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平成29年(2017年)2月6日更新

情報公開・個人情報保護審議会(第44回議事録)

第44回東京都情報公開・個人情報保護審議会議事録

平成22年5月19日(水曜日)
東京都庁第一本庁舎42階 特別会議室B

9時59分開会

  • 堀部会長
    おはようございます。
    ただいまから東京都情報公開・個人情報保護審議会の第44回会合を開催させていただきます。お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
    本日は、秋元委員がご欠席との連絡が入っております。
    まず、高橋参事から人事異動につきましてご紹介いただきたいと思います。
  • 高橋参事
    それでは、座ったまま失礼させていただきます。
    本年4月の人事異動によりまして、私ども事務局職員の交代がございましたのでご紹介をいたします。
    個人情報係長の土居でございます。
  • 土居個人情報係長
    土居でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
  • 高橋参事
    次に、情報公開担当係長の山口でございます。
  • 山口情報公開担当係長
    山口でございます。よろしくお願いいたします。
  • 高橋参事
    以上でございます。よろしくお願いいたします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは、本日の議事に入らせていただきます。審議事項の現行の情報公開制度における運用上の諸問題についてということでありまして、これにつきましてまず北原課長から説明をお願いいたします。
  • 北原情報公開課長
    それでは、私から説明させていただきます。
    前回の審議会で、「現行の情報公開制度における運用上の諸問題について」を審議会でご審議いただきたく、事務局より提案させていただきましてご了承いただきました。その際、本来ならば各委員の先生方のご意見、ご感想をいただくことを予定しておりましたが、時間の都合上できませんでした。そこで、本日は具体的な審議に入る前に、ここで再度簡単に前回配付資料をご覧いただきながら全体について説明しまして、その後、各委員の先生方のご意見、ご感想を頂戴したいと考えております。
    それでは、お手元の緑色のファイルに綴ってございます第43回と書かれました赤色のインデックス、このページをお開きください。43回と書いてありますものでございます。
    1枚おめくりいただきまして、資料7をご覧ください。
    前回の審議会では、事務局のほうから問題点として4点挙げさせていただきました。まず、問題点の1としましては、営利目的請求の急増を挙げさせていただいております。この問題につきましては、後でより詳細にご説明をさせていただきたいと思いますけれども、ここでは簡単に触れさせていただきます。
    (1)の東京都の現状でございますけれども、2枚おめくりいただきまして別紙1をご覧ください。
    こちらは、現行条例施行後の開示請求者別の決定件数の推移、これを表わしたグラフでございます。2)の都内に事務所または事業所を有する個人及び法人その他の団体、こちらからの開示請求が平成12年度には全体の約2割に止まっておりましたが、その割合が年々増加しておりまして、昨年末では約6割を占めるまでになっている、これを前回の審議会で報告させていただきました。その後、今年に入りましてもこの傾向はさらに強まっております。
    次に、1枚おめくりいただきまして別紙2をご覧ください。
    こちらは、現行条例施行後の内容別決定件数上位5位の推移を表わした表でございます。下の段には、参考としまして平成4年度から11年度までの上位3位のものを挙げてございます。上段の表を見ますと、平成19年度ころから特に工事設計書、この開示請求が目立つようになっておりまして、全体に占める割合も非常に高くなってきていることがわかります。平成21年度に入ってからは特にこの傾向が顕著となっておりまして、昨年12月末には約3割となっておりますが、この後もさらに増えておりまして、結局平成21年度全体では約4割を占めるに至っております。こちらのほうも後ほど最新の資料をご覧いただきながらご説明いたします。
    営利目的での請求と思われる開示請求、この割合、近年において高くなってきておりますが、このような開示請求によって取得された文書がどのように使われているかにつきまして、予想される使い方を簡単に説明したものが3枚ほど戻りまして、資料7の本文の丸の3つ目にございます。こちらにつきましても、後ほど対象公文書となったものをご覧いただきながら説明をさせていただきます。
    次に、(2)の他の自治体の対策例でございますけれども、営利目的請求の増加急増に対する他の自治体の対策例を幾つかご紹介させていただきました。他の自治体では、手数料の導入、他の法令での対応への移行といった対応策がありますが、別紙3にありますように、これは横須賀市の例でございますけれども、条例を改正しまして、商用利用の禁止規定を導入した自治体もございます。この点につきましても、後ほど営利目的請求を区別して扱っている自治体の例を、区別の基準ごとに分けて報告させていただきます。
    次に、2つ目の問題点といたしまして、権利濫用的請求の問題がございます。東京都の現状といたしましては、例えば大量の開示請求を行っておきながら開示を受けず、手数料も支払わないまま別の開示請求を行う例とか、主に主務課の業務の遂行の妨害や、職員等特定の個人を攻撃することなどを目的として、繰り返し同様の開示請求を行うなどの例が見られます。この結果、主務課の業務に支障が生じている場合もございます。この問題につきまして、他の自治体の対策例としましては、条例に直接権利濫用禁止規定を置いている自治体があるほか、要綱や基準等で権利濫用的請求に対する処理基準を設けている自治体もございます。神奈川県の例を挙げさせていただいております。
    3つ目の問題点としまして、開示手数料の問題を挙げております。東京都の現状でございますが、別紙6に東京都情報公開事務取扱要綱の別表を掲げてあります。現在、東京都では、閲覧の場合の手数料、閲覧手数料でございますけれども、閲覧手数料といたしまして、文書であれば1枚につき10円、1件名につき100円を限度に徴収しております。このほかに、写しの交付が必要な場合には、閲覧の場合の手数料の額に加えて、単色刷り文書であれば写し1枚につき20円の写しの交付の手数料、これを徴収することとしております。
    この手数料の額は、旧条例の全面改正を検討するために、平成9年に設置されました「東京都における情報公開制度のあり方に関する懇談会」、ここで金額の引き下げが提言されましたので、その後の条例改正において現行の金額となっております。手数料に関する他の自治体の例でございますが、現在では、東京都以外の道府県では、香川県のみが閲覧の場合の手数料を徴収しております。
    なお、香川県では、手数料につきましては、公益等の減免制度を設けている点で、東京都とは運用上の取扱いが異なっております。
    一方、市町村では、制度開始当初から手数料を徴収している自治体も多くありますが、その中でも一律に手数料を徴収する場合と、営利目的と非営利目的の請求の場合を区別して手数料を徴収している自治体もございます。その主な例を別紙8としてまとめてございます。
    最後に、4といたしまして、情報技術の進歩への対応等という問題を挙げさせていただきました。
    東京都の現状では、現行の情報公開制度が情報技術の進歩に十分に対応しきれていない点が見られます。例えば現在、文書をスキャナー等で読み取って電子情報化するということが技術的には可能でございますが、東京都の現在の条例等の規定では、この方法による開示には対応できていません。また、電子情報の開示請求が今後も増加することが予想される中、電子情報から非開示情報を取り除く作業が膨大になるという問題、さらに技術的な問題から非開示情報を取り除く作業を外部に委託する場合、現在の東京都の規定では、この作業を委託するための費用を開示請求者に請求できませんので、費用の公平な負担を求めることができないという問題などがございます。大阪府の取組例を挙げさせていただいております。
    以上、簡単ではございますが、問題点の全体につきまして前回の審議会で説明させていただいた中で重要な事項を再度ご報告させていただきました。
    以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    先ほど、ご説明ありましたように、前回時間の関係でそれぞれご意見を伺うことができませんでしたので、まずは今の説明、前回もしていただいていますけれども、これにつきましてどのようにお考えか、各委員から簡単にご発言いただければと思いますが、座っている順番で、相馬委員からお願いできますか。
  • 相馬委員
    おはようございます。相馬です。それでは、感想めいたところになると思うんですけれども、お話をさせていただきたいと思います。
    今の運用上の諸問題については認識をしました。営利目的の請求のところについては、実態として年々その割合が増えているということでありますので、これに対応するためにというところをどう考えていくのかということだと思います。
