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平成29年(2017年)2月6日更新

情報公開・個人情報保護審議会(第39回議事録)

第39回東京都情報公開・個人情報保護審議会議事録

平成21年2月3日(火曜日)
東京都庁第一庁舎42階 特別会議室C・D

15時00分開会

  • 萩原参事(都政情報担当)
    それでは定刻でございますので、第39回東京都情報公開・個人情報保護審議会を開会させていただきます。本日は大変お忙しい中、委員の皆さまにはご出席いただき、ありがとうございます。本日は前回ご審議いただいたストリートビューについてグーグル社からご説明をいただいた後、委員の皆さまとの意見交換を予定しております。
    本日はグーグル社からご出席いただいておりますので、ご紹介申し上げます。グーグル株式会社執行役員広報部長の舟橋義人さんでいらっしゃいます。
  • 舟橋氏
    舟橋でございます。よろしくお願いいたします。
  • 萩原参事(都政情報担当)
    同じくポリシーカウンセルの藤田一夫さんです。
  • 藤田氏
    藤田でございます。よろしくお願いいたします。
  • 萩原参事(都政情報担当)
    以下の進行は、堀部会長どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 堀部会長
    ただ今、萩原参事から今日の進行につきましてご説明がありました。早速、本日の議事に入らせていただきます。
    ストリートビューにつきましては、日本では8月5日にサービスを開始したと伺いました。サービス開始後、これまで私は色々と発言してきておりますが、メディアを含めて色々な所から問い合わせ等がありました。また、東京都にも前回の審議会で38件の要望、あるいは意見、苦情というものも寄せられているということもあります。また、東京都内の自治体からも知事宛てに要望が出たりしているものですから、東京都情報公開・個人情報保護審議会が取り扱う個人情報と関わるかどうかは色々と議論があるところですけれども、当審議会としてこの問題を取り上げてみようと、11月25日に開催いたしました審議会で議論いたしました。しかし、その時は、新聞ばかりではないですが、色々な所で報道されているものを基に各委員それぞれがイメージしたもの、あるいは実際にグーグルのストリートビューをインターネットで見たことなどを含めて、それぞれが感想といいますか、意見を述べるということで、非常に間接的な議論に終わったかと思います。しかし、そこで出されました意見は大変重要なもので、これは後ほど北原課長からその辺りのことも含めてご説明いただきますが、そのような中でグーグル社から直接お話を伺って、意見交換できると良いのではないかということで、事務局を通しまして、グーグル社に申し入れをしていただきました。その結果、先ほど萩原参事からご紹介がありましたように、舟橋さんと藤田さんにおいでいただけることになりまして、審議会としましては大変うれしく思います。これまでグーグル社は公の場でどの程度説明をされてきたかわかりませんが、当審議会は公開で審議をいたします。ですから、今日もそういうことで多数の方がここに来ております。そのような公開の場で、グーグル社が実際にご説明され、またそれについて委員との間で色々と意見交換できることは、当審議会としまして、あるいは日本のこの種の問題を考える上でも大変重要な意味を持っていると思います。お手元の資料にもありますように、前回の審議会の時にも、各委員それぞれに色々な研究もしていますし、またそれぞれのお立場でこの問題に関心を持っている観点から発言しておりますが、アメリカで一昨年の5月にサービスが開始されまして、それ以降さまざまな議論があることは、私は色々な国際会議に出た時に伺っております。そのような中で、今日は日本のサービスが中心なのか、どのような形でご説明いただけるか、これから伺うところですけれども、そういうことで今日はグーグル社からおいでいただきましたことに対して心から御礼申し上げるとともに、率直に意見交換できればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、前回の審議内容につきまして、北原課長から説明をお願いいたします。
  • 北原情報公開課長
    お手元にございます資料1~5に沿いましてご報告いたします。
    資料の確認です。資料1は、昨年11月25日の前回の審議会での議論をまとめたものでございます。資料2は、前回の審議会でお配りした「グーグル『ストリートビュー』について」と題する資料でございます。資料3は前回の審議会の議事録を抜粋したものでございます。資料4は、グーグル社のストリートビュー機能に関する他団体の意見等についてまとめたものでございます。資料5は、犯罪対策閣僚会議の「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」を抜粋したものでございます。なお、このうち資料2にあります前回審議会資料の中において、グーグル社では、人の顔や表札、ナンバープレートなどが判別できないようにぼかしを入れているという記載がありましたけれども、この点につきましては、人の顔については自動認識により、ぼかし処理を行っているが、日本ではナンバープレートについては解像度の問題で、ほとんど識別できないと思われるため、現時点では顔以外には自動的な処理を行っていない。表札についての自動認識によるぼかしは検討中とグーグル社が表明しているとのご指摘をいただきましたので、この点につきましては、正確なところを本日、直接ご説明いただければと思います。
    それでは、資料1をご覧ください。前回の審議会での議論のまとめにつきまして、ご報告をいたします。これは、資料3の前回審議会の議事録がありますけれども、委員から出されましたご意見等を事務局で取りまとめたものです。まず、「プライバシーに関わる問題」につきましては、「現行の法や条例での規制は現段階では難しい。企業の自主的なプライバシーへの配慮が求められる」という意見でした。具体的な意見を読み上げさせていただきます。
    サービス提供の目的として、利便性や娯楽性が挙げられているが、日本のような住宅事情や生活環境では公道から撮影されたものであったとしても、プライバシー侵害を引き起こしやすい。
    本人が知らないうちに、そのような映像がインターネットに公開されることの必要性が、サービス提供の目的と比較衡量した場合に、不十分である。(公開の社会的な公益性が明確ではない。)
    個人情報保護法との関係が整理されても、肖像権の侵害などプライバシー侵害については、民事の損害賠償の問題として個々に判断されることになる。
    グーグル社は、「私道からの撮影は行わない」「削除の申し出があれば画像削除する」などの対応は行っている。
    「規制か企業の自由か」と対立的に捉えるのではなく、社会的な合意形成が望まれる。そのためには、利便性とプライバシー保護との比較衡量に立った、企業の自主的なプライバシーヘの配慮が求められる。
    また、プライバシー配慮の具体策につきましては、「撮影の事前通知・公表を行ってはどうか」「インターネット公開の時点での事前通知・公表を行ってはどうか」「撮影カメラ位置の高さ(2.5メートル)を再検討してはどうか」「商業地、観光地と住居専用地域の線引きはできないか」などの意見がありました。
    次に「諸外国の状況」につきましては、「諸外国でも活発に議論されているが、結論は出ていない」とのことでした。そこに示されているように、諸外国の事例のご紹介がありました。
    次に、「個人情報保護法の問題」につきましては、「個人情報保護法についても結論は出ておらず、直ちに保護法違反といえる状況にはない」とのご意見がありました。具体的な意見ですけれども、まず「個人の顔や表札等が明瞭に判別できる画像について」です。これは意図的に取得され、かつ恒常的にインターネットで公開されており、本人や知人には識別できるので、個人情報保護法(第2条第1項)で定義する個人情報に該当するとみてよいのではないかという意見。
    それから、「自宅や生活状況の画像について」は、公道からストリートの映像を撮影しているだけで、個々の家の名称を示しているわけではないので個人情報に該当するかどうかの判断は非常に難しい。しかし、その映像のなかに、個々の家が含まれており、それがデータベース化されて、住所録や苗字の入った地図と照合すると容易に特定の個人の自宅や生活状況が検索できるので、個人情報保護法で定義する個人情報に該当するとみてよいのではないかという意見がありました。
    また、「個人情報に該当するとした場合における個人情報取扱事業者としての責務」といたしまして、個人情報に該当するとした場合は、個人情報保護法15~18条が適用となりますので、ア~ウで示されたような対応が必要となることを踏まえました上で、法的な議論が整理され尽くされている状況にはないが、個人情報保護法で定義する個人情報にあたるという主張もあることを踏まえて、個人情報保護法に則った対応、具体的には個人情報取扱事業者としての責務ですけれども、そういった対応を取ることも一つの方法であるとのご意見がありました。
    次に「地域安全の問題」については、「犯罪等に悪用されるのではないかという懸念がある」とのご意見がありました。これについては、後ほどご報告させていただきます。
    次に、お手元の資料の4をご覧いただきたいと思います。グーグル社のストリートビューに関する各自治体等の意見です。これは今年の1月末現在、新聞報道等によって把握したものでございます。幾つかの市議会、弁護士会、民間団体等から意見書等が提出されております。特に、町田市議会と狛江市議会からは東京都に意見書が提出されておりますので、それにつきましては1枚おめくりいただきますと、町田市議会の「地域安全に関する意見書」、もう1枚おめくりいただきますと、狛江市の「生活安全に関する意見書」が載せてあります。その次のページには、杉並区の区民へのストリートビューに関するお知らせを参考に載せてあります。
