀部会長
    分かりました。
    では、今日の審議は以上で終わらせていただきまして、次回は6月15日、午前10時からということで予定しております。今日のご意見を踏まえまして、事務局と協議の上、次回、答申の案をお示ししたいと思います。
    あと、事務局の方から連絡事項等をお願いしたいと思います。
  • 入谷情報公開課長
    今、会長がおっしゃられたとおりですけれども、次回が6月15日の午前10時で、この場所でございますので、よろしくご参集ください。そして、その次が7月9日、やはり午前10時からで、これが本諮問に係る最後の審議会でございますので、日程調整のほど、よろしくお願いをいたします。
    以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは、本日の会議は以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

ページの先頭へ戻る

東京都庁〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1交通案内 電話:03-5321-1111(代表)法人番号:8000020130001

Copyright (C) 2000~ Tokyo Metropolitan Government. All Rights Reserved.