    したがって、他の自治体の対策例のところで、この営利目的請求のところに対して手数料を取るということが、実際に対策ということになるのかどうなのかということは、若干クエスチョンなところが実はありますけれども、要するに膨大な量に対して手数料を取ることが的確な対応なのかということはあるんだと思いますけれども、ただ、営利目的ということでも公開を求められているので、それに見合った対価を一定程度手数料を取ることによって対応しているということだと思いますので、無条件に何でもかんでも全部閲覧をさせるということにはならないということでの歯どめ的なところでの対応ということになっているのではないかと、こういうふうには思います。
    それと、あと権利の濫用とかの場合ですけれども、ここもそういう意味では担当の主務課の業務の方たちに対して、非常に迷惑なりがこうむられているということだと思いますので、ここについては一定程度の規定なりを設けることによって濫用防止という観点で対応できるのではないかという感じで受けとめました。
    あと、開示の手数料のところなんですけれども、これはこの間の論議経過があって、前の平成12年のときに全面改正をしているということになりますので、それとの関係から今回どうしていくのかというところについて、その議論経過を踏まえてどうするのかという立場で論議は必要なのかなと、実態もあるんですけれども、踏まえたところは必要なのかなというふうに思います。
    それと、情報技術の進歩への対応ですけれども、今の時代の流れの中で、確かに電子媒体を使わないということにはなり得ないと思うので、一定程度経費負担は発生はすると思いますが、地方自治体の行政のサービスとしてこれに取り組む方向で検討は必要なのではないかなと。要するに、都民のニーズとしてそういうものがあるということであれば一定程度考えていくべきものなのかなという感じでちょっと受けとめました。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは、藤原委員、いかがでしょうか。
  • 藤原委員
    藤原です。それでは、意見を申し上げます。
    この資料7にございます営利目的請求の急増、権利濫用的請求、それから開示手数料、ひょっとすると4番目の情報技術の進歩への対応策、これはすべて別々のものというよりは相互に関連したものだと思います。特に最初の3つは、まさしく三位一体の議論になるのかなと思っています。
    まず、手数料と営利目的請求が増えているということですけれども、順番3番の手数料から申し上げますけれども、国でも東京都でも手数料規定を議論したときには民主主義のコスト論というのが出まして、コストは無料であるべきだという議論と、もう一つの議論というか、私の考えによれば責任ある民主主義というのか、何でもコストを無料にすればいいというものではないのではないかという、2つの議論の対立軸があったんだと思います。そこでコスト論のほうが、無料だというコスト論のほうが強かったということだと思います。ただ、私自身は、一定の金額で減免制度等をきちんと使えば、やっぱりどんな制度を運用するにもコストはかかりますから、応分の負担はあってしかるべきではないかと考えています。
    それで、2番の営利目的とそうでないものですけれども、これだけ営利目的が増えてくると議論の必要がある。営利目的で使うこと自体はマイナスに評価する必要はないと思っています。というのは、何か新しい工夫をして行政が持っている財産を使って、それをビジネスにだれよりも早く利用したからといって、そのことをいたずらに責めるべきものではないと思っています。ただ、それでビジネスをしている以上は何らかの対価はきちんと払うと。つまり、都民が行政に情報を渡したり、あるいは都が情報を収集して結果的にビジネスに利用されることは結構ですけれども、コストがかかっているわけですから、当初からビジネスの補助としてやっているわけではないと思いますし、都に届け出をする人たちもそういうふうに使ってもらおうと思ってやっているわけではありませんから、そこのところに何らかの対価を求めるというのはあってしかるべきかなと思います。
    それから、そういうもので一律にもし手数料を取ると、今度は普通の説明責任を求めるための開示請求と区別がつくのかとか、それが阻害されるのではないかという議論がありますけれども、その権利行使を阻害するほどの値段には実は私はなっていないと思うんです。もし経済的な理由等で阻害されるのであれば、それはやっぱり経済減免をもっときちんと周知徹底して利用してもらうべきですし、さらに言えば、やっぱり公益減免ということを考えてもいいんだろうと思います。手数料のところですけれども、公益減免のことを言い出すと、実現可能性とか技術論が必ず審議会の席等では行政の側からも出るんですけれども、制度全体の最適ということから考えれば、できないと言っていたり、100%例外があってはいけないと言っているんではなくて、こういう制度を導入したほうがいいのか、今のままのほうがいいのかという観点から公益減免を考えたほうが私はいいのではないかと思っています。
    それから、濫用的請求ですけれども、この濫用的請求につきましては、結果的にいわゆる濫用的となるものが、まずすべて別に濫用的ではないんだということはきちんと押さえておかないと、利用者に対しても不満を抱かせることになると思います。つまり、たまたま多くの部署に分散しているとか、たまたま当該文書が量が多いといったような、いわゆる大量請求を濫用というのはおかしいですね。たまたまというのは。しかし、本当にここに書いてあるような権利濫用的なものは何らかの対処が必要なんだろうと思っています。つまり濫用と言っているけれども、濫用の実態を分析して本当に濫用的なものについては何らかの対処が必要なのではないかということです。
    例えば、外国の立法ありますけれども、比較的経験に基づいて合理的だなと思うのは、諸外国よりおくれてできたイギリスの情報公開法なんかだと、繰り返し請求なんかでも、合理的期間内でないのにまた繰り返しに来た場合には何らかの対処をするとか、そういった例もありますので少し調べてみてもいいのかなという、濫用は中身を調べてやっぱり対処すべきものには対処するということだろうと思うということです。
    それから、最後、技術的対応ですけれども、これは既に相馬委員のほうからもご意見があったように、IT社会なんですからこれはきちんと対応して、対応した上でもし手数料が必要であるならば負担のことを考えるべきで、費用のコスト論が情報技術の進歩への対応のときに先に来るよりは、都民への便宜のために情報化社会で当然請求されるであろうことには対応しておくという、その対応のほうが重要だと思います。
    以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    次に岡部委員、お願いします。
  • 岡部委員
    これから何回か議論を深めていく段階でございますんですが、少しまだ私どもも意見集約を綿密に行ったわけではありませんので、感想めいたことで幾つか、課題で掲げられたものについて申し上げたいと思いますが、1つは営利目的請求への対応につきましてです。
    これで特に営利目的、商用といいますか、ビジネスですね、商用利用、こういうことに対しての、これはお考えになっているとは思いませんが、商用利用を最終的に禁止をされるとか、そういうことはお考えになっていないと思いますが、これには私ども原則として基本的に反対したいと思っております。やはり一般の都民の生活者の観点からすれば多少わからないわけではないんですが、私たまたま経済団体に身を置いておりますけれども、企業、法人もある意味での東京都の経済活動に大いに協力、貢献している組織体でございますし、そういう法人や会社、企業がこの情報公開制度をある意味でビジネスとして利用して、結果、東京の経済の活性化に貢献しているのではないかと思いますので、一方的、万が一そういう禁止ということでないようにぜひお願いしたいなと思っております。
    先ほど藤原先生からもお話がございましたが、東京都でも59年から営々情報公開を定着されておられまして、公開から既に活用の段階に入っているということでございまして、大いにある意味で活用されておるわけでございますから、ぜひこの審議会の中でもイギリスなどの精神的な活用方策というんでしょうか、そういうものもいいところはぜひ取り入れていっていただければよろしいんではないかと思います。そういう形で営利目的請求への拡大に対するさまざまな検討を深めていただければありがたいと思っております。
    それから、2番目は、権利濫用的請求への対応でございます。これについては権利濫用、いろいろ実態面ではご説明でわかりますが、判断基準もいろいろあろうかと思います。窓口での判断基準、権利濫用か否かということ、そこら辺は十分経験則を踏まえていただいて、多少判断基準をもう少し精緻に示していただくような検討も必要かなと思っております。窓口での対応に資するようなマニュアル化のようなものが将来できればいいかなと考えております。もちろん公平性とか公正性とか、そういう業績化を行うものでございますから、そういうものを十分に考えながらおやりいただかなきゃいけないかなと思っております。
    それから、3番目に開示手数料でございますけれども、これは受益者負担ということで、これは当然ではないかなと思っております。必要な行政コストがかかるわけでございますから、これに対して受益者負担を求めていくというのは原則必要なことであろうかと思っておりますが、これも私どもまだ十分調べたわけではございませんが、アメリカなどには先進的な事例があるようでございまして、例えば報道や学術に使うものについては何か原則は受益者負担ですが、助成金制度がある、減免措置というんでしょうか、そういうものがあるように聞いておりまして、そういうもので商用と報道、学術、その他といういわゆる都民生活にかかわるものとか、そんなようなもので利便を付加していくという考えもあるのかなというふうには、今考えておるところでございます。またご議論、協議の中で考えていただければよろしいんではないかと思っております。