    最後に、資料5をお開きください。国の動向ですけれども、犯罪対策閣僚会議におきまして、地域の安全の問題を取り上げています。昨年の12月22日の犯罪対策閣僚会議におきまして、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」が決定されました。その中でストリートビューについて触れているところがありますので、お載せしてあります。第1の2の3)です。「道路周辺の映像を表示するサービスに係る防犯対策等の検討」という項目を掲げまして、その中で「実在する道路周辺の映像をインターネット上で立体的に表示するサービスについて、防犯上の問題点等を検討し、問題点がある場合は、対策について検討する。」としております。
    事務局からの報告は以上です。よろしくご審議のほど、お願いいたします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。ただ今、北原課長から、前回の審議の概要、それから東京都内における動き、さらに犯罪対策閣僚会議のストリートビューに言及した部分について紹介いただきました。この説明からもわかりますように、ストリートビューにつきましてはプライバシー侵害の問題をはじめ、地域安全という言葉を使っている所もありますし、また、他の色々な文章を見ていますと、人権問題を中心に議論しているのもあるなど、非常に今、広範に議論されております。
    当審議会は、先ほども言いましたように、東京都情報公開・個人情報保護審議会ですので、防犯の点などを扱う場ではありません。個人情報保護といいますか、個人情報の中にプライバシーなども含まれますが、そのような観点から今日は色々と質問させていただいたりして、意見交換できればと思います。
    それでは、先ほどご紹介がありましたけれども、自己紹介をお願いできますか。
  • 萩原参事(都政情報担当)
    舟橋さんから、どうぞ。
  • 舟橋氏
    グーグルの舟橋でございます。執行役員をしておりまして、広報部長をしております。よろしくお願いいたします。本日は、こちらのポリシーカウンセルの藤田が主に説明いたしますので、よろしくお願いいたします。
  • 藤田氏
    はじめまして。グーグル社から来ましたポリシーカウンセルという職務をしております藤田一夫と申します。今日はプレゼンテーションさせていただきます。皆さまからのフィードバックや質疑等も受け付けさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 堀部会長
    よろしくお願いいたします。7人の委員がいますが、今日は5人出席しております。そちらから、茂木委員、中村委員、高橋会長代理、藤原委員、そして私となります。ということで、今日は色々と意見交換をしたいと思います。
    それでは、最初に藤田さんからストリートビューについて少しプレゼンテーションをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  • 藤田氏
    まず、開始する前に、本日お招きいただきましたことを委員の皆さま、そして東京都の事務局の皆さまにお礼を申したいと思います。
    今日は、グーグルという会社について、それからグーグル社の製品であるマップ、それからストリートビュー等、プライバシー等に関してプレゼンテーションさせていただきたいと思います。プレゼンテーションの最中でも結構ですけれども、この後、時間が設けられていると思いますので、質問等をお受けしたいと思います。
    まず、多くの方がご存じだと思いますが、この写真のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンの2人からグーグルという会社は始まりました。この写真の場所は、実際に彼ら2人がガレージを借りて始めたところです。このような非常に雑多な所からスタートしたわけです。サーゲイが座っているのはピンポン台で、仕事の合間にストレスがたまるとピンポンをして遊んだと聞いております。この2人がグーグルという会社を起こしたのは、もともと事業をしようという目的ではなくて、スタンフォード大学の博士課程に2人は属していまして、その時の博士号のプロジェクトとして、アルゴリズム等を使った検索を研究課題として取り上げてきたことからスタートしております。これはまだ草創期のころですから、1997年ですけれども、これの写真はサンプルではなくて、実際にグーグルが始まった時に実際に使用していたコンピューターです。最初はこの程度のパソコンの台数から、この会社は始まっております。
    今は、もう少し色々と実際は変わっていますが、2008年6月末現在で社員が約2万人です。オフィスは20カ国で、補助オフィス、インターフェースは112言語に対応しており、世界で大体63%ぐらいのマーケットシェアを占めております。日本では少し遅れて2000年に始まりました。今年で9年目を迎えます。事業内容としては色々とありますけれども、主にモバイル関係です。ドコモをはじめ色々な企業と提携、パートナーを結んで、順調に事業を展開させていただいております。
    よく聞かれるのですが、グーグルの目的といいますか、グーグルのそもそものミッションは世界中の情報を整理して世界中の人々がアクセスして使用できることです。いわゆる「情報の民主化」といったことを社内ではよく言っております。
    ストリートビューの前に、マップというものがどのような変遷を経ているか、事例を使いながら説明させていただければと思っております。これはオーストラリアですけれども、オランダ人がオーストラリアのマップを開発したそうです。当時1570年でしょうか。真ん中にあるタイと中国、台湾のような形をしているのはどうも日本のようです。ご覧になってわかるように、オーストラリアは、はっきりと写っていません。インドネシア等が写っているだけで、はっきりと写っていない。これが1570年ですけれども、この時も北米やアフリカ、南米、ヨーロッパは写っているのですけれども、オーストラリアはなかった。単なる島の集まりではないかと思われていたのですけれども、オランダ人がこの地域をニューファンドランド島、大陸だとわかった時点の1744年にこういった地図ができたようです。今のオーストラリアとはかなりほど遠いのですけれども、先ほどよりも進化している。これが1811年です。これはイギリスの専門的な測量の結果ですが、かなり精度の高いものができていたのではないかと思われます。これは現在のオーストラリアの地図です。見比べていただけるとわかると思いますけれども、この時点とこの時点はさほど差がないとわかると思います。この時点でかなり精度が高かったと言えるのではないかと思います。現在の測量は、ご存じのとおり、人間が測るものもあるのですけれども、飛行機あるいは衛星を使って、かなり地図の作り方というのは進化を遂げているのではないかと思います。現在では、こういった形で立体的に、1次元、2次元ではなくて3次元で地図を表示するぐらいまで進歩しています。
    グーグルのミッションは、先ほど申し上げましたけれども、世界中の情報を整理して、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。これは、我々のGeoというのは、ストリートビューの上にマップ、マップの上のGeo。ジオグラフィーのジオですけれども、マップの上にGeo Productsがありまして、あくまでもグーグルのたくさんあるプロダクトの中の一プロダクトで、Geoのミッションは地理的に整理する。そしてみんなが使えるようにする。これが我々のこの製品に対するミッションです。
    地図の進化の一過程に我々のグーグルマップもあるのではないか。よって、我々以上の進化を遂げた地図が将来出てくるかもしれません。それはグーグルから出るかもしれませんし、他の企業かもしれません。それはわかりません。ただ、我々はグーグルマップが完成型とは思っていません。これは進化の一過程ではないかととらえております。
    おなじみだと思いますがマップ機能の使い方です。まず、検索したい言葉をこのボックスの中に入れます。具体的な活用事例です。例えば、「東京都庁」とマップに入れて検索すると、左側に東京都庁関連のサイトが表示されます。当然トップは東京都庁第一本庁舎が出ます。そして2番目は本庁舎展望室など、東京都関連のものが出ます。そして右側のところにピンで刺したように、実際の東京都庁の場所を表示してくれます。もちろんストリートビューはこのプロダクトの一部分として写真でもこのように表示できます。この意義はどういうことかといいますと、東京都庁に毎日来られてなじみのある方は問題ないと思いますが、初めて行く方に、例えば地図上でもわかると思いますけれども、写真で見て、これが東京都庁の建物であると視覚から認識して、迷わずによりスムーズに東京都庁に到着できるようなツールとして使えるのではないかと考えます。
    例えば、先ほどの「東京都庁」をクリックするとどうなるかといいますと、東京都庁の詳細が表示されます。住所、電話番号、ホームページのURL、ルート・乗換案内、付近を検索、マイマップに保存、送信。送信はメールで友達や家族にこのURLを送ることによって、その人も同じマップを見ることができます。ルート・乗換案内で東京都庁に行きたいと思った場合に、例えば出発地点を渋谷のNHKとします。到着地点を東京都庁と打ち込みます。選択肢は電車・飛行機・車があります。「車で行く」を選びますと、下のように運転ルートと距離が表示されます。出発地点はNHKで、距離は見えていませんけれども、約18分の時間がかかる。「井の頭通りに向かって南西に進む」という詳細が書いてあります。そして右側の地図の太線で、右側の地図のAという地点がNHKです。Bが東京都庁です。このルートで「車で行く」と表示されます。実際に2番目以降の0.1キロメートル、0.3キロメートル、0.7キロメートルと左側の赤い枠にありますけれども、これは距離で、カメラマークが付いているのがストリートビューで画像を表示してあるという証拠です。