    それから、4番目の情報技術の進歩への対応ですが、これは先ほどご説明ございましたように、これだけ膨大な公開対象の情報をいかにネット、インターネットが進んでいるとはいえ一気にインターネットへ、IT化へ移行するというのはなかなか大変だろうかと思っておりますし、それは十分理解しておりますが、ただ、そうはいいましても課題であることは間違いないということでございます。この方面も引き続きどの程度が現実的に可能かということは、ウェブ上での公開を引き続き検討いただきたいと、文書の電子化も含めましてお願いしたいと思っております。
    以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    では、中村委員、お願いします。
  • 中村委員
    大まかにまとめられた各点について、これから個別に検討されていくと思いますので、私は最初の一番である営利目的の問題であるとか、濫用的な請求とか、そういうところに絞って考えを述べたいと思います。今伺っておりますと、営利目的がはっきりしている請求、つまりそれがビジネスに使われているという問題についてかなりご理解が示されたように思いますが、私は、この営利目的請求というのが果たして適正な公文書の使用であるのかどうかと疑問を持っていたものですから、まだそこまでビジネス使用という問題にそう理解を示しているものではないわけです。
    そしてこの急増という問題一つ考えてみましても、その業界において、これが非常にいいツールである、その公文書が、非常に安く、利を上げることのできるビジネスツールになっている。この急増の数字が示しているもう一つの面ではないかと思うわけです。そうすると、それが適正な公開制度の利用に合うものなのかどうか、私はやはり疑問に思うわけです。それで、ですからこの先、どういう形で使われているのか、もっと分析といいますか、実態を知りたいと思うわけなんです。
    そして、先ほどおっしゃられたように、みんなこれは三位一体化している問題ですから同じですけれども、権利濫用の請求や、繰り返し同種の請求というのもこの権利濫用のほうにかかっているのかもしれませんが、これについてもやはりもっとどのような実態であるのか、窓口ではどのようにそれに対応しているのかということを知りたいと思います。
    つまり、この条例の第4条にある適正な請求及び使用という、ベーシックな理念にこれらの問題というのはどのように引っかかるのか、つまり今まで第4条にのっとった請求の吟味というものはどのように行われたのか、不適正というふうに判断して退けた請求というのはあるのかどうかというようなことなども含めまして、もう少しこれらの問題を検討していきたいというふうに思います。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは、高橋委員、いかがでしょうか。
  • 高橋会長代理
    既に皆さんがおっしゃったことに尽きるかなという感じがしておりますけれども、簡単に私の感想を述べさせていただきたいと思います。
    最初の営利目的請求の問題なんですけれども、これはデモクラシーのコストと利用者負担のバランスの問題かなと思っております。営利目的と思われるものが非常に増えてきているとすれば、利用者負担ということは、少し従来より重く見てもいいんではないかなという議論になるかなと思うんですけれども、ただ、問題は従来の考え方、目的を問わないということであったわけですね。デモクラシーのコストということを非常に強調した考え方で来たんですが、目的を問うという形にするのが技術的にどうなのかということが一つありますね。営利目的かどうかというのはどうやって判断するんだろうかと。
    ですから、仮に営利目的の場合に利用者負担をもう少し考えたらどうかということにしても、営利目的かどうかという形でアプローチするよりは、そうじゃない何かカテゴリーを決めて、そのカテゴリーの場合は手数料を変えるというような方法のほうが無難なのかもしれないと思ったりしています。どういうふうにやるのがいいのかちょっとわからないですけれども、これからの議論で、仮に営利目的というのでかなりきちんと判断できるということであれば、それはそれでいいかなと思いますけれども、ただ、その前提として、現在営利目的が増えている、非常に困っているということなんですが、コストの問題とすればどの程度コストが増えているのか、つまりデモクラシーのコストとしてもう耐えられないところまで行っているのか、推計で結構ですので、どのくらい事務負担が増えて、それは金銭に環元すればこのくらいの大きさになってきているんだということがわかれば、その額を見て、これではちょっとデモクラシーのコストと言っているわけにはいかないなということになるのか、それともこの程度はやっぱりデモクラシーのコストとしてまだ考えていくべきではないか、どっちなのかということですね。そこのところをもう少し知りたいという気がいたします。それが第1点の感想ですね。
    それから、権利濫用のところですね。これは、何か事務的な工夫ができないのかなという感じも持っております。例えば、請求しておきながら全然もらいに来ないというようなものを、請求した分については準備したのですから、何らかの形で手数料は取れないのか。手数料を取るコストのほうが高くなっちゃうということはあるのかもしれませんけれども、しかし、一罰百戒みたいなところがありますから、どんな少ないのでもきちんと取りますよということを示すほうが、長期的に見ればいいのかもしれないと思ったりするものですから、何かそういうやり方で工夫できないのかなという気はします。
    しかし、それでも恐らく権利濫用的なものが根絶できるということではないのかと思いますので、明らかにこれは権利濫用的なものであるということが窓口で判断できるような場合には、それに対応できる根拠規定はあったほうがいいのかなという気がします。正当な請求じゃなきゃいけないというのはモラルとしてそれはそのとおりなんだけれども、正当な請求じゃないと判断した場合にどういう対応ができるかという場合、対応に関する根拠規定というものを考えておいたほうがいいかなという感じがいたします。
    それから、3番目の開示手数料なんですけれども、これは先ほど1のところで言ったことと関連しているんですけれども、この利用者負担ということでどうしても負担してもらったほうがいいということになれば、何らかの負担増というのを考えてもいいかなと思っていますけれども、それはもう少しどの程度の負担になっているかということがわかってから考えてみたいと思っております。
    それから、4番目ですけれども、これは私もできるだけデジタル化する形でやっていくべきだろうと思います。文書で残しておけば、これはスペースもとりますし、長期的に考えれば、デジタル化して必要な情報は保存していくという方向で考えたほうがいいんではないか。技術が発達したのでそれほどコストはかからない、スキャンしてデジタル化するのにそれほど膨大なコストがかかるという気はしない。ここら辺も私は素人でどの程度現実にかかるのかというのはわかりませんから、そういったあたりを多少資料を示してもらえば判断しやすくなるかなと思うんですけれども、非開示情報を削除する、作業量が膨大になるということなんですが、これは別に紙情報でも同じだと思うんですよね。デジタル化しておいて請求があったときにそこから不必要なものを排除するのと、紙情報で請求があったときにマジックで消すのとどっちが膨大な作業量になるかといったら、むしろデジタル化のほうが早く簡単にできるのかもしれないという、慣れちゃえばですね、という気もするものですから、このあたりももう少しそういう対応をするとどのくらいお金がかかるかということを推計で結構ですので、示していただけると考えるのに非常に参考になるかなと思いました。
    簡単ですけれども、以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それぞれ貴重なご意見をお述べいただきました。これは前回こういう形でご意見をお出しいただいて、それを今回少しずつ検討していこうということだったのですが、時間の関係でできなかったものですから今回の最初にお話しいただきました。それぞれのご意見は、今後の検討の中でどのようにしていくかということでそれをどうするか考えていくことにしたいと思います。
    そこで、今後、具体的にどういうふうに検討していくのかという進め方をこのあたりで事務局から説明していただいて、きょうはそのうちの営利的請求、商業目的の請求の実態といいますか、実際にどういう文書の請求が増えてきているのかというようなことをお話しいただいて、それについて議論をしていくという、今後の検討の予定も含めまして、北原課長から説明をお願いいたします。
  • 北原情報公開課長
    今後の具体的な進め方についてでございますが、事務局より提案させていただきます。
    まず、検討スケジュールでございますけれども、お手元のファイル、第44回とインデックスに赤で書いてありますけれども、この中の綴ってあります資料1、これをご覧ください。前回の2月の審議会では、全体について現状を報告させていただきまして、そして本日は、ただいま総括のご意見等を伺ったところでございますけれども、この後、営利目的請求の急増につきまして具体的な検討に入っていただければと考えております。次回の7月にもう一度同じ議題についてご検討いただきます。その後、権利濫用的請求についてを9月に1回、11月と来年1月の2回で開示手数料につきましてご検討いただければと考えております。そして最後に、情報技術の進展への対応等、これを1回ご検討いただきまして、その上で5月に総括審議ができればと考えております。
    以上はあくまでも現段階の予定でございますので、審議を進めていくに当たりまして、新たに検討課題等が生じた場合には、その都度審議会にお諮りしまして進めていきたいと思っています。柔軟に対応させていただきたいと考えておりますので、お願いいたします。
    それから、審議会の運営についてでございますけれども、こちらは資料2をご覧ください。これは第1回の当審議会において申し合わせをした事項の記録でございます。
    1にございますとおり、審議会の会議は原則公開となっておりますが、審議会が特に必要と認めたときには非公開とすることができることになっております。今回の審議事項について全体的な検討を進めていくに当たりまして、個人を特定できるような資料とか情報、こういったものの提供が不可欠となる場合もあるかと思われますので、今後そのような際には申し合わせ事項の4、プライバシーの保護、この趣旨も踏まえまして審議会のご判断によりまして非公開とする場合もあるということをご確認させていただきたいと思います。
    以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    それでは、ただいまの北原課長の説明につきまして、何かご発言あればお願いいたします。
    中村委員、どうぞ。
  • 中村委員
    先ほどの続きになりますが、第4条の文言に私いつもこだわるんですが、ここでの運用については不適正な請求や、権利濫用には一般法理により対処すると書いてあるんですが、法学者の方々はどう考えられるのか、こういうところで権利濫用の一般法理により対処するとはどう対処できるものなのか、今まではそういうことは考えられたのかどうかちょっと伺いたいんです。いずれ後ででも。
  • 堀部会長
    そうですか。東京都の条例の一つの特色はこの第4条です。ほかはこういう形の規定の仕方よりは、開示された情報の適正使用というところですけれども、東京都の条例はこういう形でまず請求についても適正な請求、こういう規定の仕方をしているところが特色です。
    この種の議論をするときには、本当にこれが実効性あるのかというところがいつも問題になりまして、実効性という点では実際にはなかなか難しいだろうと思います。訓示的なというか、そういうものとして規定しておいて、何らかの歯どめになればというようなところなのですね。こういう規定を設けるか、設けないかというのもいろいろなところで議論がありまして、そういう訓示的や精神的な規定を条例なり法律に定めても、それを担保する手段がないのであれば、そういうことを設けないで一般法理といいますか、この法の世界、人間社会の中で権利の濫用はしてはならないというのは、人類共通の原理としてあるのではないか、そういうものがあるのだから、何か問題があればそういった一般法理に戻って判断すればよいので、一つ一つについて規定しておく必要はないのではないかということで、その種の規定は一切設けないというのもあります。例えば、現行の国の情報公開法はその種の規定は一切設けていないのですね。そのときには一般法理で対応すればいいのではないかというようなところがあります。
    これも後でまた出てくる大量請求などについてもそうなのですけれども、これも最初は大量請求ということで随分議論はしたのですが、それよりも請求する対象の分量が多い場合には、それを分けて対応するというような形で規定を設けるというようにしたりとかということで、それも大量請求というような表現はできるだけ用いないで規定するというようなやり方をしてきているのもあるわけですね。
    もともとそういう発想で来ていたかと思うのですが、実際に運用してみると、これからも特に営利目的と思われるものについてご説明いただきますが、かなりなものが出てきています。そうすると、これは第4条の適正な請求との関係もありますけれども、東京都も前文がありますし、第1条の目的との関係はどうなるのかというようなことも議論になっていくところでありまして、そのあたりにつきましては、またそれぞれのところで関連してご議論いただくということになろうかと思います。
    ということで、とりあえずはよろしいでしょうか。いずれも大変難しい問題で、どういうふうにまとめていくのかというのは、これからの議論になっていくところだろうと思います。
  • 中村委員
    つまり、窓口が一番の直接的な請求者との接触面だと思いますが、そういうところでの一般法理による抑止力というのはなかなか難しいと。
  • 堀部会長
    それは、実際には非常に難しいのではないでしょうか。先ほど例えば大量請求についても、これは権利の濫用だというようなことでどうするかというので神奈川県の例も出てきましたけれども、これも条例を変えたわけではなくて、実際にはこういう形で対応してみたらどうかということになりました。東京都でいいます審議会のほうの意見で、そういうもので現在は対応しているというようなところもありまして、また後でそれぞれの問題について、他の自治体の例などを事務局で調べていただいていますので、それをまた出していただいて、そういう考え方との比較でどうするかということも出てくるかと思います。いろいろなところでどう対応するのかというのは議論があるところです。これですべてうまく行くというところまでなかなかいかないのではないか。
    どうぞ、高橋参事。
  • 高橋参事
    中村先生のほうから窓口現場での対応という話がございましたので、東京都の窓口における具体的な対応をちょっとご紹介させていただきます。中村先生はこの4条を根拠にその請求を却下できる場合があるのではないかというお話かもしれませんけれども、この具体的な、この4条を根拠にして明らかに、あるいはひょっとしたら権利濫用的請求になるんではないかというような請求を受けた場合に、請求を却下して開示をいたしませんということにした例は、少なくとも私が知っている範囲ではございません。先ほど、堀部会長からもご説明いただきましたが、これはやはり訓示的な、精神的な規定というような受けとめ方を私ども実務の現場でもしてございます。
    以上でございます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    ということで、具体的な事例との関係でまたいろいろご発言いただいて、どういうふうにまとめていくのか、意見のまとまり方によっては条例改正ということにもなっていくかもしれません。それはこれからの審議の状況によって決まっていきますので、とりあえずスケジュールと、それから原則公開の会議ですが、例えば権利濫用でどういうふうに出てくるかわかりませんけれども、具体的にどういう方というか、具体的に名前までは出てこないと思いますが、プライバシーにかかわるようなことが出てくるとなると、非公開ということで進めたほうがいいのではないかということになりますので、そのときの議題に応じて、公開、非公開についてはまた審議会として判断して進める、こういうふうにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
    それでは、本日の具体的な審議事項にこれから入るということになりますが、それが営利目的請求の急増についてということでありまして、これにつきましてまず北原課長から説明をお願いいたします。
  • 北原情報公開課長
    それでは、私のほうから本日の審議事項であります営利目的請求急増について、資料をご覧いただきながら説明をさせていただきます。
    先ほどの前回審議会の問題点についての全体説明の中でご報告させていただいた部分と、一部重複する部分があるかと思いますけれども、ご了承ください。資料3をご覧ください。1の営利目的請求についての東京都の状況をご説明いたします。
    まず、東京都が情報公開制度を開始いたしました直後の状況をご説明いたします。昭和60年4月に、東京都公文書の開示等に関する条例が施行されまして、東京都の情報公開制度が開始されました。昭和60年度から62年度の3カ年分の請求状況につきまして、開示請求書に書かれてある利用目的と請求された公文書の内容、これを手掛かりにして分析したものでございまして、これは各年度の年次報告書に記録として残っておりました。ご覧いただいておりますとおり、制度開始当初は、営利目的請求は全体の10%前後でございました。
    次に、(2)の近年の状況についてご説明いたします。別紙1のほうをご覧ください。2枚ほどおめくりいただきまして、別紙1のほうをご覧ください。
    先ほどもこれについては説明させていただきましたけれども、請求者別に見ましても、2)のいわゆる事業者による開示請求が増えておりまして、平成21年度の速報値では全体の約6割となっております。
    次に、別紙2のほうをご覧ください。こちらも前回の審議会で配付しました資料に最新の状況を反映させたものでございます。本年の1月以降も工事設計書を初めとしまして営利目的請求が増え続けておりまして、3月末までの1年間の速報値としまして、工事設計書の割合が前年度比の2倍以上となっておりまして、全体でも約4割となっております。