    3番目の「左折して都道413号線に向かう」を選びますと、右側に写真で表示する。つまり東京都庁に向かいたい場合は、事前にここを曲がるということを覚えていただく、あるいはプリントアウトして、スムーズに迷わずに行くことができると思います。
    ストリートビューとマップの社会的公平性、公益性の意味は何かとよく問われます。幾つか事例があると思いますが、ざっと考えてみたのは、3次元情報による視覚認識が可能ですので、救急の際に場所を事前調査することによって救援活動ができるのではないかと思います。災害時、例えば地震等があった場合に関係当局その他による状況の把握をする。関西で以前、大地震がありましたが、壊滅的な被害を受け、その修復をする際に、元の町の様子はどうだったかというのを過去の写真を参考にしながら、3番にあります行政当局による都市計画策定の参考情報になるのではないかといえるかと思います。また、過疎地等がありますが、地域振興に利用できるような例えば商業や観光、農業、漁業に使えるのではないか。
    最後に、障害者のバリアフリーの確立という意味は、例えば障害者がどこかに行きたいという時に、スロープがあるとか、車イスの方がスムーズに行けるのか、あるいは行けないのかということを視覚的に調べて、この場所だったら行ける、このルートだったら行けるのではないかということを写真でチェックして、ヘルプが必要なのか、あるいは1人で行けるのかという把握の際の一ツールになるのではないかと感じています。
    さらに、公益的目標の例とすると環境保護目的です。これはストリートビューではなくて、グーグルアースという機能です。写真でわかるように、北極圏の野生生物保護区域、地球の氷結状態がどうなっているのか。地面の温度の変化、森林伐採、水流の確保、溶岩の流動観測、さんご礁の健康状態の把握、本日グーグルアースで新しいサービスが展開されましたが、さらに地球規模で今、地球がどうなっているのか。今というのは即時という意味ではありませんが、その時点でどうなっているのかという環境関係のツールとしても有効ではないかと考えています。これはTBSとジョイントしたのですが、こういった活用例で世界遺産・屋久島の事例もあります。それから米国ですが、先ほど堀部会長から紹介がありましたが、基本的に我々が撮影する場所というのは、公道、公の道からの撮影です。よって私道や私有地を許可なく我々が撮影することはありません。ただ、国立公園というのは通常撮影は許可が必要ですが、アメリカの場合はぜひ撮影してほしいという要請がありまして、全てではないですが、エバーグレーズやフロリダ、イエローストーン、ロッキーマウンテン等を、依頼を受けて中の様子をストリートビューで映し出す。その趣旨は何かといいますと、アメリカは非常に広大な土地でなかなか簡単に行けない。ストリートビューを使って国立公園の自然のダイナミズムとか、素晴らしさを伝える。事前に小学校や中学校で学習して、遠足等に使うのも有効的ですし、あるいは病気で自分の部屋から出られない場合でも、自宅の部屋から自然を画像で楽しむ、研究するといったことで使われているようです。
    それから、公益目的かどうかわかりませんが、それ以外のビジネス用途としては、ご存じのように事業所、先ほど東京都のURLの地図がありましたが、会社のオフィス地図にも使うことができますし、飲食店、ホテル、ショッピングモール、駐車場の場所の確認等にも使うことができます。マーケティング用でも、例えば北海道の会社が沖縄まで行くのに、往復の交通費等をセーブするために、最初の下見は実際に行くのではなくて、ストリートビューやマップを使って調べる。映画撮影、野外イベントにも使えるのではないか。それから3番目は学校の学習要領です。国内はともかく、海外等へ行く場合に、地理や歴史、そこの現場に行って、実際に歴史上でそういったことが行われたローマの遺跡を訪れることができるかもしれません。4番目が、日本ではこれからの課題ですが、アメリカでは既に始まっていまして、建設不動産業者が現場確認にAPIを公開していまして、不動産業者が自らの不動産をストリートビューにリンクしたサイトを立ち上げて、自分が仲介している不動産物件をカメラで撮って、ストリートビューからスムーズにそちらのホームページにいけるというサービスが、アメリカではもう既に始まっています。今後、日本でも期待できるのではないかと思っています。
    あるいは新聞社、出版社、テレビ局などのマスコミが、例えばニュース現場で事件・事故があった、あるいは政治等の情報に関して、現場を表示するストリートビューをインベストと言いまして現場を視覚的に、特に料金は取らないのですが、そこに埋め込んで、こういうことが起こりましたという案内に使えるのではないかと思っています。
    それから、画像に関しては、先ほど堀部会長、事務局の皆さまからもご指摘がありましたが、世間を賑わせているようです。そういった問い合わせに関しての案内はご存じだと思いますが、まず画像の左下にある「問題の報告はこちら」をクリックしますと3つの選択肢が表示されます。プライバシーに関する問題、不適切な内容、その他。プライバシー以外でも画像のクオリティーが悪いというような他の色々な要望も受け付けています。顔が見られるということに関しては、表現が適切かどうかわかりませんが、ぼかしと社内では呼んでいますが、まず元となる写真があります。これは米国です。元の画像がありまして、自動的に顔を認識します。認識技術が働いて顔の認識の調整管理をして、幾つか顔ではないかというところもピックアップして、どれが本当の顔なのかということがあります。それでぼかしを導入するという形になります。例えば後ろを向いているとか、一番右側の歩道を歩いている方がいます。人間ですが顔が見えていないので、ぼかしは入っていません。今、前面にいる帽子をかぶっている男性は見えてしまっているので、ぼかしが入っている。見えている方のみ、ぼかしが自動的に入るようになっています。こういった面でプライバシー懸念をなるべく軽減したいと思っています。このぼかし技術というのは当初は導入していませんでしたが、昨年の5月に、そういった問題があるのではないかと我々も認識しまして、米国からスタートして自動的にぼかしを導入することになりました。日本では8月に導入した時点からぼかしが自動的に入っています。戻りますがプライバシーに関する問題は「選ぶ」という幾つか選択肢があります。顔、自宅、自分の車のナンバープレートが表示されます。先ほどご指摘がありましたが、顔は自動的にぼかしが入っています。ただ、自宅と車のナンバープレートには自動的なぼかしは入っていません。ヨーロッパでは車のナンバープレートは現時点でぼかしが入っています。この差はなぜなのかとい言いますと、ヨーロッパのものが画像の解析度が高くて、はっきり見える。日本のストリートビューの画質はヨーロッパよりも劣るものです。よってナンバープレートははっきりと認識できないので、自動ぼかしは入れていません。万が一、所有者あるいはご家族が「私には見える」というご指摘がありましたら、それに従って削除するなり、ぼかしを入れる処置はこちらのサイトからさせていただきます。顔に戻りますが、顔に「選ぶ」という選択肢があって、不鮮明な処理が施され画像を報告する。あるいは自分自身、または子どもの顔が映っている画像の削除を依頼する。これは特に要望を受けまして、これは顔ではない。本当に明らかに顔ではない場合は別ですが、顔がしっかり映っているとなれば、容赦なくそのまま削除するなりぼかし等はすぐにさせていただいています。選択をしまして、下にある指定された文字を入力して送信すると我々のところに到着するというシステムです。もちろん、こういったことも専用ホームページを設けていまして、画像に関する説明の専用ページがあります。言葉がわからない場合は、先ほどのここをクリックしていただいて、「ストリートビュー公開に適さない画像の報告についてのビデオ」をご覧ください。これをクリックしますとYou Tubeに飛びまして動画上で、どうやって報告をするかの案内を誰でもわかるように手順を整えています。削除依頼を受けた後、どういったプロセスかということと、どれぐらいの時間がかかるかの表示です。送信されましたメールは即時に着きます。その後、担当者を確認します。確認次第、順次削除作業で削除完了という流れになります。これは日によって違います。大体2、3日くらい頂戴できれば完了できるという内容になっています。よく例えば送ったのに何ら対応がなかったという声がある場合、一番に送信がきちんとされているかどうかということがあります。送信されていないのに実は送信されたと思っていることがあることと、受信してその削除内容自体を全部受け付けるというわけではなくて、プライバシーを侵害するという正当性・合理性の内容があると認められたら、それは削除対象になります。例えば公共の建物は削除対象にはなりません。東京都庁、東京タワー、東京駅、渋谷公会堂などの公共の建物や公共に準ずる建物はプライバシーがあるとは考えていませんので、実際にサービスを開始した時に、東京タワーを削除してほしいというのが、当初1週間、始まるか始まらないかのうちに数百件の削除依頼がありました。ただ、我々としては東京タワーを個人の自宅とは考えていませんので、そういったことでは削除依頼は受け付けていません。プライバシーに関する考え方です。もちろんプライバシー侵害を我々は促進するつもりもなく、支持するものではありません。我々はプライバシーに対しては日本のみならず世界中に最大限の配慮をしていきたいと思います。先ほど説明をしましたように、削除依頼の内容が正当性・合理性がある、間違いなくプライバシー等に触れると考えれば、画像がいかなるものでも当人からの依頼に基づいて画像を削除しています。第三者からの依頼は基本的に受け付けておらず、ご本人からの報告を原則としています。
    3番目に、これは日本独自ですが、世界中では基本的に電子メール、インターネットを通した先ほどの手続のみから削除依頼を受け付けています。日本の場合、例えばパソコンを持っていない、インターネットに接続する環境がないという声がありましたので、日本独自にそういった方向けには代表電話にかけてストリートビューに関して申し出ていただければ、担当の者につなぎまして住所等をお聞きして、内容を確認して正当性・合理性があるのならば削除するなり何なりの適切な処置を施していきます。