    網かけがかかっております部分は、主として営利目的で請求しているものでございますが、平成21年度は上位5位までを営利目的請求が占めまして、また、この上位5位までで全体の過半数を超えるに至っております。平成21年度に上位5位に入っているものの中には、食品営業許可台帳のように比較的以前から上位に入っているものもございますが、近年になって急増しているものもございます。特に工事設計書につきましては、別紙3に書いてありますけれども、別紙3に各局別に請求件数、この3カ年分の推移を表わした表でございますけれども、平成19年度から経年で見ても、特に建設局の保有する文書の開示請求件数の割合が増えてきていることがわかると思います。
    資料3の本文にお戻りいただきまして、2の東京都における主な営利目的請求の例についてご説明させていただきます。
    平成21年度の速報値で上位5位に入っている文書の内容の説明と、それから対象公文書の事例、それをそれぞれ添付させていただいております。まず(1)の工事設計書についてご説明いたします。お手数ですが別紙4をご覧ください。
    別紙4として添付しましたのは、建設局道路管理部の保全課、ここで実際に開示請求を受けたことのある橋の耐震補強工事、これに関する工事設計書類一式でございます。統計上、工事設計書というふうに言っておりますけれども、別紙4の1枚目の3にございますように、工事の設計に関する書類全体を指しておりまして、一般的にはこれらをワンセットとしまして開示請求されていることが多いようでございます。ただ、これらの書類の一部が請求されたり、これらのほかに工事に関する図面類、これなども併せて請求されたりすることもございます。このために、1回の開示請求により開示される文書の枚数、これは少ないもので数枚、多いものでは2,000から3,000枚に及ぶものもございます。
    別紙4のほうで1枚おめくりいただくと、実際に請求されている工事設計関係文書の抜粋を添付してございます。ご覧いただいておわかりになるように、東京都におきまして工事の予定価格、これを算出するための細かい積算内訳などが記載されております。
    こういった工事・設計関係文書、これを取り扱う課、主務課でございますけれども、別紙3にございますように、各局におきまして様々な工事を発注する部署となっております。
    それから、これらの工事設計関係文書を事業者がどのような目的で使用しているかにつきましては、資料3の本文のほうにお戻りいただきまして、2の(1)でございますけれども、この点につきましては、建設業者自身が今後、同種の工事について入札をするための参考にするといったものが圧倒的に多いように思われます。このほか開示請求により収集、そして分析した情報を営利目的で別の事業者に有償で提供する、このことを目的とした請求もあるようでございます。
    なお、工事設計書につきましては、法令等による閲覧の制度はございません。
    次に、(2)の建築計画概要書についてご説明いたします。
    対象公文書の様式は別紙5として付けてございますのでご覧ください。
    こちらは建築確認申請の際に提出されます書類でございます。資料3の本文のほうの(エ)にありますとおり、建築計画概要書につきましては、建築基準法の93条の2の規定により閲覧制度がございまして、全国的に見ますと、一定の期間に提出された建築計画概要書のすべてというような形で、網羅的な大量請求が行われているということでよく話題に挙がっているものでございますが、東京都では東京都建築基準法施行細則31条の規定によりまして、建築物または工作物を特定しない請求者の閲覧請求を停止または禁止することができると規定されているため、他の自治体のような網羅的な大量請求は余り見られません。一般的には(ウ)に書いてあるとおり、特定の建築物の取引に当たって参考とするために、不動産業者等によりまして請求されているものと思われます。
    次に、(3)の食品営業許可台帳についてご説明いたします。
    この様式が別紙6にございまして、これを添付してございます。これは、食品営業許可を受けました事業者を一覧にした台帳でございます。ご覧のとおり、食品営業事業者の屋号や申請者の氏名、住所、業種、連絡先などが記載されております。
    資料3の本文にお戻りいただきまして、(ウ)にありますように、これらに記載された事業者に対しまして営業活動を行うため、あるいは取得した情報を基にしまして名簿を作成して販売することを目的として開示請求がされているものと思われます。これにつきましても、法令による閲覧制度は特にございません。
    次に、(4)の医療法人関係の文書。具体的に言いますと、医療法の52条1項の規定に基づきまして、毎会計年度終了後、3カ月以内に医療法人から東京都のほうへ毎年提出される事業報告書等についてご説明いたします。
    具体的には別紙7のほうでございますけれども、事業報告等提出書ですね、これが別紙7のほうにあります。この中にあります1から5までの書類、これが東京都に提出されております。これ1枚おめくりいただきますと、東京都のホームページにもこれが掲載されておりまして、事業報告書の記載例でございます。
    資料3の本文にお戻りいただきまして、(エ)のほうにありますように、医療法52条の2項によりまして、都道府県知事は、これらの提出書類を閲覧させなければならないということになっております。この規定は、平成19年4月1日に施行されました改正医療法によりまして新たに追加されたものでございまして、平成19年4月以降に開始される会計年度のものが対象となります。閲覧だけではなくて写しも必要な場合には、これは情報公開条例に基づきまして、開示請求によって写しの交付を受けるということになっております。この閲覧制度の開始の影響によりまして、平成20年度分から上位5位のほうに入ってきているということになります。
    事業者の使用目的は、医療法人の経営状況の把握のため、いわゆる信用調査、これを目的としたものが多いようでございます。
    最後に、(5)の法人設立・設置届出書についてご説明いたします。
    この書類は、都内で新たに事業を開始、または事業所等を設けました法人が東京都、具体的には都内の所管都税事務所に提出するものでございます。別紙8のほうにその様式を付けてございますが、この届出書には、都内に設置・設立された法人の名称、所在地、連絡先、代表者氏名、事業種目などの情報が記載されておりまして、東京都では、一定期間の間に提出されたものをすべてというような網羅的に開示請求される例が大半となっております。
    資料3の本文のほうにお戻りいただきまして、(ウ)の事業者の使用目的でございますが、この文書を取得しました事業者は、新しく設立された法人の情報をいち早く入手しまして、みずからの営業を行うために使用するということもあります。ほかにも取得した情報を名簿化するなどしまして、別の事業者に有償提供して利用しているものと思われます。この法人設立・設置届出書に関しましては、法令等に基づく閲覧制度はございません。
    以上が、東京都における主な営利目的請求の例でございましてご紹介させていただきました。
    次に、資料3の本文でございますが、3といたしまして、これらの営利目的請求の急増によります影響や問題点について事務局としてまとめましたので、ご説明させていただきます。
    1点目といたしまして、(1)の主務課の通常業務への影響が挙げられます。これにつきましては、先ほど参事のほうからも話がありましたけれども別紙9ですね、これをご覧ください。
    これは、請求者が主務課に来庁した場合を例にとって、開示請求の受付から開示までの、実際の事務の流れについてのフローチャートを示したものでございます。
    受付は備考の欄に書いてありますけれども、各局の情報公開コーナー、あるいは情報公開課でも受付を行っております。また、郵送とかファクシミリ、それから情報公開用システムを使いまして請求した場合にも受付を行っております。
    簡単にこの流れをご説明いたしますと、まず主務課では、来庁された請求者の請求内容に応じまして、主務課で保有する文書等について案内を行います。そして、その場で開示請求書を受け付けます。この際、請求する公文書を特定してもらいまして、場合によっては補正を行っております。請求を求める文書が特定されますと、次に公文書の検索を行います。公文書が過去の古いものであったりしまして、主務課のキャビネットのほうには保管されていないということもありますので、この場合には文書の保管先の委託事業者の倉庫、それから公文書館に保管されている場合には、文書の取り寄せなどを行う必要がありますので、それだけでも数日間を要してしまうということもございます。
    また、当該公文書に東京都以外の第三者に関する情報が記録されているときには、条例15条の規定に基づきまして第三者照会を行う場合があります。対象公文書が特定され、存在が確認された後に、主務課では当該公文書に条例上の非開示情報があるか否かの判断を行います。そして、非開示情報がないことを確認した場合には主務課で起案を行いまして開示決定、これを行います。
    一方、対象公文書に条例上の非開示情報に該当する情報があったり、請求に係る公文書が不存在であったりしまして非開示決定、あるいは一部開示決定を行う場合には、まず主務課のほうで決定の起案を行った上で、各局の情報公開の主管課、さらには情報公開課に事前協議を行います。
    事前協議には、原則としまして、すべての対象公文書につきまして非開示部分をマーカー等で示した上でそれぞれの部署に持ち込むことになります。この協議は拘束力はございませんが、各局の情報公開主管課、あるいは情報公開課では、主務課が非開示、あるいは不存在と判断した箇所を条例の条文に照らしまして細かく審査しております。その結果、非開示、あるいは不存在とする理由がないもの、これにつきましては再考を求めたりしまして、それから開示するように説得する、こういったことをしております。ですから、事前協議の制度、これは条例が正しく運用されているかどうか、あるいは非開示の判断の慎重を期すために非常に重要な役割を果たしていると考えております。
    そのために、対象公文書が複雑かつ大量であればあるほど協議のための時間を要することになります。この手続が済みましたら主務課のほうで開示請求に対する決定を行います。これらの手続は、原則として14日以内に行うことになっております。
    その後、非開示決定の場合には、非開示決定通知書を請求者に送付しまして終了となりますが、一部開示決定の場合は決定通知書を送付しますが、送付後は、主務課では対象公文書の非開示部分、これを黒塗りにした後でコピーをとりまして、請求者に対する開示の準備、これを行います。この黒塗りのマスキングとコピーをとる作業は、非開示部分が透かしても見えないように慎重に行う必要があります。これらの作業も非開示部分が複雑で大量であれば、その分業務量が増えることになります。また、閲覧のみの請求であっても、非開示部分を黒塗りにした後でコピーをとる作業を行う必要がございます。
    これらの開示の準備が整いましたら、請求者と調整しました日時と場所、ここにおきまして開示を行います。閲覧の方法によって開示を行う場合は、職員が閲覧終了時まで立ち会うなどの業務を行うことになります。
    以上が開示請求から開示までの事務の流れとなっております。主務課における事務量がかなり大きいことがおわかりになるかと思います。
    資料3の本文にお戻りいただきまして、3ページ目の上の箇所に書いてございますけれども、主務課のほうでは、原則14日以内に開示、非開示の決定をしなければならないという制約がありますので、通常業務とは別に最優先でこれらの業務を行わなければなりません。また、営利のため必要とされる公文書を保有している部署はある程度限られていますので、業務負担が特定の課に集中することになります。そのため、開示請求の急増による組織の人的体制が追いつかないで、例えば工事の打ち合わせや現場立ち会い等の予定の変更を強いられるなど、本来業務にも支障を及ぼすような事例も生じているとの報告もございます。
    さらに、窓口業務を行っている部署におきましては、時間外にこれらの業務を行わざるを得ないで、ほぼ日常的に超過勤務により開示の業務に対応している部署もあるとのことでございます。
    次に、(2)の取得した公文書に掲載されている情報の利用・活用方法の問題でございます。
    開示請求により収集しました情報を基に、名簿を作成して販売するなど、条例が本来予定していなかった方法で利用されている例があるようでございます。これにつきましては、先ほど条例の4条の関係で問題になるということで、今後検討課題になると思います。
    また、条例上の非開示情報に当たらないものでありましても、事業者によって網羅的、かつ大量に取得され、それらを加工して販売されることによりまして新たな問題が発生する場合も考えられます。
    最後に、(3)の制度本来の趣旨とは異なる目的による開示請求であるということが、開示手数料との関係で挙げられると考えられます。
    お手元にあります情報公開事務の手引、これの10ページですけれども、条例第1条についての解説・条文がございます。
    ここに記載してあります条例の目的に照らしましても、現在の開示手数料は実費よりも低額に設定されているために、それを超える諸経費、例えば人件費、事務費等でございますけれども、これらはすべて税金で賄われていることになります。しかしながら、事業者の事業活動のための開示請求についても、一般都民と同様に扱って、同額の手数料で対応することが妥当かどうか、先ほども議論になりましたけれども、これにつきまして当審議会でのご議論をいただきたいというふうに事務局では考えております。
    次に、4といたしまして、国及び自治体の対応について説明させていただきます。
    まず、別紙10、これは新聞記事でございますけれども、この記事にもございますとおり、平成17年度には営利目的請求が約7割に上るというふうに報道されました。これは国の事例でございますけれども、他の多くの自治体におきましても、制度上営利目的請求を他の請求と区別することなく受け付けまして事務処理をしております。請求された対象公文書が大量の場合には補正、あるいは延長等で対応していると思われます。この点は東京都でも同様でございます。
    資料3の本文、4のほうにお戻りいただきまして、自治体の中では営利目的または営利目的と思われる請求を、他の請求と区別しまして取り扱っている例もございます。(1)から(4)、これは各自治体の条例で使われている文言上の区別によりまして分類したものでございます。
    まず、(1)の請求目的により区別している例がございます。請求者が請求書等に記載しました請求目的によりまして、営利目的請求と非営利目的請求、公益目的の請求ですね、それを区別しているとのことでございまして、例えば香川県では公益目的の場合に手数料を減免しておりますし、また、国分寺市のほうでは営利目的請求の場合のみ閲覧手数料を徴収するなどの区別をしております。
    次に、(2)の請求主体によって区別している例がございます。いわゆる事業者が請求主体の場合と、個人が請求主体の場合を区別するものでございまして、例えば神戸市では、「合名会社、合資会社、もくしは株式会社、もしくは有限会社が公開請求する場合、または、これらの法人に勤務する者がこれらの法人の業務の執行のために公開請求することが明らかであると認められる場合」には、つまり事業者または従業員による請求、この場合には公開請求書1件につきまして1,000円の手数料、これを徴収するなどの区別をしております。
    さらに、(3)のように請求対象文書によって区別している例もございます。営利目的による請求の多い文書とそれ以外の文書を区別するものでございまして、例えば埼玉県の建築計画概要書、横浜市の住居表示台帳など、それぞれ施行細則、あるいは条例に写しの交付に関する規定を定めることによりまして、情報公開制度の対象から除外いたしまして、独自の手数料、これを設定して徴収しているということもございます。
    また、中野区、あるいは板橋区のように、あらかじめ営利目的請求の多い文書を選定しておいて規則等で指定した文書、それらの文書のみ手数料を徴収するということで、営利目的請求を区別している例もございます。
    それから、営利目的請求に限らず請求が多くありまして、過去において全部開示しているという文書などにつきましては、簡易な決定方法による開示や情報提供ができることとしまして、手続に差異を設けて事務作業の効率化を図っている例もございます。
    最後になりますが、(4)の利用方法による区別がございます。直接商用利用を禁止している例でございます。先ほども条例4条の関係でご意見等がありましたけれども、横浜市がこの規定を条例に置いております。取得した対象公文書を対価を得て提供することを禁止しております。ただし、取得した情報を加工などしないで利用した場合に限って禁止しているということでございますので、利用目的と、それから利用方法による区別をしまして取り扱っているという例と言えます。
    すみません、私ただ今「横浜」と言いましたけれども、「横須賀市」でございます。
    事務局からの説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。先ほど、ご発言の中でどうなっているのかということがあったこととも関連した部分がいろいろ出てきているかと思います。きょうは今の説明につきまして、いろいろご質問、あるいはこれはこうすべきではないかというご意見があればあわせてお出しいただくということで、この営利目的請求につきましては次回もう一度議論することにしておりますので、きょうのところはご自由にご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    藤原委員。
  • 藤原委員
    先ほど、中村委員から、ビジネスに結構、私の発言か岡部委員の発言かどちらかわかりませんけれども理解があるという話があったので、若干誤解があると思うので解いておくのと、権利濫用のことをもう少しご説明しておくと、私が申し上げたのは、この制度はそもそもが請求目的を問わないというところで来ていますので、禁じるのでなければ受け付けなきゃいけないと。それがビジネスに利用されるということを当初から排除することはできないし、そういう工夫をやめろという制度の建てつけにはなっていないということなんですね。だから、それを前提に、ビジネス利用があるということを前提に手数料とか濫用の話をきちんと考えたらどうだという趣旨ですので、念のために申し上げておきます。
    今、北原課長のほうからずっとご説明いただいたんですけれども、さっきの濫用ということで言えば、権利濫用は一般の法理ですから、ここに書いてあってもなくても使えるというのが、国の法律をつくるときの議論であったんですけれども、理屈を言えば、目的を問わないといったって不法の目的はだめなわけですから、窓口対応等で暴力的だとか、言動が恐喝的だとか、脅迫的だとか、そういったものの事実認定して積み上げていけば濫用だというのは裁判の段階ではできると思います。