    最後ですが、そうはいってもカメラ位置等のご批判の声があるというのは我々も重々承知しています。これは社内で関係者には情報を共有して今後どうすればよいかを真摯に討議して、何とか改善できないかと考えています。日本で有効活用できるような手立てを社内で検討して、遅いかもしれませんが、粛々と改善作業を進めて1人でも多くの方にご利用・ご活用していただきたいと考えています。
    諸外国、日本以外の外国の事例ですが、全部記載することはできませんので、ストリートビューを展開している国以外も入っています。各国の政府、堀部会長が言われましたが、海外でもご関心の高いところがあります。こういったところは内々にといいますか、打ち合わせ等をもちまして協議をさせていただき、代表的にはイギリス、オーストラリア、フランス、カナダ、メキシコ、ニュージーランド、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、北欧諸国、ハンガリー、チェコ、米国もありますし、ブラジル、中国、日本もあります。その他多くの諸外国の政府機関、政府機関といっても中央政府だけではなくて可能な限り、全部とはいいませんが、地方自治体等もご関心いただける、あるいは機会があるのであれば、なるべく協議の時間と場所を設けまして、先ほど説明しました我々のグーグルマップの機能、ストリートビュー、プライバシーの問題に関して色々なご指導等を頂戴しながら協議の場をもっていただいています。今のところ、諸外国からの反応といいますか、諸事情は皆さんご存じのようにストリートビューに対して規制する法律や条例は現状では存在していません。ドイツのことが指摘されまして、ドイツから我々は撤退するのではないかと一部報道がなされたようですが、ご関心いただいているのは事実です。ただ、我々は撤退すると決めていません。どこの国から撤退するとか、諦めたということはあくまでうわさで、我々はそういったことは一切考えていません。我々は辛抱強く改善すべきは改善して、関係政府機関の方のご理解、地元の皆さまのご理解を得るまで粘り強くこのサービスを、改善を含め展開していきたいと願っています。
    参考事例ですけれども、これもあくまで一部です。日本だけが特に多いのではないか。日本は規制がないから、条例がないから間隙をぬってというのは全くの誤解で、米国では日本以上に、これは一部ですが1行に3つほど町を取り上げましたが、日本と比較にならないくらい展開しています。これはあくまで一部で、全部を記載することはできませんでしたが、今後これだけの都市ではなくて当然他の都市も絶対にしないというわけではありません。現状ではここだけの展開をさせていただいています。
    以上ですが、ご質問や分からない点があると思いますが、お受けいたしたいと思います。どうもありがとうございます。
  • 堀部会長
    藤田さん、どうもありがとうございました。グーグル社から私たちが直接話を伺いましたのは、今日はじめてです。お聞きになって質問もあろうかと思いますので、どうぞ各員ご自由にご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  • 藤原委員
    どうも、わざわざありがとうございました。こういう対話の機会を設けていただいたことに感謝しています。どうもご出席ありがとうございました。
    まず、事務局の方に議論のまとめのところで、速記のミスというか誤字がありますので、念のため申し上げておきます。諸外国の状況は私の発言が多いのですけれども二つ目の2008年11月14日デュッセルドルフ「ゴート」と書いていますが、「合同」という漢字です。合同庁舎の「合同」がオプトアウトからオプトイン的な考え方を取って、法改正も視野に入れたらどうだという決議をしたという意味です。正確に申し上げておきます。
    訂正をしたということで、幾つか質問をさせていただきます。最初に、今これだけ多くの自治体あるいは弁護士会、各種団体が懸念を表明しておられるのですが、それについてどう思うかということと、国内の現状は先ほど藤田さんが言われたように、現在進行形で粛々と進んでいるのでしょうか。まず、こういうたくさんの意見があるということをどうお思いになるかということと、現在も進行形であるのかをお教えいただけますか。お願いします。
  • 藤田氏
    藤原委員のご質問で、たくさんの地方自治体、NPO法人、弁護士会からこういったことを頂戴していまして、これは非常に真摯に受け止めています。全部ではないのですが、ほとんどこちらのまとめられた意見書の内容は確認しています。意見書をまとめるのは各自の自由なので止めることはできませんが、内容を拝見しまして、1点残念なことですが、具体名は申しませんが、自治体によっては事実と異なることを記載されていたということがあります。例えば具体例でいいますと、カナダ、フランス等では条例規制等、ヨーロッパにはストリートビューを規制するものがあるのだと。多分こちらではなくて別の自治体だと思いますが、某自治体でこういった記載がありました。それは非常に我々としては事実とは異なるので残念だと思うと同時に、我々のコミュニケーション活動がまだまだ足りないという反省材料になっています。
    2番目の質問ですが、今後どういった町等に展開するかですが、これはなかなか社内上、どこの町にいつストリートビューを展開するかは申してはならないということがありまして、これは申し上げられませんのでご勘弁を願いたいと思います。するともしないとも現時点では申すことはできません。
  • 藤原委員
    続けて、よろしいでしょうか。まずはご回答ありがとうございました。今の点ですが、やるともやらないともわからないし、どこへ行くともわからないという話でしたが、環境保護の世界でアセスメントというのがあるし、あるいは先ほど出てきたカナダでは行政機関ですが、プライバシー・インパクト・アセスメントといって、システムや個人情報を収集すると一体どんな影響を与えるだろうという、要するに事前影響評価手続があると思います。もちろん公的部門ですが。確かにグーグルは民間の事業者であるということは承知しているのですが、これだけ世の中に色々な反響を呼ぶことをする時に、こういうことをやったら世の中の人はどう思うだろうかとか、こういう結果が出たらどう対処しようとか、出発前に事前の手続き的なものはなかったのかなと思うということと、先ほどグーグルは情報の民主化を進めていらっしゃるという話だったのですが、民主主義は大変多様なものでして、西洋の民主主義といってもドイツ・フランスとアメリカは違うというように大変多様だと思うのです。かつ、民主主義はどなたもご存じのように個人の参加を前提にしていると思いますが、グーグルが情報の民主化といわれるのであれば、このサービスに関係する個々の個人が嫌なものは嫌、あるいは異議を申し立てる権利を事前に表明するというようなことは全く考えておられないのかということです。これが先ほど申し上げたデュッセルドルフで決議された内容に近いのです。事前に嫌なものは嫌だといって、好きな人がやればよいではないか。もちろん素晴らしいサービスが多々あるのでしょうが。情報化社会ですから可能性をつぶしてしまうのはよくないと思うのですが、片方で気になったのは、プライバシー侵害の正当性の判断を、判断基準はグーグルでなさるとおっしゃったのですが、しかしプライバシーというのは根源まで遡ると何となく嫌だという気分ですから、何となく嫌だという気分が、「あなたが何となく嫌かどうかは、我が方の秘密の基準で判断してやる」といっても、判断基準があるのならオープンにするべきだし、嫌な人は事前に嫌だと言えるようにしておいた方がよいのではないかと思うのです。
    もう一つは、先ほど外国のことを丁寧にお知らせいただいたのですが、今日いただいたパンフレットの「よくある質問」によると、「規制を受けたことはありますか」に対して「ありません」ですけれども、各国の当局と事前の調整はやっておられるわけですね。そうすると、サービスについて事前の規制を受けたことはあるのではないですか。確かにグーグルをねらった法律等はないけれども、各種法律とどうなるかという調整を先ほどおっしゃったように、やっているということなので、よくある質問の書き方は必ずしも正確ではないというか、その隣に「アドバイスをいただいた上で運営しております」と書いてあるのだから、事前の調整はしているのですよね。そうであれば、規制を受けたことはありますかというのは先ほどのドイツの話ですけれども、ドイツには強硬に反対している自治体がありますね。そこについて議論をしているのであれば、議論はしていると思うのです。
    ということで、3つ質問しましたが、嫌だというのを事前に教えることはできずに粛々と進めるとおっしゃったのですが、事前に教えてあげて嫌な人はやめて、好きな人だけやってくださいというシステムが取れないのかなということと、外国で規制を受けたことはないというのは、こちらは結構ですが不正確ではないかということと、事前に見解を述べる機会を与えるのがよいのではないかということですが、いかがですか。
  • 高橋会長代理
    今の質問とほとんど同じになるかと思いますが、念のために。先ほどの話では、どういう利用形態があるかと色々説明していただいたのですが、これは恐らくメリットの側面だと思います。しかし、この事業を始める前に恐らくデメリットといいますか、問題になり得るようなことも検討されたのだろうと推測しているのですが、内部の検討過程でどういうことを検討されたのか。恐らくプライバシーとの関連というのは、当然考慮されたと思います。ですから、今の質問との関連の問題もそこから出てくると思いますが、それと同時に、出てきた問題についてどう考えるかという点で、グーグルというのはどこの官庁になりますか。ないのですか。そうすると主務官庁に相談するということもあり得ないということになるのでしょうか。
  • 堀部会長
    それが明確ではないのです。情報の検索などをしている事業からすると、情報処理関係になるでしょうから、経済産業大臣が主務大臣であるともいえます。電気通信事業者であれば総務大臣が所管するということがありますが、グーグル社は電気通信事業者ではないと聞いています。インターネット上の情報提供という点で総務大臣もかかわる面があると思います。
  • 高橋会長代理
    そういう官庁の見解を聞いたり相談してみたりということを考えられたのかどうか。その辺りを加えて説明していただければと思います。
  • 藤田氏
    藤原委員の質問から答えさせていただきます。プライバシー、サービス開始前に関係者への説明や手続等はなかったのかですけれども、これは日本では関係者に事前の説明というのはしていません。今考えると、しておけばよかったという後悔はあることはあります。意図的にしなかったのではなくて、海外ではあります。先ほど表を見せましたように、サービスを開始していないところに接触しているではないかという藤原委員のご指摘がありましたが、これは呼びつけられて無理やりこう言ったわけではなくて、我々から率先して自ら説明したいということで接触しました。特に、そこにこういう規制のある法律があるがために、事前に許諾を得るためという趣旨で訪れたり協議したりしているわけではありません。では、どうして外国と日本と違いがあるのかと思われるかもしれませんが、各委員ご存じのように、海外には、プライバシー・コミッショナーといいまして、プライバシー専門の中央政府機関が、全てではないのですが、多くあります。日本ではプライバシーを扱っている機関が、地方自治体では課レベルではあるかと思いますが国のいわゆる霞ヶ関の政府で、プライバシーを専門に扱っているという政府機関というのは、私の勉強不足かもしれませんが、存在していない、窓口がないという判断をしました。そういったこともありまして事前に協議等ミーティング等を持つ機会がなかったということです。総務省・経済産業省も我々の事業と関係しているのですけれども、2省庁ともプライバシーを専門に扱う局や課というのは、存在してないと認識しています。もしあれば、もちろん我々は行っていたと思います。
    社内議論それから藤原委員の2番目の質問、プライバシーの判断基準は、グーグルの社内でやるのではないかということですが、これは、先ほどの私の言葉の表現が、少し良くなかったのかもしれません。例えば東京タワーや東京都庁をプライバシーといわれると、これは建物ですので、プライバシーがないと判断して削除の対象になりませんけれども、例えば人間が映っている、家が映っている、車が映っていると報告があって、これはプライバシーの侵害だと言われれば、我々はそこでジャッジをしないで、申し出の通り、ほぼ100%削除やぼかしをしています。我々自身が、これがプライバシーうんぬんというのは、私の表現が少し悪かったかもしれませんけれども、公共の建物等を選ばれてプライバシーと言われる場合は削除にならなくて、人間の顔や家それから自動車等はプライバシーだと私たちは認識していますので、ご要請があれば、それは議論しないで、そのまま削除あるいはぼかしという形を取らせていただいています。
  • 藤原委員
    もう1点、先ほど3点目として申し上げたのは、今進んでいることについて、事後でなくて事前に転換することは可能ではないのですかという質問ですけれど。
  • 藤田氏
    それは、今後新しくサービスを展開する地方自治体には、事前にお知らせしていきたいと思っています。
    それから高橋会長代理のご質問だったと思いますが、事前調整というのは、今考えると我々の反省材料だったと思います。言い訳になるかもしれませんが、先ほどプライバシー・コミッショナーというのが、日本には存在していないという大きな点があります。
    2番目としては、地方自治体に事前にそういったことを申し出て、協議の場を持てばよかったと、今となっては反省しています。
  • 高橋会長代理
    ということは、始める前に、プライバシーの問題などはあり得るという認識はあったわけですね。
  • 藤田氏
    これは苦しい言い訳になってしまうかもしれませんが、私ではないですが、このサービスをつくるストリートビュー担当の者がいて、そして社内で法律を担当している者がいます。その法律を担当している者が、個人情報保護法や道路交通法などの法律はチェックして、プライバシーはもちろん議論の俎上に載せたのですが、その時は特に深くチェックしていなくて、地方自治体と協議するべきだというような声はなかったのです。その後、私がこういった職務をしていますので、サービス開始の直前に近いぐらいの時に、こういったサービスが開始されるということがわかり、プライバシーに対して問題があるのではないかと私は申したのですが、今となっては詰めが甘かったと認めざるを得ません。今後は、こういうことがないようにしていきたいと思っています。
  • 高橋会長代理
    私は、なぜこういうことを聞いたのかというと、デメリットもあるという認識があれば、それはバランスの問題だと思うのです。メリットも、もちろんあります。しかし、デメリットをバランスさせて、どういう場合にデメリットの方が大きくなるかということも、考えられ得たのでではないかと思うのです。その一つの場合として、恐らく住宅専用地域について、色々と批判が出ていますよね。予め考えれば、住宅専用地域については、除外してもよいのではないかという考慮が、果たしてなされなかったのかどうかということを、少し確認したいという意味があったのです。先ほどのパンフレットの説明にもありましたけれども、住宅専用地域でもメリットとして、不動産業者がビジネスで使うだろうとか、あるいは住宅を探しているご本人が、どこが良いだろうかということで、探すのに使うということもあるかもしれない。確かに、それはメリットであると思いますけれども、他方で家というのもプライバシーだというご認識があれば、どちらを優先するべきかという考慮に成り得たのではという趣旨なのです。ですから、先ほどの説明では、プライバシーとの関連で家もプライバシーだと理解しているから、要求があればぼかしを入れるなど、何らかの形で削除しますということで、それはそれで一つの解決方法であり得ると思うのですけども、もう一つの解決方法としては、今度の問題として、住宅専用地域などは、やはりデメリットの方が大きいのではないかというバランスの仕方もあり得るのではということとを、意見として申し上げておきたいと思います。
  • 中村委員
    先ほどの藤原委員が最初にご質問された自治体から色々と出ている意見書について、どのよう対応したかにと伺われた時に、海外からの情報について間違いがあるとだけ言われたけれど、まだ自治体から具体的な形で懸念表明されていることについては、真摯にグーグル社内でどこまで検討されているのか。
    また、先ほどのご説明では、これが昨年始まった時に数百件の削除依頼があったとおっしゃったと思います。まず、当初からあった、そういう問題について、どのように受け止められたのか。それはデメリットと関連する部分だと思うのですけれども、その点です。
    それから、顔のぼかしも平成20年8月に自動的に行ったとおっしゃられたのですが、それにしては始まってから随分色々な意見があります。それでは技術的な面、その他の情報提供ということについて、グーグル社側のこれでよいのかという検討やポリシーの見直しなどが、どの程度なされたのか。まず、それを伺いたいと思います。
  • 藤田氏
    意見書の内容に誤りがあったというのも、地方自治体に100%責任があると申してはおりません。当然、我々にも責任があると思います。やはり我々自身、グーグル社としてのコミュニケーションや説明責任が足りなかったのではと反省しています。
    内容に関しては、ほぼ全て目を通させていただいていますし、全部ではないですけれども、大方の地方自治体の方とは連絡を取らせていただいています。そして、どうしてこういった意見書に、事実と異なることが書かれたというのも、問い合わせさせていただいています。中にはほとんどコピー・アンド・ペーストといいますか、ある地方自治体とそっくりの内容があり、それも私が質問させていただいたことがあるのですが、特にヨーロッパやグーグル社に対して問い合わせがあって、ある地方自治体がそういった検証をまとめたので、それを参考として書き写したということがありましたので、ますます我々としては、これはもう待っているのではなく、こちらからこうであるというコミュニケーション活動を、もっと積極的にすべきではなかったかと思っています。
    どれくらい真摯に捉えているかといいますと、もちろんほぼ全てのここに載っている自治体のみならず他の地方自治体や中央政府等へも、機会があるごとに連絡を取らせていただいています。そしてまた、お問い合わせがありましたら、単に意見書ではなく質問やわからないことがあれば、政府関係ですと必ず私に連絡が来るようになっていて、それに関してどんなことでも、質問なり何なりというものは持たせていただいています。今後は、もし新しい町にストリートビューを展開することがあれば、事前に調整や打ち合わせの機会を持たなければいけないと思っています。
    それから住宅地の指摘ですが、これは気持ちが悪い、不快だと言われれば反論の余地がなく、非常に悩ましい問題です。住宅地を撮影する時にそういったことを考慮しなかったのかと言われると、我々の推測力といいますか、こういった反応が起きるだろうという想像力が欠けていたと認めざるを得ないと思います。カメラの高さで、塀を越えて中庭が見えるうんぬんということがありますけれども、車とカメラの高さというのは、米国やオーストラリアと一緒です。ご存じのように英国やアメリカですと、公道から一戸建ての場合はかなり距離がありまして、特に中庭が見えるうんぬんというのは、問題がゼロでありませんが、それほど強くないです。日本の一般の一戸建ての場合は公道に面しているという住宅事情がありましたので、そういったことを我々としても事前にきちんと把握していなかったというのは認めざるを得ないと思います。今後は、これを我々の大きな教訓させていただきたいと思っています。
    では、実際にどうするかというのは、隣にいる広報を含め、先ほど言いましたストリートビュー担当の者、本部の者と、もちろん役員を含めてですが、きちんと全部の情報を絶えず共有しています。どういうところからどういうお問い合わせがあったということは、情報を私のところで隠すということは一切していません。