    しかし、それを窓口に来ていきなり排除できるかというと非現実的なわけですね。地方公共団体の答申の中で幾つか濫用だと言ったのもありますし、訴訟になってから濫用を認定した裁判例もあります。ごくわずかですけれども。ありますけれども、一般的には客観的にだれでも目的を問わないという制度を使っておいて、それで窓口に来てあなたの請求は濫用だよと言って却下はできないだろうということで、門前払いできないだろうという、そういうので一般の自治体では実務が進行している。東京都もそうであるというのが先ほどのご説明です。ただ、幾つかの自治体は最近もう少しこの濫用規定を半歩、一歩進めた書き方にしているところがあることは事実です。それが濫用ということへの、さっきのご質問へのお答えになろうかと思います。
    本論です。すみません、中村委員への誤解等の説明が、長くなってすみません。3番目ですけれども、これについては、今申し上げたようにやっぱりコストがかかっているんですね、ご説明にあったように。というのは、要するに原課は原課として仕事を持っていますので、ここでは主務課という言い方をしておられますけれども、原課というか、主務課としての仕事で超過勤務をやるのではなくて、情報公開のほうでやって、しかしそれはコストにはね返ってくるではないかというのが本当のところで、やっぱりこれが7割、8割になっているというのであれば、やはり何らかの対処が必要ではないかというのが最初に申し上げた趣旨なんですね。
    一言で言ってしまえば、我が国もやっぱりFOIAビジネスというものに目覚めた時代になってきたのかなという感じなんですね。この点は、情報公開法、国あるいは東京都でもつくるときに既に議論しました、随分。ですからはるか昔に議論したことになりますけれども、アメリカとかカナダで60%とも80%ともいわれるぐらいがFOIAビジネスですね、ビジネスのために使われているかというのはしたんですけれども、我が国でもそういう時代になってきたというのならば、それに対応した何らかの施策が必要であろうということです。
    さっき申し上げたのを具体的に申し上げますと、そのときに目的を問わない制度であるということを前提にすると、これはさっき高橋先生からもご意見があったのと一緒なんですけれども、目的で切れないとなると、やっぱり一定の抑制的でない程度の手数料を維持して、しかし、いわゆるビジネスとか報道とか公益関係を免除するという制度で、例えば対応するとか、何らかの対応が必要になってくるんではないかということなんですね。
    その対応が、最後にご説明のあった地方公共団体では4種類ぐらいの対応で今整理しているというわけです。何年か前に例えば神戸なんかは、法人とか従業者の請求について有料にしているということです。ただ、この点についてはお願いしておきたいんですけれども、実効性がどうなっているかとか、件数はどうかというのはぜひこの4つについて、実効性のところは調べておいていただきたいと思います。先ほど申し上げたのは、100点満点の制度がなくても今よりよくなればいいんだから、行政的な判断でこういう穴が出るからいってやめるという方向ではなくて、今よりよくなるのであればそちらをとろうというアプローチにしていただきたいと、先ほど申し上げたのはそういう意味です。
    以上です。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    私も、ほかの自治体での運用状況がどうなっているのかということは調べてみていただいて、また報告していただくとよろしいかと思って後で申し上げようと思っていたところなのですが、そのようにきょうの北原課長の説明を伺ってこういう資料はどうかというようなことでいろいろ言っていただければ、次回7月ですので、それまでにまた調べていただく、こういうふうにしたいと思います。いかがでしょうか。
    中村委員、どうぞ。
  • 中村委員
    私も濫用の問題とか、そういうのは審査会のほうで随分いろいろ経験しておりますので、非常に窓口対応というのは、すべて条文の公開原則にのっとってやらなければいけないので対処が難しいのはある程度承知はしているのですが、先ほど高橋先生もおっしゃったように、いろんな意味での利用にしても、目的の選別にしても根拠規定というものが具体的でなければ、実際問題としてこういう状況になっていくというのは、予想されたことだろうと思います。
    ただ、先ほど、他の自治体とおっしゃられましたけれども、東京都は手数料を取ってやってきたわけですけれども、手数料を取らないで、かつこのような問題に対処している自治体があるのかどうか。例えばある政党などはすべてこういうものは手数料は無料化するべきだという、ある種理想論的なことがばっと出てきたりする一方で、現実は逆に手数料をきちんと取るべきだという方向に向かいつつあるのではないか。そうすると、やはりそれなりの根拠というものを現実から浮かび上がらせてコストとの問題から取れるのかどうか、難しいところだろうと思います。
  • 堀部会長
    手数料にしても、東京都の場合は開示の際の手数料ですけれども、最初の請求のときは一切手数料を取っていないわけで、国は請求のときに300円支払っていただくということになりました。請求手数料をいくらにするか、300円と千何百円かの2つの案で、パブコメを求めたところ、安いほうというので結局300円ということになりました。これは、請求のときにまず300円は支払うということでありまして、手数料についてはまた後に検討いたしますけれども、開示の時点なのか最初の段階なのか、あるいは目的に応じてどうしていくのかというようなことも、検討が必要だと思います。
    先ほどの濫用といえると思いますが、開示請求しておきながら後で見に来ないというようなケースがあったとのことです。自治体で大量の開示請求があり、一生懸命先ほどのような手続を経て事務局のほうでは対応して、いつ開示しますという通知をしたけれども見に来ないというようなのがあって、こういうところまで情報公開の理念に入るのかというようなこともあったと聞いています。国では最初の段階で支払っていただく必要があるのではないかという考え方です。
    自治体が先行して、自治体で目的を問わないし、民主主義のコストと先ほど高橋委員からも出ましたけれども、そのあたりのところをどうするのかというようなことを議論してむしろ無料を原則にして、コピー代はいただくという、こういうやり方でスタートしました。東京都では開示のところで手数料をいただくということになったのですが、そういういろいろな手数料の考え方もありますので、これも後にまた改めて議論するということになります。きょうの営利目的請求についてはどうでしょうか。ほかの自治体、先ほど藤原委員からもありましたように、いろいろな自治体で対応してきています。先ほど北原課長の説明でも、それぞれの文書について使用目的のところは、推定と書いてありますが、何かそういう具体的なことをまとめたようなものというのはありますか。
  • 藤原委員
    名簿等はわからない、今推定というところを気にされたんだと思うんですけれども、一つ確実に言えるのは逆FOIAですよね。要するに、医療関係とか薬の関係では、明らかにライバル会社から請求されているから開示決定に対して逆FOIAですね、だから差し止めが起こって……
  • 堀部会長
    リバースFOIAスーツという……
  • 藤原委員
    ええ。それがたくさん2号関係ではありますから、あれは明らかに当初の目的は営利目的ですよね、そういう意味で言えば。
  • 堀部会長
    どうぞ。
  • 高橋会長代理
    岡部さんがご退席されてしまったんですね。ちょっと先ほど岡部さんが言われたことで気になった点を指摘しておきたいんですが、営業目的でなぜいけないんだという議論もあり得ると思うんですね。制度の建前として、目的は問わないし、仮に営業目的が多くなってもなぜ営業目的で使っちゃいけないのという疑問ですね。しかも営業というか、事業がそれで発展し、大きくなっていく分野が出てくる、それで税金も払っているんでしょうと言われるのに対してどう答えるんだろうかなということですね。
    先ほどから私は、コストがどの程度なのかというのは非常に重要であるということを言っているんですけれども、こうこうこういうことで事務量が非常に増えていますということで、それはわかりました。わかるんだけれども、そのコストはどのくらいですか、他方でコスト以上に税金払っているでしょう、事業展開ができて、と言われたらどう答えるんだろうかなということがあるかと思うので、もう少し具体的な数字で、推計で表わすのは大変だと思いますけれども、ある程度イメージとしてつかめるように、こんなにコストが大きくなっているんですよ、逆に事業によって税金が増えるというのはそれほどでもないですよというようなことが、イメージとしてわかるようなものが何かないかなということです。もし調査できるのであればそのあたりも調査していただくとありがたいと思います。
  • 堀部会長
    そうですね、そういうことも出てくるかもしれませんけれども、もし調べられれば調べていただけるといいかと思います。
    ほかに、いかがでしょうか。どうぞ、中村委員。
  • 中村委員
    請求するときの用紙にありますね、目的の項目が。研究と調査と、それに学習、勉強、取材も入っているんですね。5つ選択肢がありますよね。これで見るとみんな調査研究に入るんでしょうか、営利目的で大量請求しているものというのは。そうすると、藤原委員がおっしゃられた公益減免してもいいんじゃないかというような目的というのは、取材とか学習、勉強に入るんですか。
  • 藤原委員
    アメリカだと学術であるとか、報道機関の代表者がする報道目的とか、そういったようにいわゆるアカデミックディスカウントと言ったりするんですけれども、そういうものになっていくということですね。ただ、その様式の場合、どこへつけるかは各人の自由であるというところで神戸みたいに目的ではなく主体でという方式が出てくるわけですよね。