    実際にどうするかですけれども、それはまさに社内で議論中です。どう議論するかといいますと、例えばそのカメラ位置や主要なサービスの仕方を変えると。変えるというのは物理的にできないことはないのですが、一つを変えればアメリカもオーストラリアもヨーロッパもたくさんあり、調整といいますか、なぜ日本だけ変えるのか、なぜ日本だけそういうカメラ位置なのだ、なぜそういう画像にするのだ、なぜそれだけという社内での説明責任があります。日本がやるとなると、今度はベルギーでもフランスでもイタリアでもノルウェーでも、各国の要望があれば全てその国に対応してバラバラのサービス展開ということも社内的にはあり得ます。そうしますとストリートビューの写真を見た場合、アメリカで見るものと日本で見るものとノルウェーで見るものとイタリアで見るものと、バラバラになりかねないということもあります。ですから何もしないというわけではないのですが、こういったことは社内で激しい議論を呼び起こしますので、これは我々としても、外もそうですけれど内側でも非常に激しいディスカッションといいますか、議論が要求されますので、軽々にこの場でいつまでこれをやりますと言うと、私の首が飛んでも収まりがつかないと思いますので、きちんと社内で議論していくというのは、日本だけではなくグローバルで議論していくことに間違いはありません。
  • 茂木委員
    先ほどの社会性・公共性という話からすると、公園の問題などそういう点は大変社会性があって、色々と環境問題も含めて使えると思いますし、私自身も利用させていただいていますので、そういう良さを伸ばしていくためには、やはり一つは、先ほどの顔のぼかしというのはプライバシーの範囲だということを考えますと、どうしても個人の住宅というところは、ある面プライバシーの範囲と考えていきますと、どう見ても社会性・公共性の観点からすると、やはり説得力がないという感じがするのです。そういう点では、そこのところをむしろやめた方が、このマップの本来の良さが、より伸びていくのではないかという感じがします。
    それから、先ほど自治体の話が出ていたのですが、今は個人が申告してカットしていくという形なのですが、例えば今後この地域について全部やめてということを、行政が代表してやった場合、その区域について全部白地になるのかどうかということです。こういうことが、今後個人住宅をやっていった場合、恐らく出てくるのではという感じがします。今は個々でやったり、インターネットを使わない場合については電話でやったりという形なのですが、そのことで掲載されていること自体を知らない人たちに対する保護の問題を考えますと、これは各行政についても、そういうことを考えてくる可能性が、今後かなり出てくるのではないかという感じがします。
    先ほど、行政の問題ということについて、個々に協議すると言っていますが、ここのところはかなり丁寧に集団でどうしてくれと、例えば今後町内会が全てやった場合に、そこが白地なってくるわけです。こういうことで行った場合、本来の良さが失われるという感じがしますので、この段階で色々と考えていくと、この良さを伸ばすためには、個人の住宅のところを排除していくというのが、一番かという感じがします。今後もう少し集団化するのではないかという感じがして、そういう点でいくと、かなりそういう視点から、私はこのプライバシー問題を考えていった方が良いのではないかという感じがします。
  • 藤田氏
    そうですね。それも貴重な意見として必ずきちんと社内で共有して、今後の重要な議題の一つとさせていただきます。
  • 藤原委員
    あと一つ二つ、質問させてください。はじめに、誤解がないように再度申し上げておくと、グーグルは情報というものを提供して、情報を使った時に誰がどのような有益な利用の仕方をすることがあるかもしれなくて、そこから創造を生み出すのだというお話を実際に読みましたけれども、そのこと自体を私は高く評価したいと思います。そして、被告席でないですけれど、こういう場に真摯に出てきていただいていることも、立派だと思っています。
    ただ、それを前提としてなお申し上げたいことがあるのですけれども、先ほどデータ保護当局がないからとおっしゃったのですが、それは議論のすり替えではないですか。データ保護当局がなくてもプライバシー侵害の危険があると思えば、法務部や社内などで激論をされるべきであって、慎重に日本という国について調査をするべきであって、何もせずにやってしまって、後で考えたら、他の国には保護当局があったというのは、私には後付けとしか取れないということを申し上げておきます。保護当局があるかどうかということと、プライバシー侵害に当たることを知っていてやってよいのかどうかといったら、なお悪いのではないかという気がします。
    それから2番目ですけれども、各国バラバラになってはいけないというグローバルな観点からおっしゃいましたけれども、今のグローバル企業というのは逆で、地域の多様性を認めるという方向にいっているのではないかという気がします。プライバシーの問題というのは、当該国の文化等に既定されるわけですから、その多様性や固有性や個性というのを尊重してこそ、グローバル企業ではないかということを、私としては申し上げておきたいと思います。バラバラになるからできないということでは、やはり不安に思っている方々に対しての、きちんとした説明になっているのかという感じがします。
    三つ目ですけれども、なぜ先ほどから事前ということにこだわるのかといいますと、インターネットを見ている人以外の人の家もずっと撮られていくわけですね。インターネット見ていなかったり、サービスを利用していなかったりする人には、手続きのチャンスは恐らくないと思うのです。それはいかがなものかと思うということです。その三つは意見として聞いておいていただければ結構です。
    それから、質問ですけれども、先ほど表札や顔でも、顔がきちんと認識されたら修正します、ぼかしを入れる、周辺でもとおっしゃったのですけれども、文字どおり技術的な問題ですが、修正される前のデータは誰がどう保存しているのですか。つまり、表札を削除するわけです。削除前のデータは必ず消去されるのかということです。これは、文字どおり個人情報保護上の問題です。つまり、それがどこかに蓄積され、グーグルとして持っていたらあまり意味がないのです。
    もう一つは、これもプラスの面で、非常に創造的にも利用されると思うのですけれども、逆に、先ほど高橋会長代理からもお話があったように、住宅地域まで含めてわが国全体の色々なところの町の通りが明らかになると、誰がどう利用するかわからないというところで、メリットがたくさんあるとはもちろん思いますが、誰がどう利用するのかわからないという意味で、つまりグーグルのデータを全部持つ人が出てくる可能性があるわけです。そのグーグルのデータを持つ人が、性善説に立てないような人も持つわけです。住宅地域については特に。それについては、どうお考えなのかということを、少しお聞きしたいです。
  • 藤田氏
    最後の部分だけが質問と捉えてよいですか。
  • 藤原委員
    技術的な元データはどうしているのですか。
  • 藤田氏
    元データは保管しています
  • 藤原委員
    個人情報保護上、元データを保管しているとしたら、取扱事業者。
  • 藤田氏
    すみません。元データは削除です。削除されたということですか。削除された画像ということですか。
  • 藤原委員
    削除する前の画像は保管しているのかどうかということです。
  • 藤田氏
    保管はしていないです。
  • 藤原委員
    保有しているのかどうかということです。グーグルで、削除後も保有しているのかどうかということです。これは結構法的に大きな問題だと思います。
  • 藤田氏
    保存していないです。
  • 藤原委員
    保存していないという理解でよろしいですね。
  • 藤田氏
    はい。
  • 高橋会長代理
    今の質問は、個人情報であればということで、恐らくグーグル社としては個人情報保護法上の個人情報ではないという理解で事業を展開してこられたと推測しているのですが、この点は非常に難しいのですけれど、住宅などはプライバシーの問題は別にして、個人情報保護法上の個人情報になるかどうかというと、名前・住所がわかれば出てくるわけです。そうすると、容易に照らし合わせて判別できるということになり得るのではないかと、今のところ私自身は考えているのです。ですから、これは個人情報保護法の適用内に入ってくるのではないかと。少し難しいので、もっとよく考えてみなければいけないとは思っているのですが、差し当たってはそのような感じがしているのです。仮に、個人情報保護法が適用されるとした場合には、個人情報保護法で要求している色々なことを考慮して、それに違反しないように事業をしていっていただければいけないとなると思うのですが、その点についてどうお考えになるのか。
    例えば、第三者提供を目的とした事業ですが、その場合に、その情報を違法に取得してはいけないというのがありますよね。違法にというのは、だまして取ったりしてはいけないというのが中心になっているのかもしれないのですけれども、私自身はひょっとするとプライバシー侵害的に取得するのも違法な取得に入ってくるのではないかという懸念を持っているのです。特に、住宅地域などを相手の同意なしに映していくということで、これは違法取得に該当するかもしれないという問題が出てくるかもという気がしますし、オプトアウトするということはやっているということですから、そこはよいと思うのですけれども、そういう第三者提供を目的とした事業の場合の条件というものがありますから、それとの関連の問題も少し詰めていただいた方が良いかと思います。