  • 堀部会長
    高橋参事、何かありますか。
  • 高橋参事
    すみません、今中村委員がお話をされた開示請求書の例につきましては、お手元のブルーの手引の179ページに様式が掲載されております。その様式の表の3、目的の例をとって今中村委員がお話をされたということでございます。
  • 中村委員
    ですから、藤原さんは目的を特定するというか、請求者の目的をいろんな形で推定も含めて把握しなきゃならないときに、これは非常にどこまで信頼できる設定なのかどうかとか、今現在ではおっしゃるとおり1になっているわけですよね。調査研究という形ですよね。だから、その研究というのがおっしゃるアカデミックのほうなのか、営業的なものなのか、非常にあいまいなところがありますよね。
  • 堀部会長
    高橋参事が言われた179ページの開示請求書のこの目的からは、営利かどうかというのはわからないですね。先ほどの説明でも文書の種類から営利目的であろう、またそれが増えてきているというところですので、それをどういうふうに見ていくかということもあります。
    今後どうするか、アメリカのFOIAは日本でも研究の対象になってきていますけれども、最初の段階では特に目的によって手数料が異なるというようなことは規定していなかったのですが、1986年に商業目的、報道・学術目的などで手数料を変えることが明文化されました。また、例えば先ほどの文書を探す、検索するということがありましたけれども、文書を探すのには実際には相当時間がかかる場合があります。商業目的の場合には、そのサーチの費用も請求者に負担してもらうというようなことをしたりしています。アメリカの弁護士の費用もタイムチャージが一般的なので、そういう時間で幾らかかるかという、こういう考え方は比較的なじみやすいと思います。そういうことで対応してきているという例もあります。また、一定以上の金額になる場合には、あらかじめ請求者にこれはこれくらいかかりますということを伝えておくということもしています。明文の規定の有無を問わず比較的早い時期からそういう形でコマーシャルパーパスに対応してきたということはあります。
    そこをそういうふうに区別をしていくのかどうか。先ほどの東京都のほうでも、1の調査研究というのがありますが、アメリカに例えば大学関係者が日本から請求する場合に、大学のレターヘッドの入ったものに初期の段階ではタイプライターで打ってこういう文書が欲しいと出すと、比較的早い時期に送料も、コピー代も何も取らずに送ってきてくれるという経験しています。そういう経験をした日本の研究者からすると、アメリカの情報自由法というのは非常に理想的なものとして映っていた面もあります。
    また、日本で起こっている問題について、アメリカから文書の公開をしてもらうということがあります。例えば、エイズの問題なども早い時期からアメリカの文書を取り寄せて、訴訟で役立たせるということもありましたし、4月9日に東京地裁の判決が出ました沖縄密約については、アメリカにはそういう文書があるということで日本にもあるはずだという主張がなされました。沖縄密約文書については、アメリカのナショナルアーカイブズで琉球大学の我部教授が見つけたということです。そのアメリカでも常にどうしていくのかというのは議論しているところでして、参考になります。どうぞ。
  • 藤原委員
    さっきの中村委員の公益減免の難しさなんですけれども、それはおっしゃるとおりで、平成12年の東京都条例の改正のときにも実は同じ議論を、ほぼ同じ議論をしているんですね。あのときの結論は、おっしゃるようになかなか公益減免決めていかないし、難しいと。そうなると、後の決断は取るか取らないか、取った場合に経済的な減免ですね。経済的に困っている人には、それはやっぱり減免するべきだろうというような議論に落ち着いていったという結果があるんですね。
    それで質問なんですが、この開示請求書には経済的減免のことが書いていないんですけれども、今はやっていないんでしたっけ。
  • 堀部会長
    石岡係長、どうぞ。
  • 石岡情報公開係長
    やっています。請求の後に減免は個別にやっています。
  • 藤原委員
    そうですよね。減免のことはやっているんだけれども、周知徹底という観点からどこでわかるようにしてあるんですか。
  • 石岡情報公開係長
    それぞれ個別に窓口で説明しています。
  • 藤原委員
    今ふと見て気になったのは、前回の議論の結論を最後に持ってくるんだったらば、まさしく周知徹底して一定のコストを負担していただいて、困っている人には減免があるということをはっきりわかるようにしていなきゃいけないんですけれども、どうもやっていないみたいだなという感じがあったのが一つと、あとはそれがだめだったら無料という、ほかの一般的な自治体の流れになるというのは、それは公益減免に関連して補足的にご説明しておくとそういう話であったということです。
  • 堀部会長
    それでは、まだいろいろあろうかと思いますが、次回の営利目的請求については、きょうの議論をまとめて整理しまして、そこで結論を出すかどうかということはありますけれども、結論の方向性でも見えてくればというふうに思います。
    条例の運用状況等については調べられる限り調べていただけるといいと思うのですが、それ以外にもしこういうことも資料を準備してほしいということがあればまた別途事務局に言っていただいて、対応するようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
    ありがとうございました。
    それでは、きょうもう一つ、これは議事というのではないのですけれども、資料4としまして、自治体の情報公開条例の改正を求める意見書(要望)というのが日弁連から出てきていますので、それにつきまして高橋参事から説明をお願いいたします。
  • 高橋参事
    お手元に資料4として用意をさせていただいております、日本弁護士連合会から最近いただいた意見書の写しでございます。それにつきまして簡単にご報告、ご説明をさせていただきます。
    タイトルは、自治体の情報公開条例の改正を求める意見書ということでございまして、これは東京都知事あてにいただいております。意見書の内容の1点目でございますが、情報公開条例における請求権者についてでございます。意見書によりますと、全国の都道府県のうち8都県におきまして請求権者が「何人も」となっていないということで、限定しているとしてこの点の改正を求めております。
    具体的に意見書では、当該地方自治体の在住、在学、在勤の個人及び事務所等を有する法人等の団体に該当しない場合については、実施機関の事務事業に利害関係を有する者に限り、開示請求を認めている自治体の例をとりまして、これによるさまざまな支障を指摘しております。しかしながら、東京都ではこのような規定を置いておりました旧条例を、既に平成12年1月施行の新条例におきましては改正をいたしまして、現在では都外在住、在勤等の方であっても、公文書の開示を必要とする理由さえ明示いただければ、理由というのは先ほどお話が出たものでございますけれども、明示すれば開示請求を認めるものとしておりまして、実質的に請求権者に制限を加えているわけではありません。
    したがって、本意見書で指摘されている具体的な支障は、都においては生じにくいものと考えております。
    一方で、条例上請求権者について、「何人も」まで明記すべきかどうかにつきましては議論はあるかと思います。この点については、かつて旧条例の全面改正について検討をいただいた、「東京都における情報公開制度のあり方に関する懇談会」におきましても活発な議論があったところでございます。
    最終的には、地方自治体の定める情報公開制度において、不服申立てや訴訟の提起の権利までも「何人も」に認めることについては、その妥当性に疑問も残るというような反対意見も強く、提言には盛り込まれなかったという経緯もございます。
    いずれにしても、こういう日弁連からの意見書をいただいております。本件につきまして、委員の皆様から何かご意見があれば後ほどで結構でございますので、事務局までお寄せいただければと思います。
    なお、2点目につきまして、インターネット及びファクシミリによる情報公開請求についてというのがございますが、都では既にインターネット及びファクシミリによる開示請求を受け付けておりますので、この点は特に問題はないものと考えられます。
    以上、簡単でございますが、ご報告とさせていただきます。
  • 堀部会長
    ありがとうございました。
    この意見書につきまして何か質問、意見があればと思いますが、いかがでしょうか。
    では、特にないようですので、そうしますと今後の予定について説明をお願いします。
  • 高橋参事
    7月27日に第2回目を、本件につきましては営利目的請求の第2回目の審議ということでご予定いただきたいと思っております。
  • 堀部会長
    7月27日ということでご予定いただきたいと思います。その間、先ほど言いましたように、事務局のほうにご要望などをお寄せいただいて、それをもとに資料の準備などをしたいと思います。
    そろそろ終了させていただきますけれども、よろしいでしょうか。
    それでは、本日の会議は以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

11時56分閉会

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