    それから、先ほども少し出てきましたけれども、取った情報をどう保管していくのかということに関連して、アップデートするということがあります。正しい情報にしておくということです。何年ごとにやるのか、今回取ったのは全部、10年、20年もそのままなのか、5年ごとに更新していくという考えなのかということです。この後、家などを建て直したのに昔のまま載っているという不満が出てくるのかもしれないという気がするのです。今後はどう考えていくのでしょうか。自分は責任者でないから、そのようなことは言えないということもあるのかもしれないのですけれども、もし頭の中で考えていることや社内で議論されていることがあれば、お聞かせ願いたいということと、もう一つはこの業界のことをよく知らないので、お答えしていただけるかどうかもよくわからないのですけれども、この個人情報といいますか、この情報を提供することによって、グーグル社はどのような利益を受けていらっしゃるのかということを、もしわかれば知りたいです。これは無料で提供されているわけですよね。しかし、どこかで広告などで収入を上げなければいけないのだけれども、この情報というのは、どの程度グーグル社の利益につながり得るとお考えなのか、企業秘密ということもあるかもしれませんが、可能な範囲内で教えていただければありがたいと思います。
  • 藤原委員
    1点だけ、すみません。先ほど私が個人情報という言葉を申し上げたのは、原則的に個人情報データベースに当たるかどうかという議論が大変難しいという前提で、そうではなくて、表札や顔がわかる元データを、消されたものがインターネットで見られるけれども、グーグル社そのものが、消す前の名前が入っていたり表札が入っていたりというものを持っていったら、その話は別ですというそちらの意味ですので。いきなり、個人情報保護法上の問題だと申し上げたわけではなくて、完全に個人を認識できるものをずっと提供しているものとは別に保管していたら、別の次元の話になりますという意味で申し上げただけです。
  • 藤田氏
    高橋会長代理のご質問ですが、1点目に、ご存じのように住所を打ち込むと、もしそのまま画像が残っていれば表示されます。例えば自分の名前を打ち込んで、そこでその本人の自宅や勤め先が映ることはありません。そのようなサービスや機能は一切持っていません。
    ただ、個人情報保護法に関してやあるいはプライバシーに抵触するので、撮影すること自体が違法うんぬんの話がありましたが、これは貴重な専門家のご指摘と受け止めまして、社内で本部等を含めて今後どうするのかということをきちんと議論させていただきたいと思います。
    2番目の更新はどのくらいかということは、未定です。いつ、半年ごと、1年ごととなどというのは設けていません。ただ、わかりませんが永遠にそのまま今の画像を使うということはないと思います。それは、ある期間で更新されるのではないかと考えています。ただ、それがいつということは、この場で申し上げないというのは、別に隠しているのではなく、決まっていないというのが現状です。
    3番目にグーグルがどの程度利益を上げるのかということですが、グーグルは他のプロダクト、色々なサービスがありますが、利益を上げていないサービスがかなり多くて、ではどうして始めるのかですが、それはグーグルのカルチャーといいますか、利益を度外視してやるということもあるのです。赤字になったら存続できないのですが、創業者のラリーとサーゲイをはじめ、新しい技術で世の中を良くしていくのだという空気といいますかカルチャーがあって、とりあえずサービスを展開するという風土がありまして、今のところどうやって利益を上げるかというのは、社内で議論していません。
    これは私の個人の感じ方なのですが、もしかするとグーグルという会社の創業時が、先ほども説明しましたように、ラリーとサーゲイの博士号の研究テーマとしてこれが始まって、これでお金を儲けようという理由で始まっていなくて、その後ベンチャーキャピタルの資本を入れて、会社という形をつくりましたので、創業者2人の頭の中では、どうやって儲けるかというより、そうやってイノベーションを起こして、どうやってインターネットを通して世の中を良くしていこうという空気があるのかもしれません。
  • 高橋会長代理
    しかし写真を撮って歩くのに相当お金がかかるわけでしょう。
  • 藤田氏
    そうですね。ただではないと思います。
  • 高橋会長代理
    それに必要なお金が何らかの形で獲得しないといけない。
  • 藤田氏
    そうですね。利益の上がっているサービスからまわすという形になると思います。
  • 舟橋氏
    補足させていただきます。グーグルのサービスはなぜ無料なのかとよく聞かれるのです。必ずビジネスモデルがあって、いつかお金にするのでしょうと。私も入社する前はそう思っていたのですが、入社して一番驚いたのは、そういうものがない事業がかなりあるのです。基本的には検索が事業になっていまして、そこに入ったキーワードに連動した広告が出るというのが、ほぼただ一つのビジネスモデルです。他のまだお金につながっていないものに関しては今後の課題で、それに関してもいつどういう形でというのは全く未定というのが正直なところです。
  • 高橋会長代理
    広告収入を上げるためには、検索してくれる情報だという見通しがないとできないと思ったものですから、そういう意味で収入につながる情報だと考えられた根拠は一体何なのかということです。
  • 舟橋氏
    ですから、そのように考えているのではないのです。技術的にチャレンジングがあるかどうか。イノベーションを起こすことによって、世の中がよくなるかどうかという観点なのです。これは正直に、本当にそうです。
  • 中村委員
    今イノベーションとおっしゃったので、一言申し上げたいのですが。つまり、技術的にさらに上位のものを目指していくのは必然で、そのことによって、世の中の利便性を上げていくという説明だと思うのです。ただ、そこには受益者の側に面倒くささの排除というのが基本にあって、そしてそのために技術にイノベーションによって便利になったというある錯覚をもってしまうのではないかと思うのです。けれど、どのようなイノベーションにおいても色々付随する問題、デメリットに対する想像力がないと世の中は不安定になる。イノベーションの場合にもっとも必要なのは想像力ではないかと思うのが一つ。
    先ほど、率直に各国で対応がバラバラになってしまうのは大変だとおっしゃったのですが、まさにこれは各国事情というものを考えなければならない技術である。そこへの理解が前提ではないかと思うのです。表札一つをとっても、これは日本社会の独特な一つの表現、一つの生活形態でありますし、東京など大都市のメガシティのありよう、住居と商業、公共施設が非常に混在してあるかたち。こういうこと一つをとってもベルギーの街やアメリカの都市などと同一の基準、同一の価値観で、運営できるわけがないと思うのです。ですから、そういうことも全て含めて、これからでも、そちらとしては本社に対して、日本の社会、文化について説明責任を持たねばならないのではないかと思います。そういうものがあった上で、今度は日本の受益者たちに対する説明がきちんと用意できるのではないかと思います。最初からアメリカで発信されたイノベーション技術を一律に使うということで情報の民主主義というのは語れないのではないかと思います。
  • 藤田氏
    確かに各国事情を考慮するとおっしゃる通りだと思います。最近我々の日本代表の社長が変わったのですが、プレスに色々説明したかと思うのですが、今後は対外的な説明責任というのを、新体制の下、昨年の旧体制と違って積極的にこういった政府はもちろん、コミュニティー等へ積極的に自ら率先して活動をとっていくというのは今後していきたいと思っています。それは当然、本社等含めて他の海外とのコミュニケーションも必要ですが、この問題に関してはポリシーチームというのが社内にあるのですが、私が属している所ですが、かなりこの問題に関しては意見をいって、煙たがられていますが、日本の事情を挙げて、日本はなぜそんなリクエストが多いのだといわれるくらいしています。もちろんそれで十分だと認識していませんので、さらにもっとうるさいと思われても、社内調整というのは今後続けていきたいと思っています。
  • 舟橋氏
    少し補足させて下さい。各国事情を配慮するというのは、まさしく今後の戦略というか、そういう方針でいきたいと会社として考えています。ストリートビューに関しましても、説明するべきところは説明し、それから製品の仕様というかサービスのあり方も改善できるべきところは改善して、技術的に解決できるものもありますので、技術的にもチャレンジをしていくというのが今後の方針です。それでより多くの方にご理解をいただきたいということです。
  • 堀部会長
    いかがでしょうか。前回の11月25日と今日2月3日で当審議会としてはストリートビューについて議論しました。今日は先ほどから申し上げているように直接お話を聞いて、質問をし、意見を述べるという機会をもつことができました。これも色々な機会に言っているのですが、一昨年からこういう個人情報やプライバシーにかかわる会議などでは何かにつけて話題になってきたテーマで、そういう中で色々議論をしてきた経験からしますと、今日の各委員の発言などを踏まえて、このようなことがいえるのかなと思います。
    一つはグーグル社としてテクノロジーの発展を最大限利用して世界中の情報をデジタル化して提供していこうということで、それは一つ大変重要な意味をもつかと思います。その場合に、どうしても現行の法のコンセプト、あるいは現行法との関係というものをどう見ていくのか。これはテクノロジーの発展、そのテクノロジーをどんどん発展させていく方というのは、現在の法がどうであろうと、むしろ無視してでも、いちいちどの法律に照らしてどうなのかということを考えながら進めるということはまずないわけで、むしろ現行法に違反してでも、どんどんテクノロジーを発展させていくということがあります。例えばこれもよくいわれる例でいきますと、グーグルの検索システムを一つとりましても、日本の著作権法との関係で色々な問題があるわけですが、アメリカではフェアユースの考え方もあって、こういうことは可能だし、コンピューターも日本国内にあるわけではないから、日本の著作権法との関係では日本ではそれについて著作権法との齟齬がどうかというのが、なかなか議論できない。逆にこの検索システムがこれだけ発達して、大変便利なものを私もよく利用していますが、日本の著作権法の改正をどうするかという議論になってきています。そういう点で技術の発展と現在の意識あるいはそれに支えられている法との関係というのは常にあるわけです。でも、技術でこれだけのことができるから、現行法を無視してよいのかとなると、法的ルールとの関係で何か考えなければならないことがあるように思います。
    もう一つ、グーグル社はグローバルな企業で、そのためにどうしても特にアメリカのスタンダードを基に他の国についても色々考えていく傾向があるように思います。これは他のグローバルな企業の方と色々議論をしていても、大体どこかの特に本社機能をもっている所の国の考え方で、各国の事情などはあまり考えないで戦略を考えていくということもあるわけです。一方では、これだけ多様化している世界の中で、それぞれの文化なり考え方がある。先ほどからも出ていますように、日本の場合は特に住宅地でも表札を掲げるというのが慣行としてありまして、中には家族の名前まで全部掲げているところもあるわけです。私が生活をしたことのあるイギリスやアメリカには表札はない。ストリートの名前と番地だけで、実際に家族で生活をしてみても前に住んでいた人の手紙がどんどん来るわけです。場合によっては恐らく請求書であろうと思われるようなものも入ってきていますが、一応ポストマンにはこの人はいないからと返してきましたが、表札でその家に住んでいる人が誰であるかを、日本では非常に重視するのに対して、少なくともイギリスのロンドン市内やアメリカでもハーバードの近郊などでは全くそういうことはないということからしますと、そういうアメリカ的なスタンダードで見ていくと日本社会との軋轢は生じてくる。色々な住宅の映像について、色々な意見が日本で特に出てきたと思われるのですが、それはそういった違いがあるのではないかと思います。ローカルコンテンツを工夫することも考えられます。その辺りも今後どうしていくのかということがあります。
    そういう中で、今日の議論によってここで結論を出してどうするという話ではないのですが、今日色々意見が出ましたので、それを基に恐らくこういう形で各委員がそれぞれ良識ある観点から意見を述べる機会は非常に貴重だと思います。一つ一つは申しませんが、今日出された意見などにつきまして、グーグル社としても少しご検討いただいて、もし可能であれば、また3月にこの審議会を開きますので、何か回答をいただければと思います。特にその中で当審議会の主掌事務の範囲でいいますと、直接には東京都の個人情報保護条例なのですが、先ほどから出ています国の「個人情報の保護に関する法律」の中で、その法律に基づいて自治体が処理する事務がありますので、そういうことからしますと、ここでは単に東京都の個人情報保護条例ばかりではなくて、個人情報保護法も含めて色々議論をすることになると思います。プライバシーの問題は、色々今まで研究をしてきて知らないこともあるわけですが、個人情報保護法との関係についてこれも今日も個人情報に当たるのではないかという意見もありました。あるいは個人情報保護法の適用もあるのではないかという意見もあったわけでして、その辺りをグーグル社としてはどのように考えられるのか。個人情報保護法の適用があるとなりますと、また法律に従った措置を色々と講じていかなければならない。前回もここで出たのですが、プライバシーポリシーを見ていても、ストリートビューについては最近のものを見ていないのでわからないのですが、昨年11月の段階で見た範囲では何も触れていない。そうしますとそこはどうなるのか。それと要請があれば削除はするとなると、これも個人情報保護法23条2項のオプトアウト、これも前回ここでもオプトアウトと類似のことをやっているのではないかという議論もありました。そうなるとグーグル社自身も何か個人情報保護法の適用が一応あると観念しているようにも見えるのです。わかりません。多分、そうではないと言われると思うのですが、そうなっていくと、それぞれの規定との関係で、どうなるのかということもあろうかと思います。そういう点と、その他色々個別には質問・意見なども出ていますので、全部メモをしているわけではないのでわかりませんが、あとでまた事務局に今日の議論を整理していただきますが、それを見ていただいて、ご回答いただける点があればいただけるとよろしいのではないかと思いました。
    その他海外の状況も今日ご説明いただきました。私自身も色々な会議で話を聞いたり議論もしたりしてきています。今日はそこには触れませんが、色々な国でそれぞれの法文化といいますか、リーガルカルチャーという言い方をすることもあるのですが、そういう法文化との関係で考え方もかなり違いがあるという点が、どうしてもグーグル社のようなグローバルな企業からすると、どこまで各国の法文化を念頭においてサービスを提供するのかという辺りは恐らく先ほど言いました技術の面、グローバルな面からしますと、あまり考えずに事業を展開されるということかと思います。しかし、どうしても具体的なサービスとの関係では問題が出てきますので、ローカルローに適合する必要があります。そういう点についてもどう考えられるのかということは、ぜひご回答いただければと思いました。
    こういうことで、事務局の方でまとめをしていただいて、また連絡していただきますので、ぜひそのようにしていただければと思います。最後に、今日こうした意見の交換会を通して、さらに発言されたいこともあるかと思いますので、どうぞご発言いただきたいと思います。
  • 藤田氏
    本日はお招きいただきまして誠にありがとうございます。また、委員の皆さまから大変貴重なご意見・ご指摘を受けまして、これはきちんと社内に持ち帰って私自身もそうですが、関係各社と必ず共有させていただきたいと思います。もちろん日本だけではなくて、他国のグーグルのオフィスの者にもこれはきちんと連絡をさせていただきます。堀部会長はじめ中村委員もご指摘になりましたが、地域に根ざすといいますか、各国事情を考えるというのはリーガルカルチャーに対する我々の判断といいますか、考え方が少し足りなかったのではないかと私個人は思っています。
    グーグルという会社は、私もエンジニアではないのですが、エンジニアが非常にスターというか中心の会社で、新しい技術をどんどん開発していってそれを世に出していく。リーガルとか倫理はチェックしないわけではないのですが、それほど最優先事項ではない。イノベーションが第一ということがあったかと思います。そうは言っても創立10年を超えて20年目にいくという大人の会社といいますか、もっと成熟した会社としての振る舞いというか言動が今後は求められていくのではないかと思っています。そういった面で彼とか私のようなエンジニアではない人間が、こういった外の関係者の皆様とコミュニケーションをとりながら、どうしたら各国の地域に根付いて受け入れられるのか、法律のみならず文化や習慣を敏感に感じとって、それを社内に共有して事業を運営していかなければならない。同時に、エンジニアはどうしてそういうことをやらなければいけないのか。イノベーション、イノベーションなのですけれども、社内調整も同様に非常に多大なエネルギーと時間を要するのですが、これは成熟した会社、大人としての会社に向けての一里塚といいますか、超えなければならないハードルだと思っています。機会があれば我々はオープンにして、ご質問やご意見があればいつでも参りますので、よろしくお願いできればと思っています。本日はどうもありがとうございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。舟橋さん、広報担当として何か一言お願いします。
  • 舟橋氏
    本日はこういう機会を与えていただいて本当にありがたく思っています。今後もグーグルの考え方を皆さまにより深く正しくご理解いただくために、積極的にこういう場に出席して、色々なご説明を差し上げたいと思いますので、またぜひ機会をいただければと思います。
    先ほどエンジニアが強くてリーガルが甘いという話がありましたが、そんなことは決してありません。強力なリーガル部隊がおります。しかし、各国の事情、文化、風習などを考えると、各国でサービスを展開していく上で、それだけでは不十分だということが明らかになりつつあるのかなと感じています。その辺は、今後グローバル企業として、しっかり強化していかなければならない点だと思っています。ありがとうございました。
  • 堀部会長
    本日は直接お話をうかがうことができたことは、当審議会としては最大の成果でした。今、藤田さん、舟橋さんからそれぞれご発言がありましたが、こういう意見交換の機会をできるだけもって、お互いに理解し合うということが大変重要であるということが、はっきりしたのではないかと思います。先ほども言いましたように、当審議会は3月に開催を予定していますので、どういう形になるのか事務局と相談してご連絡しますが、先ほど言いましたように今日の問題を整理してみて何かお答えいただける面があればまたおいでいただくか、その辺りはまた事務局と相談をして考えてみたいと思います。
    ということで、本日は大変お忙しいところをおいでいただきまして、ありがとうございました。当審議会は、これからもこの種の議論を色々していくことになると思いますので、その際にも具体的事例との関係で、このような形で議論が進められれば大変よろしいかと思います。そろそろ終了予定時刻にもなってきました。最後に、事務局から何かありますか。
  • 萩原参事(都政情報担当)
    本日は本当に活発なご議論をいただきましてありがとうございました。委員の皆さま、そしてグーグル社の舟橋さん、藤田さんに御礼を申し上げます。会長がおっしゃいましたように、次回は3月中旬ということで、審議会の開催を予定しています。詳細については別途、具体的日程を相談してまいります。本日はありがとうございました。
  • 堀部会長
    それでは、以上をもちまして、本日の審議会は終了します。どうもありがとうございました。

16時55分閉会

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